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eスポーツの事業化を目指す経営者、実業家の皆さまへ(The失敗談)

皆さまこんにちは。北浦です。

今回は、これからeスポーツの事業化を目指そうという経営者、実業家に呼んでいただければな、というお話です。
僕が取り組みだした当初の(まだまだ乏しいですが)体験談を交えて書きたいと思います。

1.いろいろ「?」な"eスポーツの認知度"

今まで約2年半、とにかく自分に出来る限りとことんeスポーツに時間を費やしてきましたので、当然ながら今の僕の周辺のほとんどはeスポーツに関係する方、興味がある方々です。

なので、自分にとってはもはやeスポーツは「世の中にあって当たり前」みたいに思うのですが、ここでちょっと冷静になってみます。
eスポーツの「世間一般的な認知度」はどれくらいでしょうか?

マイボイスコム株式会社が2021年2月に行ったインターネット調査によると、認知率は78.9%。
世の中の約8割の方はeスポーツのことを認知している、となります。
2018年7月の調査時は43%とのことなので、飛躍的な上昇と言えますね。
※この調査は「eスポーツ 認知度」の検索で最上位にくる記事なので、業界に興味のある多くの方が目にしていると思います。

※ちなみに2018年は日本でいわれるところの「eスポーツ元年」にあたり、JeSUの設立や、日本人ゲーマーの高額賞金獲得問題の解消(景表法等の解釈)があった年です。
図らずも僕自身がeスポーツに取り組みだした年(10月~)でもあります。

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しかしこの調査、業界に関わる(関わりたい)人間からすれば一見とても喜ばしいこと(潜在顧客の激増)ですが、少し掘り下げてみると色々思うところが出てきます。
※決して批判をしたいわけではなく、公開された情報に対する自分なりの冷静な分析と捉えていただけると幸いです。

まずはこのアンケートの調査項目について。
78.9%の中には「名前を聞いたことがあるが、どのようなものかは知らない(43.6%)」も含まれています。
果たしてこれは本当に「認知している」と言えるでしょうか?

例えば「球技」という言葉を知っている人は、おそらく限りなく100%に近いでしょうし、球技が「ボールを使った競技」であるということも、おそらくほとんどの方に知られていると思います。
(明確なソースはありません、すいません)

あくまで個人的な考えですが、本当の意味で「認知している」というのは「どのようなものかも(ある程度は)知っている」という人のことを言うのではないかな、と思うのです。

この理論でいくと、eスポーツの真の認知度は40%にも満たず、まだまだかなあとも思います。

次にこの調査の対象年代について。

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回答者は10,000人以上と、単純なサンプル数としては信頼できるものですが、注目すべきは調査対象の年代ですね。

実に88%が40代以上に固まっています。

eスポーツの競技者やファンの方の多くは10代から20代、平均年齢は20代半ばと言われていますが、上の画像では10代〜20代の度数はわずか3%(289/10052)に過ぎません。

そして、この調査で「eスポーツに興味がある」と回答したのは7%、「興味がない」は約80%だそうです。


その観点でいくと、この調査には根本的な部分で大きな乖離があると思います。

つまりまとめると、
「約8割はeスポーツを知っているが、同様の割合で興味を持たれていない」
となります。

これだけを見れば、eスポーツの市場発展の期待が至るところで叫ばれている割に「本当に大丈夫か?」と思う人も出てくるでしょう。

改めて全年代に満遍なく調査をすれば、結果はもっと変わってくるんじゃないでしょうか。

要するに僕が言いたいのは、
結局のところまだまだeスポーツの実態はその程度
=関連する調査の内容が現実からはかけ離れている
=一般的なビジネスシーンにおける理解がまだまだ深まっていないのではないか

ということです。

裏を返せば、いろんな意味でまだ業界の基盤が整っていないとも言え、これはつまり力のある実業家や企業からすれば新規参入のチャンスあり(=ブルーオーシャン)、と捉えることもできると思います。

2.着手開始~約1年間の流れ

さて、そんな偉そうなことを述べる僕自身が、まずこのeスポーツに着手し始めた当時はどんな動きを取っていたか、自己の振り返りも含めてお話していきます。

●2016年~2018年前半
テレビなどでたまにeスポーツを題材にしたドキュメンタリーやニュースなどを目にするようになる(特に大きな動きはなし)。

●2018年後半~2019年4月
初投稿の記事でも書いた通り、この時にウイニングイレブンの国体兵庫県予選(※)に関わることとなり、ただ見ていた側から直接かかわる側へと移る。
そしてこの大会、自分としては大失敗(後述)に終わりました。
しかし、この失敗から今につながる様々なものを得たので、そういう意味では成功とも言えますね。
※正式名称は「全国都道府県対抗eスポーツ選手権 2019 IBARAKI ウイニングイレブン 兵庫県代表決定戦」です。

●2019年5月~9月
本気でeスポーツ事業をやってみようと決意する。
①やるからには別で会社を作って資金を集めよう
②そのための事業計画書を作ろう(調査活動)
③NGM(株)設立(7月30日)
④格ゲーの世界大会「EVO」視察(ラスベガス)
⑤「JeGT ZERO ROUND(初回大会)」開催(9月29日)
という流れです。
今思えば、この時期が(労働時間という観点では)一番頑張ったかもしれません。
②の事業計画書は、今見るとそれはそれは拙く、夢物語に近いものでしたが、幸いにも僕の想いに共感いただける人と出会い、新会社のスタートには十分な資金を集めることができました。

●2019年10月~2020年1月
ZERO ROUNDの開催後、2020年1月に開催される東京オートサロンの企画エリア「オートサロンテック」でJeGTの第二回大会をやってみないかと声をかけていただき、その準備に奔走。
苦難と苦労だらけでしたが、何とかこの1月の大会も無事に終えることができました。
当然ながらこの2回の大会が、今のJeGT公式シリーズ開催に繋がっています。
また、プロゲーミングチーム「エヴァ:e」の立ち上げに動き出したのもこのころです。

以上の通り、具体的に着手し始めてからは大きく分けて3つのフェーズに分かれます。

3.ウイイレ兵庫県予選の失敗から何を学んだか

僕は父の会社の後を継いだので、ビジネスマンとしても様々なことを父から学んだのですが、中でも一番印象に残っているのが

仕事とは、成功~失敗~努力の繰り返しである。
失敗をしたことが無い人などいないが、失敗後に努力せず、成功した人もいない。
失敗はいずれまた起こるが、大事なことは
「成功と失敗の間に、どれだけ努力をし、さらなる成功を積み重ねられるか」
であり、決して慢心しないことである。

という教えでした。
これは今後も僕の人生の様々な場面で活きてくるものだと思います。

さあ、これまでもたくさんの失敗を重ねてきた僕ですが、前述の通り、2019年4月のウイイレ兵庫県予選では大いに失敗しました。

これは誤解のないように言っておくと、この大会に出場いただいた選手の方々や、その他関係者の方も含めてではなく、あくまで「僕の中での失敗」という話です。

わかりやすく言えば、
●PRや集客を任されていたのに、ほとんどお客さんを集めることができなかった。
●大会のことを周知できておらず、(十分な数の)出場者を集められなかった→もっとうまくやれていれば、より多くのプレイヤーに出場いただけたのではないか(=集客数も上がっていた)。

というところですね。

失敗の主な要因としては
①あまりにもゲームやeスポーツのことを知らなさ過ぎた
②「国体」や「ウイニングイレブン」という言葉に頼りすぎた
③「SNS」や「コミュニティ」の大事さに気づけていなかった

といった点が挙げられます。

①ですが、当時はそもそもPS4の操作方法もろくに知りませんでした。
コントローラーを複数接続する方法すらわからず、こんなんでeスポーツの大会を盛り上げるなんて無理ですよね。

②は、いわゆる「慢心」です。
準備を進める中で心の中で
「国体(予選)なんだから出場者も集まるだろう」
「ウイイレというビッグタイトルなんだから、ユーザーはみんなこぞって参加するだろう」
ということが常にあり、
「ちょっとまずいな、これお客さん集められないかもな」
と思った時はもう大会の1~2週間前だったので、打つ手はありませんでした。

③はその言葉通りですが、当時は個人でもSNSをやっていませんでしたし、大会としての告知も簡単なHPやポスター、チラシだけでした。
eスポーツでSNSを使わないなんて、今を思えば考えられないことですが、それすらも最初はわかっていませんでした。
ゲーマーの方々が作るコミュニティの重要さにも気づいておらず、自分からそういった先へのアプローチが全くできていませんでした。

ちなみに大会当日の写真はこんな感じです。

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わかりにくいとは思いますが、お客さんがほとんど入っていないのをできるだけ隠そうとしています笑。

会場としてのつくりも、eスポーツの一般的なイメージ(海外の世界大会等)とは程遠いものでした(予算の関係もありましたが)。

とにかく、僕のイベンターとしてのeスポーツデビューは散々な結果に終わり、「やっぱりeスポーツ無理かも…」とも考えました。

しかし、改めて冷静になり、なぜ失敗したかを考えた先に出た答えは

通常のイベントだろうがeスポーツだろうが、やるべきことは同じ。
準備にとにかく注力する。時間や手間を惜しまない。
できる限りたくさんの方法で、より多くの人に周知する。
とにかく関係するいろんな人に会う。会いまくる。

というものでした。

今までやってきたことを振り返り、もっと努力すれば、次は成功できる。
そう自分を奮起させ、次なる挑戦に進んでいきます。

4.失敗を経たその次は…(次回予告)

デビュー戦では散ってしまいましたが、次に取り組んだのがJeGTの初回大会です。

今度ばかりは絶対に成功させてやる!
そう息巻いて、いろんなところに赴き、たくさんの人と出会い、そしてそれまで全く無知だったモータースポーツやレーシングゲームの事を学びました。

さあ、それではここからJeGTに関するお話です、と言いたいところですが、すでに4,000文字を超えてしまいましたので、今回はこの辺で止めておきます。

近日、JeGTの立ち上げ秘話や苦労話を書かせていただきますので、また懲りずにご覧いただけると嬉しいです。

ご高覧ありがとうございました!


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