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ババヤガの夜

※ネタバレほぼありません。(世界観の描写のみ)

文藝2020年秋季号掲載の、王谷晶「ババヤガの夜」。

バイオレンスな表現があまり得意ではなく目を背けたくなるが、怖いもの見たさで読み進めはじめた私は、間も無く「終わらないでほしい」と思うほどになっていた。

2つの時間軸の違う場面の行き来がリズミカルで心地良い。
さらに先へと、急ぎたくなる。

めちゃくちゃに鍛えられて暴力に魅せられている、だけど一般人として適当なアルバイトをして暮らす主人公と、ヤクザの世界とが出会う緊張感。
私はおそらく、触れたことのないその世界への興味が抑えきれなかったのだと思う。そして徐々に解き明かされていく登場人物たちの背景が繋がってゆく。

夢中になってほぼひと息に読んでしまったのだが、読み終わってふぅとなってから、もうひとつの発見があった。読んでいる途中は、この文藝秋季号のテーマが「覚醒するシスターフッド」だということなど頭になかったが、読み終わってみるとたしかに。なるほどなぁと認識した。

このテーマのなかで、この作品が掲載されていることが面白い!


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