「中国人のやることだから・・・」に抱く嫌悪感と、ゆとり世代の歯痒さ

日本人の中国人差別

「日本人は人種差別が少ない」という意見は多いし、差別を憎んでいる人の方が多く感じる。もちろん私もそうだし、家族など身近な人間もそうであって欲しいと思う。

でも、本当によくあるありふれた発言に、

「中国人があそこで喋ってるわ、ほんと中国人の話し声って騒々しい(笑)」
「なにこの雑な仕事?あぁ中国製か、やっぱりね・・・(笑)」

という類のものがあると思う。
私はこれが嫌いだ。あまりにもこの中国人を嘲笑するような会話は多すぎるので、いちいちその発言を問い詰めることはないが、こんなに多くの人に根付いたものって珍しいのではないか。実際、私も笑って受け流してしまうし(そして後からモヤモヤする)、このような発言は私の親族からも当たり前のように出る。


「ゆとり世代」が受けている扱い

私はどうしてこの発言がすごく嫌なんだろうかと考えていたが、やっと思い当たった。自分にもグループ化してその属性を当てはめられ、嘲笑されることがあるからだ。

そのグループというのは、ずばり「ゆとり世代」。

私は「ゆとり」教育にどっぷりと浸かった世代で、小学1年生になる前年に土曜全日休みが取り入れられ、中学や高校を卒業する頃には逆に土曜日授業を復活させる見直しが行われた。

大人になるにつれて、「えっ、君ってゆとり世代なんだ(笑)半ドンって知ってる?」とよく言われるようになった。私が小学生のときに大人だった人間に最も言われたくない言葉で、嘲笑の含みがあるとイラッとしてしまう。

「私たち、"ゆとりたい"なんてひとことも言ってませんけど?」

そう、ゆとり教育をつくろうと言ったのは大人であって、それを施された私たちが嘲笑される筋合いはまったくない。もしもこの「ゆとり教育」が失敗だったというのなら、私たちの世代は"失敗した計画の実験台"でしかないし、その失敗は大人の失敗なのである。私たちではない。

ゆとり世代の特徴とやらをインターネットで調べると真っ先に出てくる記事では、以下のことが挙げられていた。
・現実に向き合う力が乏しい
・指示を待ってしまう
・失敗を恐れる
・周囲に合わせる
・プライベートを優先

こんなグループに一括りにされたらどうですか?
誰でもめっちゃ嫌じゃない?
しかも、それ(=ゆとり教育)を実行した張本人(=私が子どもだったときの大人)に言われる行き場のない悔しさ。

こういう理由で私は「ゆとり世代」を嘲笑する人が許せないのだが、これはまさに差別であり個人を、正統な理由なく、属するグループの特徴にあてはめて評価することだ(ゆとり世代というグループだけが前述の特徴を持つとも私は考えていないが)。


最初の日本人の中国人差別の話に戻るが、「話し声がうるさい」「仕事が雑」という人はどこにでもいる。どっっっっっこにでもいる。いくらでも。それを、「中国人」というグループにレッテルを貼って嘲笑うというのが、許せない。

「ゆとり世代」を会話に出す時は、注意してほしい。
内容によっては私が反撃しにいくかもしれないので。


↓これはこの記事を書きながら出会った良い記事。被差別者の想いがよくまとまっている。


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