姿を現す声に触れ 「爆撃の記録」から
「何も見えなかった」という体験資料には声がある。「特別展示 藤井光 爆撃の記録」を訪れて、一枚の資料が印象に残った。それは1999年に計画が凍結された「東京都平和祈念館(仮称)」に向けて集められた証言映像の語りを数百字に要約したものだった。
「火を見すぎたため、朝、明るくなってもしばらく目が慣れるまで、何も見えなかった」。1945年3月10日の朝方まで、空襲と火災を見続けた、ひとりの女性の語りは、このような言葉で結ばれていた。
わたしは、それほどまで火を見続けた経験はない。そ