Sato Risei

あちこち書いたもの(話したもの)を加筆と修正。SNSのリサイクル。たまに新しい話。仕事…

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あちこち書いたもの(話したもの)を加筆と修正。SNSのリサイクル。たまに新しい話。仕事では(https://note.com/ap_sato)。B面というより両A面。どっこいどっこい。てんてこ舞い。

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なってみるレッスン|はじまりの美術館の企画展「やわらかくなってみる」を訪れて

福島県猪苗代町の「はじまりの美術館」の企画展「やわらかくなってみる」記録集に寄稿しました。ここでは、その全文を公開します(ご快諾いただいた、はじまりの美術館のみなさん、ありがとうございます!)。 記録集は、以下よりお買い求めいただけます。過去の記録集もあります。この機会にまとめ買いは、いかがでしょうか? おすすめです。 なってみるレッスン2020年から日本も「コロナ禍」の渦中となった。天気予報を確認するように、毎日の 感染者数に注意を払う。マスクで口と鼻を覆い、人と人との

    • 姿を現す声に触れ 「爆撃の記録」から

      「何も見えなかった」という体験資料には声がある。「特別展示 藤井光 爆撃の記録」を訪れて、一枚の資料が印象に残った。それは1999年に計画が凍結された「東京都平和祈念館(仮称)」に向けて集められた証言映像の語りを数百字に要約したものだった。 「火を見すぎたため、朝、明るくなってもしばらく目が慣れるまで、何も見えなかった」。1945年3月10日の朝方まで、空襲と火災を見続けた、ひとりの女性の語りは、このような言葉で結ばれていた。 わたしは、それほどまで火を見続けた経験はない。そ

      • ミュージアムする!

        ライフミュージアムネットワークの県外事例調査(三重県伊賀市/蜜ノ木)のレポートとして書いたもの。『ライフミュージアムネットワーク2020活動記録集』(2021年、216-217頁)収録。写真追加。 ライフミュージアムネットワークでは「ミュージアムに何ができるのか?」という問いを常に考えてきたように思います。ミュージアム「で」何ができるか? 本事業を主導する福島県立博物館が「施設」をもつ以上は、これもまた切実な問いです。けれども、震災後の福島の経験をひとつの媒介として、各地の

        • えずこ まほろば|「社会機関」としての文化施設の「20年」に触れる

          何も知らなかった。2017年3月4日に訪れた「えずこせいじん祝賀会」で真っ先に思ったことだった。館長(当時)の水戸雅彦さんとは震災後にArt Support Tohoku-Tokyoを契機に出会い、2016年にはインタビュー集『6年目の風景をきく』で、じっくりと話を伺った。 「社会機関」としての文化施設。えずこホールは、この思想を体現した稀有な場所だと知っているつもりだった。だが、祝賀会に一歩足を踏み入れた瞬間に初めて、えずこホールの真価に触れたのだと思った。その出会いに興

        なってみるレッスン|はじまりの美術館の企画展「やわらかくなってみる」を訪れて

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          展示室から旅がはじまる|阿部明子・是恒さくら展「閾 -いき- を編む」に寄せて

          若手アーティスト支援プログラムVoyage 阿部明子・是恒さくら展「閾 -いき- を編む」のコメント集に掲載されたもの(塩竈市杉村惇美術館、2019年8月9日)。タイトルと写真を追加。 若手アーティスト支援プログラム「Voyage」。いい名前だなぁと思う。ふたりは、この企画で初めての公募選出アーティストなのだという。選ばれたアーティストはこの土地に自らの表現を結び付け、歩き出す。さながら航海に乗り出すように。だが、きっと展示室は終着点ではない。ひとときの係留地なのだろう。

          展示室から旅がはじまる|阿部明子・是恒さくら展「閾 -いき- を編む」に寄せて

          協働についての覚書:起こったことを、どう伝えるのか?

          ライフミュージアムネットワークでの弘前れんが倉庫美術館や八戸新美術館のリサーチの経験から書いたもの。『ライフミュージアムネットワーク2019活動記録集』(2020年、404-405頁)掲載。見出しなど加筆修正。 美術館は地域や市民と、どのような関係を切り結んでいけるのか? 弘前と八戸の美術館の構想を伺い、考えたのは「協働」ということでした。話のなかで、この言葉は使われていなかったかもしれません。それでも何か議論の手掛かりになりそうな予感がします。なので、一旦、ここまで考えた

          協働についての覚書:起こったことを、どう伝えるのか?