春の匂いが、なんかきつい。
昔から春に吹く生温い風や、春の匂いとやらが苦手だった。
理由はなんとなくだったけれど、多分保守的な私の性格ゆえに、変化の季節である春の訪れを心身ともに実感させる、あの春の匂いの感じが苦手だったんだと思う。
思えば物心ついた時から春の匂いが苦手だった。
初めて家族という自分にとっての絶対的な安全領域から、保育園という未知の世界に飛び込んだ時にも、あの春の匂いがしていて、子供ながらに苦手意識を抱いた記憶がある。
またその頃から、春になると胸の奥がキュッと締め付けられる、そんな感覚を抱くようにもなった。
保育園から小学校に上がる時に、私は強く保育園の子達と離れたくないと思っていた。
小学校から中学校に上がる時には、そういった感情がより一層強くなっていた。
紛れもなく保守的な人間である。
「だって、好きな人達と離れたくない無いじゃん」
そう思っていた。
そんな私の幼稚な?感覚は、高校生になっても消える事なく、むしろ加速していく形で、自分の胸の中を埋め尽くしていった。
その結果私は、クラスに馴染めなくなった。
決して自分が周りと違うだなんて驕った気持ちを持ってはいなかったし、ただ中学校に戻りたい、そう思い続けていただけだった。
けれども結果として、私はクラスにも部活にも馴染めなかった。
今思えば、けれどじゃなく、当然だったなと思う。
みんなが新しい環境に馴染もうと浮き足立っている中で、なんか一歩引いてる感じの大仏がクラスにいたら、そりゃ浮きますわ。
あ、ちなみに大仏っていうのは、私が高校生の時に陰で付けられていたあだ名です。
ある日クラスの女子が口を滑らして、
" だいぶ、、あっ、ごめん(笑)、なんでもない!なんでもない!(笑) "
と自分に言ってしまい、静寂に包まれていたクラスの中で、それまで感じたことの無い大きな笑いのうねりが巻き起こった事を、今でも鮮明に覚えている。
" そ、そうか、そ、そんなにぼ、僕の顔芸が面白かったのかな!みんなを笑わせられて光栄だぜ! "
そんな事を考えていないとやってられなかったなぁと思う。恥ずかしくて恥ずかしくて、まじ学校行きたくないと思ってたし。
自分はただクラスに自然と馴染めなかっただけで、決して目立ちたいと思っていた訳ではなかったので、自分が知らない内にクラスの中で、日本が誇る世界遺産として " 崇められていた(笑) " 事実に、当時は辟易としていました。
まぁ今考えると、あの一件が転機にもなっていたんですけどね。
ただこれはあくまで、" 今考えると" なんで。
当時の私はやはり受け入れられませんでした。
てか、冷静に考えてみるとこのあだ名、大仏様に対して失礼でしょ。
大仏様って仏様だし、そもそも仏頂面とか言われてるけど、大概の仏様って微笑んでるし。
しかも大仏様って座ってるだけの様で、みんな僕達の事見守ってくれているし。
あ、あと、仏様はみんなの願いを叶える力だって持ってるし!ば、バカにすると夢叶えてあげないし!
いやー、頑張ったなおれ。よく頑張った。えらいえらい。
昔から真顔が怖いとよく言われていた私なんですが、高校生の時にはそんな真顔の怖さが功を奏して?、クラスの中で仏神的な地位を築いていた訳であります。
そんな私ですが実はその一件を機に、クラスの中でネタキャラ的な地位を築く事になりまして、それからの学校生活は割と楽しく過ごす事ができました。
仏様、助けてくれてありがとう。
そんなこんなで(どんなこんなだよ)、私も遂に高校を卒業する事になる訳でありますが、少し話も長くなってきたので、続きは次回という事にさせて下さい。
もしここまで読んでくれてる方が居たとしたら、一言いわせて下さい。
ありがとう。
一呼吸置いて言うことかよ。
では、また。