この分厚いジーンズを食い破って、
脚に突き刺さった鋭い牙は、
彼女の怯え、怒り

天を仰いで腹を差し出し、
けれども、その姿勢のままにいつでも噛みついてやろうと震える筋肉は
彼の憎しみ

脳を侵され、
よたよたと斜めに歩きながらも、
よだれの奥から漏らす低い唸り声は、
年老いた二人からの呪い

真っ直ぐに
自らに向かって進む赤ん坊に向けられた
黒い黒い、濡れた目は
誰のものなのだろう


#詩 #犬

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