古典インク≒鉄媒染?
今更気がついたことなんですが。
古典インクって要するに紙(≒植物性繊維)に対して鉄媒染して濃い色を染め付けてるってことなの?
実は私、以前草木染めの染織工房で働いてたことがありまして。普通にそのへんの草()を煮出して絹糸を染めて機織ったりしてました。
ただ、そのへんの草ばっかりだと色合いが偏っちゃうので、染料店で草木染め専用の染料を買うことも多かったです。
その染料の中に『五倍子』というものがありました。黒を染める時に使うもので、何でできてるのか調べたら「木にできる虫こぶ」だというんですね。昔の人はどうしてこんな変なもので黒が染まるってわかったんだろうな~なんて、その時は不思議に思っただけでしたが。
最近、万年筆とインクにハマって、古典インクなる存在を知りました。
古典インクについて調べると、別名「没食子インク」ともいう、とか説明されてるんですね。で、没食子って何だ?って調べたら。木にできる虫こぶだと書いてある。アレ?こういうのどっかで聞いたことあるな?
そもそも古典インクとは、鉄の酸化を利用したインクなのだそうです。
鉄の酸化ときいて思い出すのは、草木染めで、渋めの濃い色を染めたい時に使った「おはぐろ媒染液」でした。
おはぐろ媒染とは、名前の通り、昔の既婚者が歯を黒く染めた『お歯黒』という文化に由来します。
これは、古い鉄釘などを酢に漬けて酸化させて作る媒染剤(※染料の定着を助ける染色助剤のこと)です。わざわざ染料屋さんで買わなくても、簡単に手作りできるので重宝してましたが、しいて難を上げると、だいたい仕上がりの色が濃くというか黒っぽくなってしまうんですよね。
例えば、花が咲く前の桜の枝を煮出して染めると、ほんのりピンクのそれはそれはかわいい桜色に染まるんですが、これを定着させるための助剤としておはぐろ媒染液を使うとあら不思議、うっすら桜色?薄紫?みが感じられる力強いグレーに!
いや、けして悪い色ではありませんでしたよ。上品なグレーって感じでね。
でも今求めてる色はもっと明るくてほのかな色であって、鈍色とか縹色とか海松色じゃないんだよな~、みたいなことあるじゃないですか。
そんな感じで、おはぐろ媒染剤ってのは、だいたいの染料で色が黒方向に濃くなる助剤でした。
ん?色が黒っぽく濃くなる?
これって古典インクと原理が同じなのでは??
とか思ったわけなのですが、いかんせんインクに関しては素人ゆえ正確なところはわかりません。
でも、古典ブルーブラックを作るのにログウッドを使ってたみたいなブログ記事を見かけたんですけど、ログウッドって草木染めでもめちゃくちゃ多用してた、すごく使い勝手の良い染料だったんですよね。紫とか紺を染めるのに使ってました。
ちなみにログウッドは、鉄媒染だと紫は発色しないので、おおむね青系統の黒っぽい色になります。
古典インクと草木染めって、実はかなり似てるのでは?
教えて工口い人!
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