宇宙ビジネスのトレンドを掴もう!〜スタートアップ参入の現状と今後〜
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宇宙ビジネスのトレンドを掴もう!〜スタートアップ参入の現状と今後〜

今日では、日本人起業家といった民間人による宇宙飛行のニュースが話題になり、また、GPSの位置情報確認など宇宙を介したサービスを誰もが日常的に使っています。さらに、多くのスタートアップ企業が宇宙ビジネスにチャレンジしていく中で、宇宙のもたらしてくれる価値が大きく高まりつつあります。今回は、宇宙ビジネスの全体感を掴み、スタートアップのビジネスチャンスの可能性を探ってみたいと思います。Let’s strive to know the Space Industry Trend! 

概要
✔︎ スタートアップの多くは、地球に近く打上げ費用が比較的安価な低軌道上の宇宙開発や、地上で宇宙データ・通信などを活用するサービスを展開
✔︎ 世界の宇宙ビジネスの2019年度の市場規模は約40兆円。2040年には約100兆円にまで拡大すると予測されている
✔︎ 宇宙ビジネスの参入において比較的参入が容易なのは、小型衛星製造、地球観測衛星コンステレーション運用、地球観測衛星データ・アナリティクス

宇宙開発・利用のこれまで

宇宙開発・利用は、アメリカ合衆国とソビエト連邦の対立を受けた冷戦期の宇宙開発競争の中で20世紀中盤から大きく進展しました。宇宙技術のミサイルなどの軍事利用への転用、国民の一体感の醸成や国威の発揚を目的に、国家が主導し巨大な航空・電気事業者等と連携し宇宙を開拓してきました。
21世紀に入ると、政治情勢の変化などを受け、宇宙開発・利用は官需による牽引から民需への流れが強まります。異業種企業や多くのスタートアップ企業が宇宙ビジネスに参入する中で、新たに商用宇宙市場が拡大しました。このような潮流やそこで活躍する企業のことを「New Space(ニュースペース)」と呼びます。

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宇宙ビジネスのトレンド

「New Space」へのパラダイムシフトは、宇宙分野のイノベーションの進展、宇宙利用の低コスト化によるユーザー層の拡大、官から民という宇宙産業の商業化などのドライバーにより進んでいます。
例えば、地球観測衛星が取得する膨大な量の画像データは、ビッグデータ処理やAIなどの進化によりソリューションビジネスに活用することができるようになりました。また、様々な新技術の登場により衛星やロケットの小型化、量産化が進んだことで、宇宙をより安価に用いることができるようになり、エンドユーザーが利用しやすくなっています。政府は自らが宇宙機器の開発・運用を手掛けるのではなく、宇宙ベンチャーを支援しながら彼らのサービスを購入するようになり、そのような下支えによりベンチャーキャピタルなどのリスクマネーが流入しています。

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スタートアップが参入する領域

一般的にスタートアップの多くは、地球に近く打上げ費用が比較的安価な低軌道上の宇宙開発や、地上で宇宙データ・通信などを活用するサービスを展開しています。

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スタートアップが参画する宇宙ビジネスのセグメントとして、下記が挙げられます。

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注目を集める小型衛星市場

特に注目を集めているのは、小型衛星に関連したビジネスです。数kgから数百kgの衛星で、通信、地球観測(リモートセンシング)、IoTなどのミッションを持ち、主に低軌道上で運用されています。政府が主導して開発・運用をする何トンもの大型衛星に比べ、短期間かつ低コストで作ることができ、かつ、打上げも相乗りなどを活用して安くすることができます。一方、低軌道の小型衛星が地球上をカバーできる範囲は狭くなるため、商業サービスへの利用のためには衛星コンステレーション(複数衛星による一体運用)を構築します。小型衛星の打上げは今後10年間で大きく拡大することが見込まれており、打ち上げられた衛星の数は2,962個から13,912個まで4倍近くになると予測されています

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こちらは、日本の宇宙スタートアップが製造する小型衛星です。光学センサや合成開口レーダ(SAR)による地球観測、デブリ(宇宙ゴミ)除去、人工流れ星などのミッションを持っています。質量は100kg前後なので、原付バイクくらいの重さになります。

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2011年から2020年にかけて、約300回のロケット発射によって約3千の衛星が打ち上げられました。小型衛星の多くが、他の衛星とのロケット相乗りでまとめて軌道上に届けられます。

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小型衛星の活用事例

小型衛星のミッションの一つに、インターネット通信があります。世界では約30億人がインターネットに未接続と言われ、特にアフリカ、アジア、南米などの一部地域でインターネット利用率は依然として低いままになっています。衛星インターネットは、それらのデジタルデバイドの解消や、また、携帯電話の基地局設置が難しい山岳地帯、海や空の上などの通信手段としての活用が期待されています。
地球全体をカバーするために、数千から万単位の通信衛星を宇宙空間に配備する必要があり、巨大な資本力を持つスタートアップ企業がこの分野に参画しています。

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地球観測(リモートセンシング)も小型衛星の主要なミッションの一つです。宇宙にあるため災害に強い、広い地域を観測できる、同一のセンサを用いて一定の時間間隔で長期間にわたり観測できるなど、衛星の利点を生かして、広大な農地の生育状況をモニタリングしたり、漁業資源や海洋環境の把握をしたりしています。

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IoT衛星は、船舶や航空機のステータスデータを受信したり、通信モジュールからの位置情報や土壌の乾燥具合などを受信したりするミッションを持ちます。天候情報などを含めた効率的かつ安全な船舶のルートの確保や、家畜や土壌の管理などの用途に用いられています。

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宇宙ビジネスの可能性

宇宙ビジネス全体では、2019年度の市場規模は約40兆円にのぼっています。そのうち、政府予算など衛星以外の宇宙産業が3割弱、衛星関連の宇宙産業が7割強となっています。宇宙といえば衛星の製造やロケットの打上げのイメージが強いですが、実はその割合は全体の4.8パーセントほどに留まり、「スカパー!」などの衛星テレビや、GPS受信機などのセグメントが大きくなっています。

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証券会社大手Morgan Stanleyによると、2040年の宇宙ビジネスの市場規模は、消費者向けブロードバンドやインターネットなどのセグメントの伸長によりおおよそ100兆円にまで拡大すると予測されています。成長ドライバーとしては、衛星打上げ、衛星インターネット、深宇宙探査、月面着陸など10つが挙げられています。

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日本航空宇宙学会が発表した「JSASS宇宙ビジョン2050」によると、この30年間で宇宙旅行の人数が年間数百人から1,000人にまで増えるとされており、宇宙がより身近になっていく様子を見て取ることができます。

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米国の宇宙ビジネス特化ベンチャーキャピタルのSpace Capitalは、Silicon Valley Capitalと共同で発表したレポートにおいて、今後、地球観測衛星や通信衛星のビジネスがGPS(全地球測位システム)と同様に大きく成長する可能性を指摘しています。
GPSはアメリカ合衆国が運用する約30の衛星コンステレーションが提供しており、当初は軍事利用目的でしたが、1980年代から民間へ開放されました。2005年にGoogle Map及びそのAPIがローンチされ、その後、UberやTinder、Pokémon GOなど様々なアプリケーションが誕生し、40兆円を超える市場規模にまで成長しました。

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GPSアプリケーションがいわゆる“カンブリア爆発”を起こしたように、地球観測や通信分野のアプリケーションが爆発的に誕生するかの期待が集まっています。

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宇宙大国アメリカの現状

世界の宇宙ビジネスを牽引するのはアメリカ合衆国です。2020年のアメリカ合衆国政府の宇宙関連予算は5.2兆円と巨大で、ついで欧州1.2兆円、中国9,600億円、ロシア3,900億円、日本3,600億円となっています。日本も上位に位置するとはいえ、アメリカ合衆国と比較すると10倍以上の開きが出ています。

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アメリカ合衆国は、その巨大な予算を様々なプログラムを通じて民間企業に投資しています。ニュースペースを代表するスタートアップ企業Space Xは、NASA(アメリカ航空宇宙局)との開発・ミッションの複数プログラムの契約において、2016年までに約70億ドルの予算を獲得しています。(この他にも、国防総省からの予算も獲得していると言われています。)
政府は、Space Xなど民間企業との連携により宇宙開発・運用コストを大幅に下げることに成功しています。例えば、2011年までNASAが運用していたスペースシャトルに比べ、Space XのDragon 2は、国際宇宙ステーション(ISS)までの宇宙飛行士の輸送コストは7割も減少したと報告されています。

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政府よるスタートアップ企業への技術的、資金的なサポートは、多額のリスクマネーも招き入れています。宇宙ビジネススタートアップのグローバルな調達状況を見てみると、2012年から2020年の間に、1,472社が資金調達を行い、その総額は約20兆円に登りました。調達金額を地域別で見ると、その5割ほどがアメリカ合衆国のスタートアップによるものとなっています。

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米国では、著名な大手ベンチャーキャピタルに加え、特にリスクの高いシード期の宇宙スタートアップに投資をする宇宙特化ベンチャーキャピタルが宇宙ビジネスへの投資を積極的に実施しています。

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2021年には、8社もの宇宙ベンチャーがSPAC(特別買収目的会社)を活用した上場を行っています(発表分を含む)。足元の売上規模はゼロの企業もありますが、多額の資金を調達しR&Dを進め、数年後のサービスの本格的な展開・拡大に備えているようです。
これらの宇宙ベンチャーには日本企業も関わりを持っており、例えばAst Space Mobileには楽天が、Spireには伊藤忠と三井物産が、Arqitには住友商事が出資や事業提携をしています。
M&Aについても、同業他社の垂直的・水平的な統合が活発に行われている状況です。

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代表的な海外宇宙ビジネススタートアップ

海外の代表的な宇宙ビジネススタートアップは以下のようになっています。

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国内宇宙ビジネスの今後

一方、日本に目を向けると、NTT経営研究所によると宇宙関連産業市場は現在の1兆円から、2050年には4兆円を超えて成長する予測が発表されています。

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近年、日本政府も、民間による宇宙開発事業への本格的な参入のための法整備を進めました。さらに、内閣府が策定する「宇宙基本計画」の中で宇宙大国を目指すことを明示しており、「宇宙産業ビジョン2030」では2030年代早期に現在の宇宙関連産業市場規模(1兆円強)の倍増を謳っています。また、民間企業に対して1,000億円のリスクマネーを供給することも発表しています。

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国内の宇宙ビジネススタートアップの資金調達も2017年以降に一段高い水準になっています。2017年頃までは産業革新機構や日本政策投資銀行が投資を牽引していましたが、近年では大学系のベンチャーキャピタル、宇宙特化ファンドを持つベンチャーキャピタル、商社や建設業、航空産業などの異業種も投資を行っています。

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国内大手企業も、自らの事業、投資、共同研究開発などを通じて宇宙ビジネスに参入をしています。

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SPACETIDE社によると、国内宇宙ビジネスベンチャーは、衛星データ・宇宙技術利用の分野が27社と最も多くなっています。

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代表的な国内宇宙ビジネススタートアップ

国内の代表的な宇宙ビジネススタートアップは以下のようになっています。

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宇宙ビジネスにおける課題

宇宙ビジネスは、その不確実性の高さや投資規模の大きさにより、ビジネスリスクは高いものになっています。例えば、ロケット開発には、開発期間中も開発人員や実証実験のための多額の資金が必要になります。小型衛星は、初期の開発金額は限定的になりますが、商用サービスの展開に向けて数百以上の衛星コンステレーションを構築していく上で資金需要が大きくなります。海外の有名宇宙ベンチャーの中には、破産法の申請に至ったものもあります。こういった不確実性の高い分野には、特に国策としての支援の必要性が大きいように思います。
米国の宇宙関連コンサルティング企業Bryce Space and Technologyによると、宇宙ビジネスの参入において比較的参入が容易なのは、小型衛星製造、地球観測衛星コンステレーション運用、地球観測衛星データ・アナリティクスとなっています。

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地球観測衛星ビジネスにおいても、幅広いエンドユーザーによる衛星データの利用促進のためには、衛星画像の販売にとどまらず、他の地上データと組み合わせてソリューションを提供するサービスを展開する必要があるでしょう。IoT衛星ビジネスの中にも、エンドユーザー向けにSaaSサービスを提供し、売上成長を実現しているスタートアップがあります。

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まとめ

宇宙ビジネス市場は、引き続き官需が下支えをしながらも、宇宙の商用利用の拡大により成長していくと見られます。引き続き、政府のアンカーテナンシー(政府による一定期間の購入契約)、シードからレイターにかけてのVCマネー、SPACを含めたIPOや同業他社によるM&Aなどエコシステムが成立している米国が市場を牽引していくでしょう。
宇宙ビジネスの中でも、ハードの比重が高い分野は、初期投資額が大きく売上成長までのタイムラグが長いことから、政府や大企業、大資本家などのサポートが得られるかが重要になりそうです。比較的参入のしやすい衛星ビジネス分野は、地上データを柔軟に組み合わせ、いかにエンドユーザーに対して価値あるソリューションが提供できるかが鍵になるでしょう。あるいは、「金を掘らずに、金を掘る道具を売る」というように、ロケット打上げや衛星製造・運用のサポート、共通部品などの分野に注目をするのもいいかもしれません。

この数十年間で、私達の生活に大きな影響を与えそうな宇宙ビジネスを、今後も注目していきたいと思います。

最後に、今回のnote執筆にあたり参考にさせて頂いたサイトを掲載いたします。ありがとうございました!

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ひとこと

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