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温泉×観光列車×酒。最強の組み合わせを満喫する山形&仙台日帰り旅行記

4月某土曜日の午前8時。新宿駅にやってきました。
今日は山形方面に行くのですが、新幹線代が高くつきます。読者のみなさんも、大宮まで在来線で行き、そこから新幹線に乗り換えるという選択肢を考えるかもしれません。とはいえ私はお金のない貧乏大学生です。大宮から新幹線で山形まで行くそんなお金なんてどこにもありませんので、今日はもっと遠くの宇都宮までは在来線で行き、特急料金をケチります。

昨日も夜遅くまでバイト、今朝は6時半起き。眠い目をこすりながら、寝過ごさないようにします。

いやあ、それでも宇都宮までは在来線で2時間ほどかかります。そこで威力を発揮するのがグリーン車。お金ないんじゃないんかい、と突っ込まれそうですが、JRE POINTがたんまりたまっていますので、600ポイントを消費して実質無料で乗ることができるのです。最近普通列車グリーン料金の体系が変わりましたが、ポイントで乗る私のようなヘビーユーザーにはなにも関係ないのです。

宇都宮に到着し、ここからは新幹線に乗り換え。みどりの窓口に並んできっぷの変更をしていたら時間がかかりすぎてしまい、例によって発車2分前に改札を通ろうとしました。しかし、特殊なきっぷを使っているためか、自動改札に通らず、駅員さんに見せる羽目になりました。

もう一度言います、発車2分前です。

こちらはこんなことをいつもやっていますので、何も慌てませんが、駅員さんの方が焦っていました。やってきたのは山形新幹線つばさ号の最新の車両、E8系。デビュー1か月にしてようやく初乗車です。

ぴっかぴか。車内も新車の匂いがします。

新幹線や在来線の特急列車の特急料金は、100kmまではいくら、200kmまではいくら、といった具合に距離によって決まります。ですので、たとえば101kmの区間で乗ってしまうと"大損"なわけです。時刻表にすべての駅間の距離が載っていますので、それを参照しながら宇都宮からどこまで乗るかを決めていくというのもひとつの手です。

で、自由席がなくなったことを悔やみつつ決めた乗車区間は「宇都宮から高畠まで」。板谷峠を越えて、米沢の少し先の駅です。
高畠で降りた理由はもうひとつ。これです。

「温泉のある駅」・・・?

噂には聞いていましたが、ほんとにありました。

ゆ!

この高畠駅は、駅舎の中に温泉がある駅という全国的にも珍しい駅となっています。というより、温泉のある施設に駅舎がくっついている、と言った方が正確らしい。「温泉のある駅」ではなく「駅のある温泉」です。

入浴料は大人400円。もちろん待ち時間に入ってきました。浴室にシャンプーとボディソープもあり、この手の温泉施設にしては安いと思います。浴室の屋根は見た感じ木造で、いい味出していました。

風呂上がりの1杯とつばさ号の特急券購入を全力で我慢しつつ、高畠からは後続の普通列車で山形へ。ここからはいよいよ本日のメインディッシュ、「風っこ仙山線春風」号に乗車します。

キハ48型を改造した観光列車「びゅうコースター風っこ」という車両が使われ、急こう配の仙山線を走るにはおそらくエンジン出力が足りないため、ED75型交流用電気機関車による牽引で運転されます。ED75は国鉄時代から続く残り少ない機関車ということもあり、鉄道マニアからは大人気。今日写真を撮っている人の大半は機関車目当てではないですかね。私はその中でもかなりライトな部類に入ると自覚していますが、今日はNikonの一眼レフカメラを家から持ち出して撮影しました。スマホとは違って望遠でもきれいにうつせるのが一眼レフのいいところですね。

赤と緑がよく似合っていると思うのですがいかがでしょう。途中下車して線路沿いの駐車場からレンズを延ばして撮影。

機関車を車両の前後で付け替える(ここまで回送として持ってきて、折り返すからです)ことを機回しといいますが、今回は機回しの際にED75がなんと目の前に来てくれました。近くにいた撮り鉄ガチ勢の方と思わず喜びを分かち合いました。彼は「あらあワイパーがあああ」と、ワイパーの位置がやや不満だったようですが、なにが不満なのかは私にはわかりませんでした。そこらへんの事情にもう少し詳しくなりたいので、聞けばよかったかしら。

左沢線のキハ100とともに。入換担当の機関士さんが前に立つのも今や貴重な光景です。

線路内人立ち入りなどトラブルはありましたが、おおむね順調に進んでいきます。こちらは山寺。松尾芭蕉が「閑さや岩にしみ入る蝉の声」と読んだことで知られるお寺で、文字通り山の上にあります。ここからだと清水の舞台とどことなく通ずるものがあるように思います。

画面中央やや上にちょこっと建造物があるのがわかるでしょうか?

作並駅では、長めの停車時間の間に地元の観光協会の方が車内にいらっしゃいました。お金がなさすぎてランチを抜いていた私は、よっしゃ車内販売だと思い、勇んでかばんから財布出したところ、なんと無料配布でした。お茶にお団子、作並温泉タオルまで。

いただいた観光案内のパンフレットを見るに、このお団子は串団子で有名なつつみ屋さんのもののようです。丸い団子ではなく、ひらべったいまん丸の餅の両面にあんが塗ってある状態。
4人用のボックスに4つずつ配られましたが、見知らぬおじさんと相席となっていましたので、とりあえず2つずつ、あんことくるみを分け合っておきました。

冷えているお茶までくれたのは驚きです。

事前に空席を確認したところ、ほぼ満席。しかし実際の乗車率は見た感じ8割にも満たないようでした。これはおそらく、きっぷ欲しさに指定席だけ取っておいて、実際には乗らないという不届者が一定数いる証拠でしょう。私は真逆で、「きっぷがほしいから乗りに行く」と考えています。

ともかく、こんなにいろいろいただいてしまっては、また訪れるしかありませんね。つつみ屋は駅前にあるので、5分くらい停車時間があれば全速力で買ってこれそうです。また来てもらおうという作戦にまんまと陥れられそう・・・。

そして仙台に到着。もちろんここでもホーム上で大撮影会が開かれておりました。当然私も参戦しました。こういうのは反対側のホームから撮影するのがおすすめですが、なにか列車がやってくると撮影できませんので、こればかりは運任せです。今日はあと30分ほどは列車がやってこないようでしたので、平穏無事に撮影できました。

到着後すぐに切り離し作業をしていました。

トイレとJTBに行きたかったので、列車がホームを離れるところまでは見届けませんでした。今日も仙台駅のみどりの窓口は、2階在来線改札横にあるものと3階コンコースにあるものの両方が長蛇の列でした。ここで急いでいるあなたへ、おトク情報。仙台駅徒歩3分のJTBトラベルゲート仙台がおすすめです。

旅行代理店ですが、この店舗はJRのきっぷを発券する機械を置いていますので、みどりの窓口に並ばなくてもJRのきっぷを単体で購入することができます。学割の乗車券も購入可能です。その際の手数料などはかかりません。額面1,000円のきっぷなら1,000円で買うことができます。ただ、クレジットカードで決済してしまうと変更や払い戻しは買った店舗でしかできないことと、営業時間が駅のみどりの窓口より短いので、そこだけはお気を付けください。

一通り買い集めたところで、仙台からは品川行きの特急ひたち号、それもグリーン車で帰ります。株主優待割引でグリーン料金まで4割引きにしてしまいましょう。

案内表示機に福島とか仙台空港とか石巻とかが並ぶ中に「品川」はどう考えても場違いです。

駅弁屋で牛たん弁当とサンゴー缶の一番搾りをJRE POINTを使って実質無料で調達。品川まで5時間近くかかりますので、車内で食べます。

列車の中でぷしゅっとやるのが長年の憧れでした。20歳になってついに解禁。

黄色い紐をひっぱると音を立てて温まり始めます。5〜6分待つとできあがりです。うふふ。

米+ビール。若さゆえになせる技です。

染み渡るうまさに景気良くあがる湯気。ランチを抜いてここまで引っ張ってきてよかったと心から思える瞬間です。

とはいえ飲み足りない・・・と思って車内販売で追加購入。やっぱり素直に最初からロング缶2本にしておけばよかった。

かばんに近鉄おしぼりを発見。持っててよかった。

震災のあと、常磐線が全線で運転を再開したのはつい4年前のこと。線路の場所も変わり、街も人も変わっていきます。真っ暗闇でほとんど何も見えませんでしたが、亡くなられた方や今もつらい思いをされている方々に思いをはせながら乗っていました。次来るときは、途中下車しながらゆっくり乗っていきたいと思います。

などというこの先の旅行の計画を立てつつ、うとうと。いい気分になったところで終点の品川に定刻で到着。ついてしまえば4時間50分の長旅があっという間だったと思います。時速130kmで飛ばしていく区間もありますので、乗っていて楽しかったです。


今日も最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。
それでは。

〈執筆:R〉

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