【MTG】《血染めの月》は何をして何をしないのか ~「基本」という特殊タイプ~
プレインズウォーカーの皆様こんばんは、ストライクです。
先日こんな質問を受けました。
「《血染めの月/Blood Moon》で山になっている《エルドラージの寺院/Eldrazi Temple》を《大爆発の魔道士/Fulminator Mage》で破壊できますか?」
解答は「破壊できます」。
…で終わっても問題ないのですが、「では何故”破壊できる”のか?」はちょっと複雑で面白い話になりそうだなと思ったので文章としてまとめてみることにしました。ルールの背後にある「何故?」に興味がある方はしばしお付き合いください。
※この文章は2021/12/10現在のルールに基づいています。
※諸々の理由により誇張・省略・単純化などを行っています。誤りを見つけたらコメントなどでご指摘いただけると幸いです。
まずは《血染めの月/Blood Moon》のテキストを確認しましょう。
シンプルでいいですね。
いきなり余談なんですが、「Blood Moon」を「血染めの月」って訳した人天才じゃないですか?イラストやフレーバーテキストも大変詩的でかっこよく、赤く染まった空とそれを見上げた瞬間の絶望感がカードのもたらす圧倒的制圧力とシンクロしていてデザインの完成度に痺れます。
マスターズ25th版はフレーバーテキストがない代わりにテキストボックスに三日月の透かし(The Darkのエキスパンションシンボル)が入っている仕様なのですがこれも最高にクール。このカードとシンボルの組み合わせをやるために決められた仕様なんじゃないかと邪推してしまいます。
壮大に話が逸れました。
では具体的にどういうルール処理を行っているのか?を誇張して書くとこんな感じになります。
急に何言ってるのかわからなくなりました。順に説明していきます。
まずカード(など)にはカード・タイプというパラメータが存在しており、それらはカードの「タイプ行」に記されています。「基本土地 - 森」とか「伝説のクリーチャー - エルフ・ウーズ・ウィザード」みたいなやつです。
これらは一行にまとまっていますが、厳密には
「特殊タイプ」
「カード・タイプ」
「サブタイプ」
の3つに分かれています。なんでカード・タイプだけ中点入ってるんでしょうね。また話が逸れた。
このうち、カード・タイプは全てのカードが持っていますが特殊タイプとサブタイプはカードによってある場合とない場合があります。例えば《血染めの月》はカード・タイプ「エンチャント」のみを持っていて、特殊タイプとサブタイプは持っていません。
また、サブタイプはカード・タイプが変わるとそれに釣られて失われることがあります。他2つはそういうことはなく、独立した存在です。
これをふまえて《血染めの月》の処理を順番に見ていくとこうなります。
1.カード・タイプをチェック。「土地」を持ってたら2へ。
2.特殊タイプをチェック。「基本」を持ってなかったら3へ。
3.サブタイプを「山」にする。
この3.が《血染めの月》の肝で、これによってサブタイプが定められたカードは以前のサブタイプだけでなく様々な物を失ってしまいます。以下にルールを引用します。
このルールによって土地は赤マナしか出せなくなるわけです。
ですが前述のルールにある通り、変わったのはあくまでサブタイプだけで特殊タイプとカード・タイプは変化していません。
それでは《大爆発の魔道士》のテキストを確認しましょう。
これも月と同様の表現で言うと、特殊タイプ「基本」を持っていない土地のみを対象にすることができます。
特殊タイプは変化していないので、月がある状態の《エルドラージの寺院》は「土地 - 山」です。これは”特殊タイプ「基本」を持っていない土地”なので、無事に《大爆発の魔道士》で破壊することができる…という寸法です。
同様に「氷雪」「伝説の」なども特殊タイプなので、カード・タイプやサブタイプを変える効果では消えません。《氷牙のコアトル/Ice-Fang Coatl》や《カラカス/Karakas》を使うときには重要になるでしょう。
6文字で解答できたはずの話がずいぶん長くなってしまいましたが、無事に伝わったでしょうか。
MTGのルールは大変複雑で、何年ルールを勉強していてもまだまだ分からないことがたくさんあります。ですが、ルールを辿って1つ1つ処理していけばいつか明確な解答に辿りつける(稀にたどり着けないこともあるのですが後々ルールが追いついてくれます)のが素晴らしいところだなとずっと思っています。
もしこの文章を読んで「MTGのルールって面白いかも?」と思ってくれた方がいたら嬉しいです。よかったら一緒にルール文章を読みながら「”特殊”なのに”基本”って何?」と突っ込みをいれませんか?
それでは。
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