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インドカレーサバイバル🍛

インドカレー屋ができた

近所にインド人のやっているインドカレー屋さんができました。

ぼくは祖父がインドで働いていた事もあり、インドと名のつくものが好きなので、早速入ってみました。インド人の夫婦が経営されているようです。カタコトの日本語で奥さんが出迎えてくれました。店主は、店のおくで厳めしい顔をしています。まぁインドの方は彫りが深いので特に感情の起伏はないのかもしれません。店内を見渡すと手作りっぽい棚や机に山と積まれた香辛料と食材の袋。最近よくある雰囲気スタイリッシュインドカレー屋さんの小道具としてではなくて、実際つかう食材を素朴に置いてあるようです。壁には片手を上げてにこやかに笑うやたらフレンドリーなシヴァ神らしきポスター、手にはむちむちの赤ちゃんのような頭が象のガネーシャ神を抱いていますし、周りにはシヴァファミリーが。シヴァ神もインド料理屋でみるときはその全身青白い肌色に似合わず息子差し置いてビジネスサービス精神が旺盛です。

よし!全方位インドみがある!これだよこれ、こういうのが良いんだよ。

ヒンドゥー語なのか全く読めませんし何が書いてあるかわからないけど食材とインドポスターと簡素にすぎる店内の内装、部屋のすみに自分達が吸うようであろうシーシャのボトルがひっそりとおかれている辺り紛れもないインド人コミュニティの息づかいを感じて満足しました。

その日はカレーをテイクアウトする事に。マトンカレーを頼みましたがしっかりとしたカレーのなかに溢れ買えるほどのマトンが浮かんでいて一食500円。経営する気があるのか、まだ日本の通貨の感覚になれていないのか怪しむほど安いその値段にショックを受けつつまた行くことを決意しました。

インドカレー屋再襲撃

前回のテイクアウトに満足したので今度は店内で出来立てのカレーを実食したくなったので。再び来店。

店内には心なしか食材の量が増えているようです。そして初めて見る若いアディダスのジャージのインド人のお兄さんが荷物を搬入しています。ぼくの習っているロシアンマーシャルアーツ、システマではアディダスはだいたい猛者のロシア人の先生が着てるブランドなので、なんとなくインド人のお兄さんも強そうに見えてしまいます。

店内のカレーライスは550円、カレーの種類を選べるセットで800円くらい。カレーライス単品では写真からはかなり控えめな量の構成のようです。

(なるほど、とりあえずスナック感覚でこのカレーライス単品食べて帰ろう)

ぼくはダイエット中なので、控えめな量が示唆されているカレーの単品を頼みました。

店内のポスターに描かれてあるシヴァ神の手のひらが他の肌が青黒いのにたいし普通に肌色であることを発見して狼狽している間にカレーが運ばれてきました。

(え!?量多くない?)

そこにはタライのような容器に1キロ近い米となみなみとカレーの海が盛られていました。どう考えてもメニューの写真の量の3倍はありそうです。

(これはこの店のスタンダードなのか?メニューの写真が間違っているのか、普通にこの量をいつも提供しているのか...)

チラッと厨房をみると亭主の男性が巌のような厳しい表情のまま「サビィス!」と顎を付き出して手を振って宣言します。

ナンとそれはサービスだったのです。ぼくは良く定食屋に行ったりすると普通盛りを頼んでも「大盛りかと思った!」と大盛りを出されたり「兄ちゃんからだデカイから大盛りにしといたよ!」「この皿はサービスね!」とか言われて勝手に量をMAX+アルファにしてくださる事がよくあるのですが、今回もそのパターンだったようです。さすが施しの国、インド、ナマステいただきます~お礼を言って巨大カレーに挑みました。

唐突に日印交流試合が始まったのです、そんなときにダイエットできますか?いやむしろダイエットは明日もできますが、このナマステカレーは今日今しか食べられません。すべき事をするべきです。

そうやってカレーと格闘する事しばらく、削岩機のように米を彫り進めていくとようやく半分くらいになりました。カレーも決壊する前のダムみたいな量をいれてくれたお陰でカレー切れにもならず、まさに残りは消化試合モード。ぼくも伊達に毎日ダイエットしてたわけではありません、胃の空き具合には自信がありました。血液がカレールーに置換される前になんとか完食できそうです!

しかしその時微笑むシヴァ神と同じポーズで店の奥さまが超巨大なナンを抱えてやってきました。こちらのナンは明らかに皿からはみ出しています、シヴァ神の抱える象頭の神様、ガネーシャよりも大きいくらいのサイズです。

ぼくは目を丸くして奥の厨房を見ました、すると...

「サビィス!!」

メンドクセェ事をいわせんなよ的な厳めしい表情で、煙たそうにご主人が手をヒラヒラさせています。

ちょ......

ナ、ナマステッッ!!

その時店内には近所のインド人学生のグループでしょうか5、6人の若いインド人たちが来店して来ました。

自分の生まれそだった町で完全にインド人のなかの唯一の日本人となってしまった私は迂闊にも日本の誇る「お・も・て・な・し」をインド人に受けまくることになってしまったのです。

このナンを断れば日印関係にヒビが...☺️ちょうどまだお腹に空きもあったのでありがたくいただくことにしました。そして奥さまが

「カレーは!?」

ぼくはナンを口一杯頬張りながらカレーの追加の申し出にハンドサインで返しました。

っていうか、その時気がつきましたがメニューにはおかわりできませんってかいてあるじゃん(笑)

...それからしばらくガネーシャヘッドナンと格闘し、追加のカレーの救援をえてなんとかナンを平らげた後、追加でタンドリーチキンを食べて帰ったのです。

シヴァ神に見守られながらのカレージャングルからサバイブしたぼくは、インドとインド人の懐の深さと万華鏡のようなスパイスの香り高さを思い出しながら、次回はカレーセットを頼もうと決意するのでした。ダイエットの合間にね。



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