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野良サーファー、タイに戻る。

毎回毎回、ブログを書こう!と意気込んでは、派手に自分のSNSで告知して、最初の数回はノリノリで、その後最初考えていた(誰も気にしていないであろう)「方向性」みたいなものを見失い、どうでもよくなって、辞める。これの繰り返しをずっとしてきたため、私にもかろうじてある学習能力が、何か書きたいな、と思うたびに「やめとこうぜ、どうせ続かないし」とストップをかけてくる。それでも、文章を書きたい病は定期的に襲ってくるし、インスタグラムのストーリーでぶつくさ言うのも面倒くさくなってきたので、ここにあくまで自分用の備忘録のノリで書いていこうと思い立つ。なので、もし更新がなくなっても、放っておいてもらいたい。インスタグラムにてマンガを描いていたのだが(過去形だけどいずれまた描く予定)、旅先とかで描けずに更新が空いたりすると、フォロワーの方から「マンガはいつ描くんですか?」とメールを頂くようになった。そんなにマンガを待ってくれているなんて有り難いなと思いつつ、そういうコメントがどんどん増えてくると、「いや、マンガで生計立ててねーし。有料コンテンツなら君は会員登録してくれんのか?」と、偉そうな気持ちにすらなってきた。すみません。よって、ここではそういうプレッシャー抜きに、そして「方向性のない」方向性で、好きな時に好きなことを書いていきたい。

さて、私はしばらくサーフィンのためにスリランカに滞在した後、数日前に一応拠点にしているタイの南部に帰ってきた。一応というのは、多分トータルで半年くらいしかここにいないからだ。

同じ南部でも、私が滞在していたスリランカのウェリガマと違って、タイは暑い。あっちも暑かったが、種類が違う。ここは何というか、コンクリートと排気ガスのせいで余計に暑くなっている。生ゴミの色と匂いが染み付いた、大型バスが遠慮なくぶっ飛ばしていく大通りを歩きながら、「はあ、スリランカのように、もっと多くの緑を残していればいいのになあ」と思いつつも、こういう思考は傲慢でしかないとやはり思い直す。

私は人生の半分、日本で過ごしていないけれども、パスポートは日本だし、れっきとした日本人である。世界でもトップ10に入るであろう先進国出身の人間だ。だからこそ、自分達先進国は、好き勝手に自国の自然をぶち壊して、インフラを整えてその恩恵を受けまくった暮らしをしているくせに、よその国で時々「田舎暮らし体験」を楽しみたいからといって、「自然を壊すな」というのは非常に傲慢だといつも思う。もちろん、散々自然を壊して失ったからこそ言えることでもあるのだが、じゃあスリランカのジャングルの中で暮らす人に、安定した電力プラスwi-fiと、スマートフォンと、エアコン、病院や大型スーパー、そしてそれにサクッと行ける整備された道路や公共交通機関、清潔なペットボトル入りの飲料水をあげると言って、断るわけがない。便利であることに越したことはないし、人類の歴史も、その追求に費やしてきたわけで。

日に焼けたローカルのおじさんが、くしゃっとした笑顔で家の周りで採れたバナナを分けてくれ、「お金なんてなくても幸せだよ」という姿に、先進国の旅行者はもう心を鷲掴みにされ、神の言葉を聞いた気分になり、「そうだよな!人生は楽しむためにあるんだよな!」と、過去2週間の旅行で散財している若干の後ろめたさや、休職中の身分を全肯定された気持ちになって目を輝かせるが、そのローカルのおじさんは比較対象となる経験が無いだけで、そして今後も多分する予定がない。ある意味、無自覚の悟りの境地に立っているからこそ言っているだけである。もしそのおじさんに、50万円あげると言っても断らないだろうし、多分、より一層の幸せを、一時的には感じるはずである。カンボジアなどの田舎の小学校にボランティアに行って、「子供たちの笑顔に、人生はお金じゃないと感じた」という意見は、別に否定もしないけど、もうちょっと踏込んで考えればいいのになと思う。何かの拍子に、私たち庶民の家の前にビヨンセとジェイZ夫妻が現れて、パニックゾーンに陥りつつも、とりあえず何かおもてなししたい、という思いから、お歳暮でもらった千疋屋のお菓子をお出しする。家にある一番イイやつだ。それを夫妻は喜んで食べてくれて、「人生はお金じゃないわね!」と言い出したら、なんかこう、若干侮辱された気になるだろうし、「億万長者のお前がいうな」と突っ込むだろう。私たちだって、ビヨンセ夫妻までとは行かずとも、生活をさらに便利にアップグレード出来るチャンスが来たら、喜んで受け取るはずだ。

だから私は、人がより良い便利な生活を求めることを否定しないし、むしろ当然の権利だと思っている。自然がそれで失われていくことも、残念だけども、何か言う筋合いはないと心底思っている。そして自然の大切さや尊さを説くよりも、「自然を残していた方が、将来的にお金になるよ」と言ったほうが絶対に説得力があるし、事実、本当にお金になると思う。大型リゾートをオープンさせるよりも、おしゃれなエコリゾートの方が受ける時代である。環境団体は、他人の利便性の追求を邪魔し、自然破壊を訴える運動よりも、「今後発展が見込まれて観光客が急増しそうな」地域に対して、自然を売りにしたツーリストアトラクションのビジネスモデルを仕込んでいく方が、理に適っているし、双方のためだよな。

そんなことを、冷房の効いた部屋の中で思う、暑いタイの午後。

やっぱりサーフィンもっとしたい、スリランカに戻ろうかな。





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