マガジンのカバー画像

強い経理のつくりかた

80
強い経理があれば長寿企業になるわけではないけれど、長寿企業には必ず強い経理があります。強い経理になるために経理部員に何ができるのか、考えていきたいと思います。
運営しているクリエイター

2024年3月の記事一覧

【経理】無駄な節税をしなければ、会社を守れる。

こんにちは、きくちきよみと申します。 税理士です。 中小企業の経理さんは、年度末近くになると節税対策を経営者に求められることが多くなるかと思います。 今日は、「無駄な節税対策をしなければ着実に現金が貯まるので、無駄な節税対策をしないことが、長寿企業のコツ」ということについて書きます。 節税対策のほとんどは、お金が出ていく方法。法人で「節税対策」と呼ばれる対策のほとんどは、「お金が出ていく節税」か、「税金の支払いを繰り延べる(後回しにする)」かのどちらかです。 法人税は

【経理】税務の情報ソースの選び方。

こんにちは、きくちきよみと申します。 税理士です。 経理・財務・法務、といった会社の管理部の方は調べものをすることが多いと思います。今日は、特に税務に関してどのような情報ソースを選んだら良いか、ということを改めて整理してみます。 調べ方はなかなか教えてもらえないことだったりするので、どなたかの参考になれば幸いです。 注) 記事内で具体的な書籍・雑誌名に言及していますが、あくまで現時点の個人の見解ですので、ご利用の際は自己責任でお願いします。 法律に勝る情報ソースはない

【雑談】すべての給与計算ソフトに、"賃上げ促進税制の集計判定ツール"が欲しい。

こんにちは、きくちきよみと申します。 税理士です。 令和6年度の税制改正大綱では、賃上げ促進税制の大幅な拡充が盛り込まれました。 この税制ですが、基本的には「前期と当期の従業員給与金額を比較して、"賃上げしている法人"と認められるような一定の要件に該当すれば、税額控除(法人税を少なくする特例)を受けられる」ものです。 特に、従前は赤字の年度ではこの税額控除は適用できなかったのですが、中小企業型の税額控除では5年間の繰越ができるようになったため、基本的には毎年集計すること

【経理】"得意"を増やすより、"苦手意識がない"を増やす。

こんにちは、きくちきよみと申します。 税理士です。 中小企業の経理さんは、経理業務だけでなく、総務や他の事務作業を兼任することも非常に多いと思います。すべてを完璧にこなすために無理な努力を重ねがちな人も多いと思いますが、今日は「『得意なことを増やす』ことを考えるより、『苦手意識がないものを増やす』ことを考える方が、無理なくステップアップしやすい」ということについて書きます。 苦手意識がないものは、いつの間にか得意になる。その会社での役職に関わらず、優秀な中小企業の経理さん

【経理】その仕事の、最終走者は誰か?

こんにちは、きくちきよみと申します。 税理士です。 今年もお客様の所得税確定申告が全件終わり、やっと一息ついたところです。弊社は法人顧客が基本なので所得税申告案件はそれほど多くないのですが、それでも、提出期限があるものは気を使います。 ・・・ということで、本日は「作業期限」の話です。 99.9%の仕事は複数の方のリレーで完成すると思いますが、「自分が最終作業者だから、自分がこの日までに終わらせれば大丈夫」「自分の後に〇〇さんの作業があるけど、〇〇さんは絶対何とかしてくれ

【経理】月次決算を早期化するには。

こんにちは、きくちきよみと申します。 税理士です。 月次決算は、経営者が自社の現在の状況を把握し、今後の方針を検討するのに必須です。一方で、様々な理由から、月次決算が締まるのが遅いことが悩みの種になってしまっている会社さんは多いと思います。 今日は、月次決算が締まるが遅くなる理由と、月次決算を早期化する方法について、改めて整理したいと思います。 <月次決算が締まるのが遅い理由>業種や会社の状況により理由は様々だと思いますが、中小企業でよく見る例を挙げてみます。 ①売上

【経理】上司や経営者に言いにくいことは、他の人に言ってもらったら良い。

こんにちは、きくちきよみと申します。 税理士です。 経理さんは、会社の仕組みの中で「おかしいな?」ということに気づくことが多いと思います。今日は、自分が上司や経営者に言いにくいことは、他の人に言ってもらったら良い、ということについて書きます。 疑問・問題に気づくが、言いにくい。経理には会社のあらゆる情報が集まる上、経理さんは記憶力・記録力に優れた方が多いので、「おかしいな?」と思うことが非常に多いと思います。 一方で、それをすぐに言ってしまうことを避ける傾向も顕著です。

「買(こ)うての幸い、売っての幸せ」~高田郁「あきない世傳 金と銀」より~

こんにちは、きくちきよみと申します。 税理士です。 表題の通り、高田郁さんの「あきない世傳(せいでん) 金と銀」というシリーズ小説を最終巻(スピンオフである特別巻・第15巻)まで読み切りましたので、今日は、このシリーズについて感じたことを書きます。特にネタバレをするつもりはありませんが、少しもヒントを得たくない方は、ここでこのまま閉じて頂けますと幸いです。 **********************************************************