本好き精神科医

児童精神科と一般精神医療、そして緩和ケアに従事しながら、哲学や倫理学、心理学、現象学な…

本好き精神科医

児童精神科と一般精神医療、そして緩和ケアに従事しながら、哲学や倫理学、心理学、現象学なども勉強中です。

最近の記事

医療の基本としての、変わらない態度・安定感

変わらないこと、いつもそこにいること児童精神科医として、色々な親子と接していると、「一貫した、変わらない態度」が「本当の愛」だというのは、本当にそうだなと感じます。 不登校の子への接し方として親御さんに伝えるのも「いつも通りに接してください。休むことがフツウの、日曜日みたいに」とお伝えします。 いつも通り、変わらず接することが、「学校に行けても行けなくても、何かができてもできなくても、あなたは変わらず大切な存在だよ」というメッセージになるからです。それは何かができることで培

    • 優しさは、不安と向き合いながら平静さを保つ勇気から現れる

      平静の心(ウィリアム・オスラー)医学教育の基礎を築いたと言われる内科医の父、ウィリアム・オスラー。 オスラー先生といえば、日野原重明先生です。聖路加国際病院の名誉院長であり、日本の医療における死生学を先進的に取り組んでこられた方。このオスラー先生の講演集を「平静の心」と題して邦訳されました。 医師にとって最も大切なことは、どんな時も「平静の心」でいることだと。 精神科医にとっても、冷静沈着・平静でいられる心構えはとても大切です。患者さんの話を聴きながら、共に悲しんだり、身

      • 医師を志した原点と、死生観と「優しさ」

        死生観を考えるようになったきっかけ死生学から見たやさしさとは何だろうかと考え始めたのは、医者になろうと本気で考え始めた頃でした。人の役に立てる仕事に就きたい。困っている人を目の前にした時に、何もできない自分ではいたくない。 最もヒトが助けを必要とするのは、どんな時だろう…。 それは、死と向き合うとき。なんとなく、そう思いました。 ヒーローみたいな、スーパードクターにはなれないけれど、静かに寄り添い、最後まで見捨てないドクターもいてもいいはず。そんな想いからの出発でした。

      医療の基本としての、変わらない態度・安定感