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コンピューター業界でレイシズム排除の動き マスター/スレーブという言葉はもう使わない

日本では森喜朗氏のジェンダー差別発言があったこともあり性差別に対する関心がにわかに高まりましたが、今日のNew York Timesの記事によりますと海外ではコンピューター業界でレイシズム=人種主義を排除しようとする動きが出ているようです。

コンピューターの世界では複数の機器が協調して動くときに、役割としてコントロール役をする機器をマスター、コントロール役の指示に従う機器をスレーブと呼ぶのですが、これは直訳すれば主人と奴隷という意味になります。私もかつてソフトウェア業界にいましたので普通にこの用語を使っていましたが、個人的には全く違和感を感じたことがなく、今朝のこのニュースを見るまで特に気にしたことがありませんでした。

確かに、人種差別を受けていると感じている人にとってはこの呼び方は耐え難いですよね。こういう言葉が普通に業界標準になってるなんて、という話です。だから、business manbusiness person と改められるならmaster/slaveも別の言葉に置き換えられるべきというのは当然の主張だと思います。さらにここから発展して、ブラックリスト/ホワイトリストという呼び方もやめようという話になってきました。

ところが業界が大きくなればなるほど調整が難しく、実行に移るまでけっこう時間がかかります。リンク先の記事にも書かれていますが、この件を検討しているタスクフォースは新しい検討グループを立ち上げて、年内に素案を発表するとしていました。なかなかの遅さです。先日のCIAの話ではないですが、エージェントの仕業かという話です。

しかしここでMySQL(オープンソースのデータベースであるMySQLを管理する団体)が一歩前に出ます。私たちは社内では違う単語を使うことにすると。

master --> source
slave --> replica
blacklist --> blocklist
whitelist --> allowlist

社内で徹底する分にはそれほど難しい手続きはありませんからね。そしてその直後、ツイッターが続きます。私たちはさらにジェンダー・イコールも実行すると。

guy --> folks, people, you all, y'all
he/his/him --> they/their/them
man hour --> person hour, engineer hour

さすがソフトウェア業界、動きが早いですね。ソフトウェアというのはその性質上、トライアンドエラー=試してみて問題があれば修正するということが文化になっているので、何か新しいことに取り組む時は早いです。このソフトウェア業界の先進性がこれからも世の中を引っ張っていくのではないかなと思います。

ちなみに、上の写真は映画「風と共に去りぬ」のワンシーンです。主人公のスカーレット・オハラと彼女の家に仕えているメイドさんですが、このメイドさんが口うるさい婆やみたいで、まるで家族のように対等に接しています。特にアメリカ南部では過酷な労働をさせられた奴隷も多かったと思いますが、このように家族同様に扱われていたケースもあったと何かで読みました。いつの時代も人を平等に扱おうとする人はいて、そういう人たちの力で少しずつ世の中は良くなっていくのだなと思います。


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