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無情の宣告。「このままでは、どこにも受かりません。」

あの日のことは、
一生忘れられません。 

7月前半の土曜日。
幼児教室にて。

担任の先生と面談しました。
授業を終えた後の娘は、
別の部屋で遊んでいました。

現状の成績を眺めた先生は、
先生が勧めてくれていた志望校
(慶應幼稚舎、青山学院初等部、学習院初等科、
雙葉等の女子難関校、その他女子校)
を改めて挙げつつ、
「おそらく、どの学校も、御縁をいただくのは
難しいでしょう。
ペーパー力が、かなり不足しています。
慶應幼稚舎は、ペーパー考査がないので、
絵画・制作、運動、行動観察で戦えますが、
最難関なので、どうなるか。」

えっ?

先生が、慶應幼稚舎を強く勧めてくれたから。

そして、雙葉も勧めてくれたから。

あれっ?

試合結果が、見えてる?

しかも、どこも受からない?

愛娘、懸命ですよ。

前年の12月に、急に、
わけもわからず、幼児教室に入れられたのに、
けなげに家でプリントをこなし、
週末、一緒に絵を描いたり、
段ボールを使っていろんな制作をしたり。

なわとびも頑張ってますよ。

ボール投げも、ようやく
まっすぐに、遠くまで
飛ぶようになってきた。

ママのお手伝いも、
ちゃんとやってますよ。

洗濯物を小さな手でたたんだり、
割らないように、丁寧に食器をふいたり。

ちょうちょ結びは、まだできないけど、
何度も何度も練習してる。

辛いだろうなあ。

パパは今でも、うまくちょうちょ結びできないよ。

娘と過ごしてきた、
これまでの、短いけど、濃密な7か月の生活が
高速でよぎる。

落胆し、顔面蒼白になっているのが
わかる。

でも、先生には、作り笑いを取り繕った。

「では、夏休みは、ペーパーに注力しますね!
願書も仕上げないとですね!!
ご指導、よろしくお願いします!!!」

教室を出て、娘と手を繋いで歩く。

娘は、屈託ない笑顔で
今日の授業の様子を、楽しそうに語ってくれる。

いつもの帰り道と同じ風景だ。

ただ、いつもと違う風景が、私には浮かぶ。

どこにも受からずに終わる、11月の風景が。

駅に続く道で、私は娘に言った。

「パパが、絶対に、
楽しい小学校に入れてあげるからね。」

娘は、「パパ、ありがとう!」と
屈託なく笑顔で言ってくれた。

俺が、必ず、合格させてやる。

睡眠時間は、死なない程度に取れればいい。

すべての時間を、小学校受験に捧げる。

俺が、必ず、合格させてやる。

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