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華麗な竜が住む大自然に

映画「トーベ」を観た。みんな大好きムーミンの作者で知られるトーベ・ヤンソンの物語である。

既婚の哲学者は矛盾である

映画にも登場したこのセリフはニーチェの言葉である。
トーベ・ヤンソンは哲学者ではないけれど、ムーミンのキャラクターが発する一言一言に哲学的な要素が含まれることが多い。実際、彼女は生涯独身であったようだ。とはいえ、パートナーや友人に囲まれて過ごしていたようだ。彼女なりに一番幸せになる形を模索した結果なのかもしれない。

華麗な竜が住む大自然に

トーベ・ヤンソンは、ムーミンに登場するキャラクターであるミムラのような華やかさを求める一面もあるし、自由であることを求めるスナフキンのような表情もみせたり、彼女の友人と彼女を暗示させるようなキャクターであるトフスランとビフスランの素直さを体現することも多くあった。
彼女には色々な側面があるにせよ、ありのまま、自然に表現することが彼女にとっての信念だったのかもしれない。

映画を見ていて、このタイミングでそんなこと言わなくていいのにとか思うことも多くあった。例えば、男性にプロポーズされて一夜を共にした直後に、実は前の恋人に未練があるみたいな発言をして相手を落ち込ませたりとか。
思っていることを思わず言ってしまう、というより、感じたままを表現することが使命であると自負しているのかなと思ってしまった。

映画の冒頭に「言葉は諸悪の根源だ」というセリフもあった。
どちらかというと僕も言葉足らず族の人間なので、この言葉に救われたこともよくある気がする。とはいえ、素直に伝えないってずるいよね、と思う瞬間も多い。
言葉多く人の反感を買うような発言をする人を肯定するわけではないが、そのような人であっても単に素直なのであれば不快に感じないことも多い。

素直であって自分に対しても実直である彼女をかっこいいと思うし、僕もそのような人が近くにいたら多分好きになっちゃうと思う。

あと、彼女がGlenn Miller のIn the Moodを聴きながら踊る姿は美しかった。ぎこちない踊りに寂しさや幸せがつまっているように見えた。

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