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土嚢袋をバチャーン!で「あースッキリ!」 夕暮れ社 弱男ユニット インタビュー

ストレンジシード静岡のサポートスタッフ、その名も「わたげ隊」。ストレンジシードってどんなフェス? どんなアーティストが出るの? ということを伝えるべく、地元・静岡を中心に活動するわたげ隊が出演アーティストにインタビューする企画。第12回は夕暮れ社 弱男ユニットから稲森明日香
さんが登場です。

わたげ隊がゆく!
ストレンジシード静岡2022 アーティストインタビュー

ゲスト:稲森明日香(夕暮れ社 弱男ユニット)
聞き手:八木(わたげ隊)

夕暮れ社 弱男ユニット

衝動的な若者のゴロゴロ!?

八木:まず、稲森さんの自己紹介をお願いします。

稲森:京都市を中心に活動しています「夕暮れ社 弱男ユニット」(以下、夕暮れ社)という、ややこしい名前なんですけど…そういう名前の劇団で活動しています、俳優の稲森明日香です。

八木:このインタビューにあたり、演劇動画配信サービス「観劇三昧」で公開されている『友情のようなもの』という10年ほど前の作品を先日拝見させていただきました。結構、前の作品なので、今と変わっている部分もあるかと思うんですけど、すごく面白かったです!

稲森:やったー!

八木:ローリングストーンじゃないですけど…若者がゴロゴロと転がっていく感じなんだなと思って。

稲森:衝動的な。

八木:そう、衝動的な!最初はそのゴロゴロしている感じがすごい息苦しいというか、その息苦しさが「若者だな」と感じました。

稲森:へえ!その「息苦しい」という単語を、観劇された人から聞いたのが初めてです。とても新鮮で嬉しいです。メンバーにも伝えておきます。そういう、身体感覚を与えられるのだ、という。

八木:すごく楽しく観賞したので、今日は楽しみにしていました。
「夕暮れ社 弱男ユニット」は、いつ頃どういった人達で結成されたんですか?

稲森:結成は2005年、京都造形芸術大学(現在は京都芸術大学)に通っていた作・演出の村上(村上慎太郎さん)の個人ユニットとして始まって、参加者が入れ替わっていく中で、大学卒業頃を機に決まったメンバーでやっていこうという事になりまして。メンバーの増減がありながら今のメンバーになりました。

このメンバーなら面白い事ができる

八木:メンバーに増減がある中で、今の3人(村上慎太郎さん、稲森明日香さん、向井咲絵さん)になったという事は、3人の中に何か共通する価値観があったりするんですかね?

稲森:”笑い”とかは好きかもしれないですね。関西っていうのもありますけど、みんなお笑いやテレビが好きなので、そのノリは共有しやすいかもしれないです。

八木:確かに『友情のようなもの』もお笑い的要素が結構ありましたもんね。その中にもブルーハーツが取り上げられたりしていましたけど、お笑いの他にも好きな音楽はありますか?

稲森:音楽については趣味がバラバラかもしれないですけど、夕暮れ社で使われる要素としては、村上が好きな音楽が使われる事が多いですね。「夕暮れ社 弱男ユニット」という名前の由来も、神戸のガガガSPっていうバンドに「弱男」という曲がありまして。中途半端で不完全だけど、やりたいことを突き進んでいこうという歌詞なんです。それが「いいなぁ」と思って、団体名に頂いております。みんなが好きだから「いいやん!」ってなる事もあるし、誰かが持ってきて「いいやん!」ってなる事もあります。

八木:仲が良いんですね。

稲森:歳も近いですしね。

八木:結成から今まで、ギスギスしたり、解散の危機!みたいな時期はありましたか?

稲森明日香さん

稲森:やっぱり長年続けていると、お互いの良いところも嫌なところも知ってるし。ここまで続いてるっていう事は「このメンバーなら面白い事ができる」って思ってるからなんでしょうね。ギスギスする時もありますけど、今はわりと仲良し期です(笑)

八木:ストレンジシードには、今まで来たことはありますか?

稲森:行ったことはないんですけど、ストレンジシードの存在自体は知ってました。

八木:静岡にはどんなイメージをお持ちですか?

稲森:ハンバーグ…(笑)「さわやか」が有名ですよね!一回は食べたいですね。あと、大学の頃に静岡出身の子がいたんですけど、すごく朗らかで活発な子で。その子のイメージがあるので「良いところなんだろうなぁ」と思ってます。あと、本当に広いじゃないですか。車で行くとずっと静岡やなぁと。土地の広さもあって懐が深そう!なので、今回すごく楽しみだなと思ってます。

八木:ありがとうございます。その人のお陰で静岡に良い印象を持って頂けて安心しました。やっぱり”人”って大事ですね。

稲森:そうですね、結局は”人”ですね。

関西弁の、速さとノリ

事務局:逆に稲森さん側から、聞きたいことはありますか?静岡のお客さんはどんなお客さんか、とか。

稲森:そうですね。静岡の方言は関東弁ですか?

事務局:いや、静岡弁ですね。静岡の人は標準語を喋ってるつもりなんですけど、実は訛っているという。結構イントネーションが違います。(方言としては)「未熟、まだ熟れてない」を表す「みるい」とか、「下に沈殿する」を表す「こずむ」とか。夕暮れ社は劇中で方言を使うんですか?

稲森:基本的に関西イントネーションですかね。

事務局:関西弁でやる事にこだわりがあるんですか?

稲森:こだわりというか、やっぱり関西弁の速さってあると思うんですよ。言葉の速さ。短くグッと入ってくるような。お笑いの影響なのか、漫才の影響なのか。あとは、物を投げたり転がったりという、身体的な負荷がかかった状態でやる時に、ネイティブで喋れるものの方がノセやすいというか、ノリやすいというか。

事務局:行った先の方言も気になる?

稲森:どんなテレビ見て、何を面白いと思っているかは気になりますね。それで伝わるノリと伝わらないノリもあるかなと。枝葉の部分ではあると思うんですが。

「夢が入ってます」

八木:今回の作品では土嚢を投げまくるとのことですが…どんな作品なのか教えて頂いても良いですか?

稲森:大学の同期だった女性2人がそれぞれ違う生活をしていているんです。日本と海外にいる、そんな2人の気持ちのすれ違いを、会話だけじゃなくて土嚢を投げたり積んだりする動きで、感情の動きを可視化しています。あとは、お笑いが好きな我々の、関西弁での掛け合いを楽しんで頂けたらなと思います。

八木:土嚢の中は本当に土が入っているんですか!?

稲森:土を入れると怪我をしてしまうので(笑)新聞紙を入れる予定です。あ、でも村上曰く「土嚢の中に何が入っているんですか?」って聞かれたら「夢が入ってます」って答えてたんですけど…それ、あんま面白くないから今のはスルーしてもらって良いです(笑)

八木:なるほど。土嚢の中には夢が入っているという事で!それがステージを飛び交うって感じなんですかね。

稲森:飛び交うし、積んだら地形を変えられるわけですよ。『トゥーウィメンオンザ土嚢』ですから。なので、飛び交ったり地形の変化だったりを観て頂けたら。

八木:400個の土嚢が積み上がったら存在感がすごいですよね。

稲森:たくさん物があると「おお!」ってなると思っていて。そういうシンプルな「あ、こんな景色…」っていう驚きも楽しみに。今、京都から静岡に400個をどうやって持っていくか算段中です!

八木:『トゥーウィメンオンザ土嚢』は、もともとあった作品をベースにして再構築したと効いていますが、今回の作品はコロナ禍の前に出来た作品なんですか?

稲森:土嚢を使った演劇作品という点では、コロナ禍の前です。『プール』という作品と『僕たちは、世界を変えることはできない』という作品のアイディアを使って、コロナ禍で出来上がったのが今回の作品です。

八木:そのアイディアを使った作品を上演した時と今回の作品では、気持ちの違いなどはありましたか?

稲森:やっぱりマスクがね…。口元の影響って大きいじゃないですか。口元を隠した状態で稽古すると、会話している俳優同士も枷をつけている感じはありますね。

土嚢を高く積み上げたい!

八木:今回、この作品をストレンジシード上演作品として選んだ理由は?

稲森:ストレンジシードって海外の方も観に来られたり、ウェブサイトにも英語でプロフィールを載せてはったりするじゃないですか。なので、日本語で喋ってる私たちは、会話に頼るより、もっと投げたり転がったり、アクションに重きを置いた作品の方が、いろんな人に楽しんでもらえるんじゃないかな、と思って選びました。

八木:今回、屋外での上演になりますが、それも意識されました?

稲森:そうですね。屋外っていろんなものが見えて、いろんな人がいて。そんな中で景色ごと「なんじゃこれ」と思ってもらえるようなのがいいなーと思います。あと、天井がないのがいいですよね、土嚢を高く積み上げられる!てのが。やってみたいな、と思いますね。

八木:今回、観覧無料のフェスティバルと言う事で、普段とは違ったお客さんもいると思うんですけど、その辺りは意識されていますか?

稲森:今言われて、ハッとしました。そうですね、確かにいつもと違うお客さんで…でも、やる事は同じかもしれないです。稽古して、これが面白いだろうと思うものを頑張る、と言う。

八木:観た人には、こんな事を感じてもらいたい、こんな気持ちを持って帰ってもらいたい、みたいなものはありますか?それは観る人の自由、だとも思うんですが。

稲森:そうですね、いろんな人にいろんなことを自由に思ってもらえれば。私個人としては、元気になってもらえたら嬉しいかな。普段の吐き出しにくい、人生いろいろある事を、私たちが代わりに、土嚢袋をバチャーン!てやる事で「あー!スッキリ!」みたいに思ってくれたら良いかもしれない(笑)

八木:今回、OPEN SEEDという公募枠で応募されたと聞いていますが、メンバー全員で「応募しようぜ」という感じで応募されたんですか?

稲森:最初は村上やったかな?こんなんがあるよ、と。しばらくコロナ禍で私たちも演劇公演が(なかなかできない状況が続いていて)一年に一回できたらな、もうちょっとやり方を工夫して作っていきたいね、と言ってた時にちょうど情報を見つけて、あ、やろう!いいじゃない!やりましょう、やらせていただきたい!という感じですかね。みんな乗り気で。

八木:やる気ムンムンですね!やる気がみなぎってる作品って事ですね!本当に楽しみです!

夕暮れ社 弱男ユニット
2005年京都造形芸術大学映像・舞台芸術学科在学中の村上慎太郎を中心に結成。 2008年、次代を担う新進舞台芸術アーティスト発掘事業「CONNECT vol.2」(主催/大阪市)にて大賞を受賞。作風として、登場人物のリアリティを追求し、俳優から湧き出すアイディアを舞台に盛り込んでいくのが特徴。劇団メンバーは舞台出演の他にもテレビ・ ラジオの出演や脚本の執筆なども意欲的に行っている。2017年1月に上演した『ハイアガール』が第24回OMS戯曲賞最終選考にノミネート。2019年9月、関西演劇祭において「サンクコストは墓場に立つ(short ver.)」を上演し、劇団として審査員特別賞を受賞。
http://yuuguresya.com/

ストレンジシード静岡2022
『トゥーウィメンオンザ土嚢』
夕暮れ社 弱男ユニット

物語に登場する2人の女性は、ボランティアのゴミ拾いで”土嚢袋”を扱う30代主婦と、海外の発展途上国へボランティアへ行って”土嚢袋”で道や壁を作る方法を教える主婦の友人女性です。その2人の女性の時間と空間を、土嚢袋が飛び交う中で感情のやり取りや葛藤・価値観の違いを描いていきます。”土嚢袋”は、大量生産され使い捨てられる工業製品です。敷き詰めたり、積んだり、投げたり、ワールドワイドな世界と、身近な世界を行き交いつつ、断片的に物語が繋げていきます。距離があって、なにもできないもどかしさを土嚢袋の上で軽妙な関西弁の2人芝居で描きます。

日程:2022年
5月3日(火・祝)13:40
5月4日(水・祝)13:00
5月5日(木・祝)13:00

会場:駿府城エリア[ガーデン]

脚本・演出:村上慎太郎
出演:稲森明日香/向井咲絵

詳細はこちら
https://www.strangeseed.info/

インタビュー:八木(わたげ隊)
テキスト:ハボ(わたげ隊)
記録:天野、ハボ(わたげ隊)
編集:山口良太(ストレンジシード静岡 事務局)
編集協力:柴山紗智子

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