【テーブルホップ】チップのもらい方について:後編

だいぶ後編まで間が空いてしまいました。

ストレートマジックショップの中の人です。
前編で思ったよりも反響をいただき、内心驚いております。

ただ、前編でお話しした通り、「沢山チップをもらうようにするためには?」と言う内容を期待している方が読むと少しがっかりする内容かもしれません。ご了承ください。

なぜチップの権化と化していた20歳の頃の私が、今では「チップはもらわないほうが得」と考えているかつらつらと書いていきます。

きっかけとなったのは、19歳の頃からお世話になっている銀座GIOIAのオーナー、龍野洋介さんからの一言でした。

「なんかさ、君のマジックはウケるんだけど、高級感がないよね」

正直、言われた当初は何を指しているのか理解ができませんでした。
当時、同世代のマジシャンでは一番稼いでいたはずですし、使用する道具も、衣装も、不相応な価格のものを選んでいたからです。

さらに、続いて

「結局、今の演技はお客様に値付けをされる演技なんだよ。1000円札を数える演技でしかない。」

「尊敬するマジシャンの演技を思い浮かべて、君は1000円ぽっちのチップをそのマジシャンに渡すと思う?」

「『1000円じゃ申し訳なくて渡せない。』そう思われないと、いい仕事は来ないよ。」

そう言われたときに、正に衝撃を受けました。

確かにチップはもらえる。営業も来る。
ただし、営業の内容は3~5万円の低価格帯の営業ばかりで数をこなすスタイルだったからです。

自分にとっては、尊敬するマジシャンの理想像があったのに、目先のチップを追い求めるあまり理想とはかけ離れた演技スタイルとなっていたことを自認しました。

それから、演技スタイルを改め、チップをもらうためのテクニックは一切封印し、チップを出されたら「1000円の演技をしてしまった。」と思うようになりました。

それ以降、チップを出された場合は
「お気持ちはありがたいのですが、出演料をいただいているので結構です。是非そのお気持ちのまま次回ご来店いただけますと幸いです。」
とお伝えしています。
(ただ、一度お断りした上でも、どうしても!と言われた際は逆に失礼になってしまうので受け取るようにしております。)

その意識を徹底することで、チップによる収入減に対して企業案件の依頼が増え、一年足らずで同等以上の収入を得ることができるようになったのです。
(今考えると、1000円で喜ぶマジシャンに対して、10万以上の依頼が来るはずないですよね...)

もちろん、プロである以上はウケること(敢えて低俗な表現を採用しています)は必須ですし、ウケるためには100回の練習よりも1回の現場だと思っています。

そのため、まずはウケることができるように、出演ハードルの低いチップ制の現場で経験を積むことは否定をしません。

ただ、ある程度ウケるようになって、自分の収入の大半がチップによる収入となったタイミングで、

「この収入は自分の演技に対する対価なのか、それともチップをもらうためのテクニックによる対価なのか」

を自問自答する必要はあると思っています。

そのため、繰り返しにはなりますが
「チップをもらうためにはどうしたらよいか?」
と質問をされた場合、以下の回答をしています。

「チップ制の現場には長居しないほうがいいよ。ちゃんと出演料をもらえるマジシャンになりなさい。」

それでは、どのようにして出演料をもらえるマジシャンになればいいのか?とお考えの方もいらっしゃると思います。

様々な方法があるのですが、私自身は自分で出演する店舗を開拓するのが一番手っ取り早くて効果が高いと感じています。

次回は、私が2008年、上京したばかりの田舎出身大学生がどのようにして出演店舗を増やしていったのかを記事にしたいと思います。

時代遅れかもしれないので参考程度にご覧ください。

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