【2つめのPOV】シリーズ 第4回 「波」Part.4(No.0178)

パターンC〈セルゲイのMix Up〉



色とりどりのキャンディが詰まったケース

キラキラと輝きを放っている

色とりどりのキャンディがゆっくりと盛り上がると、下から甲を上にした指を伸ばした手のひらが出てくる

手がゆっくりとスローに持ち上がると、甲や指の上に乗ったキラキラと輝くキャンディが下のケースにこぼれ落ちてゆく


その手がキャンディをひとつ摘む

その摘まれたキャンディにゆっくりと近づく

そのキャンディ越しに、椅子に座った少女がこっちを見ている




「私がいた。名はアリス。」



暗い部屋の椅子に座ったアリスは両方の手をグーに握っている

左手に握っているものを天井高く放り投げる


やがて天井から色とりどりのキャンディが降り注ぐ


暗い部屋の隅にある大きなスピーカーから大音量でリズミカルな音楽がかかる

スピーカーから出る音楽に合わせ、天井や部屋の隅に取り付けられたストロボやカラフルなライトが明滅する

暗かった部屋は照らされたキャンディの輝きで光を放つ


そのキャンディは床にまっすぐな光り輝く道を作っている


アリスは椅子から立ち上がり、そのキャンディの道を進み出す


残された椅子の右手の肘掛けに何かが置いてある


キャンディの道を歩くアリス


綺麗な靴で一歩進む度に、キャンディは色のついたガラスが弾けるように砕け、更に輝きを放つ



「きっかけなんて知らない。ただ、その道が私の前にあっただけ。」



小学校、入学式の看板

着飾った子供達が、担任や校長先生と並んで校庭で集合写真を撮っている

その中に幼い頃のアリスもいる



音量で震えるスピーカー

リズムに合わせ光るライト


砕けるキャンディ

足元を見ること無く、ただ進むアリス



「自分と同世代どころか、親の世代だってその上だって、誰も知らないはず。」



小学校の授業風景

皆真面目にノートを取る子供達


校庭で遊ぶ子供達、おにごっこをして走り回る子供達。男子と女子も一緒になって遊んでいる。

その中にはアリスもいる。


順番に教科書を朗読する生徒たち


日差しの良いなか、公園で絵を書く生徒達

花壇の前で夢中になって絵を描くアリスとその友人たち


教室で一斉に給食を取る


数人で固まって下校する生徒達



「もし知っていたら、そんなことは起きるはずはないもの。」



中学校、校門には入学式の看板が掲げられ、着飾った父兄が生徒と共に入っていく


制服を着た生徒達が列になって進んでいく


パイプ椅子を並べた体育館に集まり、皆が胸に紅白の花を付け背を伸ばして話を聞いている



「どのタイミングであろうとも、それが何を決定するかも関係なかった。」



生徒が一杯の教室の中、隅の方で女子生徒同士数人が集まって話をしている

また別の隅では男子生徒たちが集まって騒いでいる

お互いが、チラチラと視線を合わせる


ストロボで照らされるアリスの顔


体育館、スペースの半分を使ってバスケットボールをしている男子生徒たち

もう半分ではバドミントンをしている女子生徒たち


順番待ちをしている生徒達

男子生徒は女子生徒のバドミントンを眺め、女子生徒は男子生徒のバスケットボールを眺めている


ケースに入った大量のキャンディの真ん中に渦ができる。その渦にキャンディが飲み込まれていく。


友人と固まっているアリスはバスケットボールの試合を見ている

特定の男子生徒を目で追うアリス



キャンディの道を進むアリスはドアの前まで来る

ドアはひとりでに開き、白い光を放つ

吸い寄せられるようにアリスはその中へ進む

ドアはまたしてもひとりでに閉まるが、そのドアの隣の暗がりの中にも、もうひとつドアがある


Part.5につづく

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