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叫び 1

しかしドクトル・カフカは首を振った。
「そんなことをいうものじゃない。あなたは沈黙のなかにどれほどの力が秘められているかわからないのです。攻撃はただのまやかしであり、通常、自分にも世間にも弱みを見せまいとする駆け引きにすぎません。本当に持続する力は耐えることにのみあるのです。弱い人間だけが、忍耐を失い、粗暴になるのです。彼はたいていそんなふうに、自分の人間的尊厳をすっかり投げ棄ててしまうのです」

「カフカとの対話 手記と追想」
グスタフ・ヤノーホ・著/吉田仙太郎・訳
(みすず書房)

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