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小規模企業共済 退職所得控除の計算における「勤続年数」とは?

 先日、お客様から「小規模企業共済を解約したい」とのご相談があり、今解約したら税金が発生するか検討するにあたって、退職所得控除計算における「勤続年数」で迷ってしまった。
 そこで、今日は、小規模企業共済の共済金等を受け取った際の退職所得控除の計算における「勤続年数」についてまとめてみる。

1.小規模企業共済とは

小規模企業共済とは、小規模企業の経営者や役員、個人事業主などのための、積み立てによる退職金制度。
月々1,000~70,000円まで500円単位で掛け金を自由に設定することが可能で、加入後も増額・減額できる。
確定申告時には、その全額を課税対象所得から控除できるため、節税効果が高い。
ちなみに、運営機関である中小機構は、国の機関。

2.共済金等の一括受取と税法上の取り扱い

共済金等は、一括受取、分割受取、その併用を選択することができる。
一括で受け取った共済金等は、税法上、退職所得として取り扱うこととなる。

所得税法第三十一条 
次に掲げる一時金は、この法律の規定の適用については、前条第一項に規定する退職手当等とみなす。

三 確定給付企業年金法(平成十三年法律第五十号)の規定に基づいて支給を受ける一時金で同法第二十五条第一項(加入者)に規定する加入者の退職により支払われるもの(同法第三条第一項(確定給付企業年金の実施)に規定する確定給付企業年金に係る規約に基づいて拠出された掛金のうちに当該加入者の負担した金額がある場合には、その一時金の額からその負担した金額を控除した金額に相当する部分に限る。)その他これに類する一時金として政令で定めるもの
所得税法施行令第七十二条
法第三十一条第一号(退職手当等とみなす一時金)に規定する政令で定める一時金(これに類する給付を含む。)は、次に掲げる一時金とする。
3 法第三十一条第三号に規定する政令で定める一時金(これに類する給付を含む。)は、次に掲げる一時金とする。
三 独立行政法人中小企業基盤整備機構が支給する次に掲げる一時金
イ 法第七十五条第二項第一号(小規模企業共済等掛金控除)に規定する契約(以下この号において「小規模企業共済契約」という。)に基づいて支給される小規模企業共済法(昭和四十年法律第百二号)第九条第一項(共済金)に規定する共済金
ロ 小規模企業共済法第二条第三項(定義)に規定する共済契約者で年齢六十五歳以上であるものが同法第七条第三項(契約の解除)の規定により小規模企業共済契約を解除したことにより支給される同法第十二条第一項(解約手当金)に規定する解約手当金
ハ 小規模企業共済法第七条第四項の規定により小規模企業共済契約が解除されたものとみなされたことにより支給される同法第十二条第一項に規定する解約手当金

このように、小規模企業共済の共済金等は、退職手当等とみなすとされている。

3.小規模企業共済 退職所得控除の計算における「勤続年数」

退職所得控除の計算について、所得税法には下記の通り定められている。

所得税法第三十条
3 前項に規定する退職所得控除額は、次の各号に掲げる場合の区分に応じ当該各号に定める金額とする。
一 政令で定める勤続年数(以下この項及び第六項において「勤続年数」という。)が二十年以下である場合 四十万円に当該勤続年数を乗じて計算した金額
二 勤続年数が二十年を超える場合 八百万円と七十万円に当該勤続年数から二十年を控除した年数を乗じて計算した金額との合計額

「政令で定める勤続年数」とあるので、所得税法施行令をみてみる。

所得税法施行令第六十九条 
法第三十条第三項第一号
(退職所得)に規定する政令で定める勤続年数は、次に定めるところにより計算するものとする。
 法第三十一条の規定により退職手当等とみなされるもの(以下この項において「退職一時金等」という。)については、組合員等であつた期間(退職一時金等の支払金額の計算の基礎となつた期間・・・)により勤続年数の計算を行う。

つまり、小規模企業共済の場合には、会社に勤めていた期間ではなく、小規模共済等の組合員であった期間により、退職所得控除を計算することになる。

ちなみに…
任意解約の場合、掛金納付月数に応じて、掛金合計額の80%~120%相当額を受け取ることができる。掛金納付月数が240か月(20年)未満での受取額は、掛金合計額を下回るので注意が必要。

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