whole!
林沙耶香 23歳。
新卒入社1年目の会社員。
就職で都内に引っ越してきて今は一人暮らし。
そして、今日は私の小さい頃からの夢が叶う日だ。
ゴクリと喉を鳴らし、重厚な扉を開ける。
「いらっしゃいませぇ〜」
可愛い制服を着た店員さんが私を笑顔で迎えてくれる。
ショーウィンドウには色鮮やかなケーキたち。
季節のフルーツがたっぷり乗ったショートケーキ
濃厚な味がたまらないチーズケーキ
てんとう虫の形が可愛い丸いケーキ
どれも美味しそうで目移りしてしまう。
「どれになさいますか?」
色とりどりのケーキたちに釘付けになっている私に、店員さんが声をかけた。
しかし、今日の目的はショーケースのケーキたちではない。
「あ、あの。
予約した林です!」
そう言いながら予約伝票を差し出すと、
「ありがとうございます!
少々お待ちください!」
そう言って店員さんは裏へと向かった。
1分後
「お待たせしました!こちらでお間違い無いですか?」
大きいケーキの箱を持って戻ってくる店員さん。
箱の口が開けられていて、中には特大サイズのいちごのショートケーキが。
「はい、大丈夫です!」
中身を確認し、私は特大ケーキを受け取って店を後にした。
***
一人暮らしの家に帰宅後、私は早速ケーキの箱を開けた。
そして、ホールそのままのケーキにフォークを突っ込み、大きな塊をすくうと
「いただきまぁ〜す!」
豪快に頬張った。
「ん〜最高!!!」
そう、私の小さい頃からの夢はホールケーキを丸ごとフォークで食べること。
それが社会人になった今、叶ったのだ。
「ずっと夢だったんだよねぇ〜
こんなおっきいケーキ独り占めできるなんて、最高すぎる!!!」
私は幸せに包まれていた。
いや、幸せそのものだった。
するとその時、お母さんから電話がかかってきた。
私はケーキを食べながらその電話に出る。
「お母さん、何?」
「何ってあんた、今日誕生日でしょ?おめでとう」
「ありがとう!」
「プレゼントに色々送っておいたから、数日で届くと思うわ」
「はぁい。いつもありがとね」
「何よ急に」
「別に〜
ところでお母さん、私今何してると思う?」
「え〜?」
「当てたらすごいよw」
「ん〜、そうね。
あんたのことだから、でっかいホールケーキーを一人でつついてるとかじゃないの?」
「え?なんでわかるの?」
「母親ですからw」
さすが母親!
そう思いながら、私は引き続きホールケーキを貪った。
ちなみに完食はできたのだが、その後しばらくは何も食べられなかったことはいうまでもないw
* 3月12日 スイーツの日 *
スイーツのお取寄せサイト「スーパースイーツ」が2008年に制定。
「ス(3=スリー)イ(1)ーツ(2)」の語呂合せ。
引用:今日は何の日(https://www.nnh.to/03/12.html)
[ あとがき ]
ホールケーキをフォークでつつく、夢じゃ無いですか?
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