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ふとした疑問

じーーーーーーー

私は手に持ったそれをじーっと見つめていた。
手のひらよりも少し大きいサイズで、茶色くて軽い。
食べると甘くてサクサクする。
そう、それの正体は「サブレ」だ。

目の前にあるのは何の変哲もない鳩サブレ。
老人会で鎌倉に観光に行ったおばあちゃんからのお土産だ。
しかし、私には一つ引っかかっている事があた。

「なぜ鳩なのか?」
8枚の鳩を食べ終わった時にふと沸いた疑問。
その疑問が気になって、9枚目が食べれなくなってしまったのだ。
私は開けた個別包装袋の上に鳩サブレを置き、腕組みをして考え出した。

「ひよこ饅頭」
可愛い。わかる

「猫パン」
可愛い。わかる

「鳩サブレ」
別に可愛くない。なぜ鳩?

いや、別に鳩が可愛いと思う人もいるだろう。
でも、正直鳩は猫やひよこに比べて可愛いの代名詞ではない。

「じゃあ可愛いを狙っているわけではないのか…
となると、材料の一部に鳩が…
いやいやいや、怖すぎるだろ!」
私は慌ててパッケージの裏のシールを確認する。
原材料とか賞味期限が書いてあるあれな。

「小麦粉、砂糖、バター、卵、以上!
まぁ、そうか…」
一瞬でも鳩が入っているのでは?と疑った自分がちょっと恥ずかしかった。

「じゃあなんで鳩?
鎌倉に鳩がいっぱいいるとか?」
そう思っておばあちゃんに電話をしてみるが、

「鳩?ん〜特に記憶に残っていないから、他のところと一緒だったんじゃないかしら?」
どうやら鳩の数は関係なさそうだ。
しかもおばあちゃんは、
「それより鷹が空中から食べ物を狙っててね〜
食べ歩きはしないように!っていろんなお店に注意事項が書かれた貼り紙とかが貼ってあったわよ〜」
などと言う始末。
だったら「鳩サブレ」じゃなくて「鷹サブレ」にすればいいのに…

しかし以前としてなぜ「鳩サブレ」なのかがわからない。
推理に行き詰まった私はついに最終手段に出た。

「オーケーグーグル、鳩サブレはなぜ鳩サブレなの?」
そう、スマホだ。
私の問いかけにグーグル先生は優しくこう答えてくれた。

「鶴岡八幡宮を崇敬していた初代は、かねてから八幡様にちなんだお菓子を創りたいと考えていました。本殿の掲額の「八」の字が鳩の抱き合わせで、境内の鳩が子ども達に親しまれていたことから、このお菓子を鳩の形にし「鳩サブレー」と名付けました(引用:豊島屋)」
「へぇ〜」
なるほど、鶴岡八幡宮が生みの親だったのか。
すっきりした私は、先ほど置いた鳩サブレを掴み、じっくりと見つめると、

「いただきま〜す!」
食べようとした。
しかしその瞬間、ふと疑問が湧いたのだ。

「じゃあなんでたい焼きは鯛なの?」
私はまた鳩サブレを食べる手を止めた。


* 3月20日 サブレの日 *
日清シスコが制定。
「サ(3)ブ(2)レ(0)」の語呂合せ。
引用:今日は何の日(https://www.nnh.to/03/20.html)

[ あとがき ]
書いてから思ったんですけど、8月10日に鳩サブレの日とか来たらどうしよう…

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