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憧れの

「わぁ〜!」

初めて読んだ漫画は友達のお兄ちゃんが貸してくれた週刊誌だった。
まだ幼稚園の年長さんだった僕は、数個のひらがなしか読めず、なんて書いてあるかなんてさっぱりわからなかったんだけど、それでもあの躍動感のある絵と動きだけでわかるストーリーに心を奪われ、それから毎日友達のところに通っては週刊誌を読ませてもらっていたんだ。
あ、正しく言うと週刊誌の元に通っていた。だね。

本当は自分で本を買って部屋に飾って、何回も読み直したかったんだけど、お小遣いも何もなかった当時の僕は当然自分で買えるはずなんてなく。
お母さんに相談しようにも、
「あなたまだ字読めないでしょ?まだ早いんじゃない?」
と言われる始末だった。

それから小学生になった僕は漢字を一生懸命勉強した。
それはもう休み時間になったら辞書を開くぐらいにね。
友達には「ガリ勉」とか「辞書の虫」とか色々言われたけど、そんな事は気にしてなかった。
だって1秒でも早く漫画をスラスラと読めるようになりたかったから。

そんな必死の勉強を続けていた僕は、小学3年生になってやっと漫画に出てくる大体の漢字がわかるようになったんだ。
この時は感動したね。
だって、今までは絵の雰囲気でなんとなく理解していたストーリーが完璧にわかるようになったから。

そうして気づいたことがいくつもあったんだけど、そのうちの一つが「日本語はすごい」と言うこと。
同じ事を言うにしても選ぶ言葉で随分とニュアンスが変わってくるし、それに一つの言葉にいくつもの意味を載せたり、直接的な言葉を選ばなくても意味が通じたり。
とにかく、僕はますます漫画の世界に魅了されていった。

そして、小学4年生の時、やっとお母さんから週刊誌を買う許可が出たんだ。
僕は毎週決まった曜日になるとお母さんに小銭をもらって本屋に向かう。
それから本屋に並んだ最新号を買って帰って、家でじっくりと読むんだ。
まさに至福の時間だった。

それからも僕の成長と共にはあの週刊誌があった。
今でも毎週買っている欠かせない存在だ。

そして今日、僕は新たな一歩を踏み出す。
そう、憧れの週刊誌の編集者の道を。


* 3月17日 漫画週刊誌の日 *
1959(昭和34)年のこの日、日本初の少年向け週刊誌『少年マガジン』『少年サンデー』が発刊された。
当時は読み物が中心で、漫画は少ししか載ってなかった。
引用:今日は何の日()

[ あとがき ]
友人の家でお兄ちゃんのジャ〇プ読んでたなぁ〜と言う思い出と共に。


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