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ディープな鉄塔の世界

日本全国、見ない場所はまずないであろう送電鉄塔ですが、写真を撮るうえで邪魔者扱いする人もいれば、積極的に被写体として取り入れる人もいたりします。私はスバリ後者です。

そんな送電鉄塔をこよなく愛する鉄塔マニアや、鉄塔写真家を自称する人もいるわけですが、そこまで濃くなくても、何となく惹かれるものがある、そんなライトな鉄塔好きが意外なほど多くて正直驚いています。

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送電線にはルートごとに名称があって、私の地元である茨城県西部を通っているのが「福島東幹線」です。新福島変電所から新筑波開閉所の約170kmをつないでいます。

鉄塔の大きさにも色々あって、電圧が高くなるほど鉄塔の規模が大きくなります。よく見る灰色の鉄塔は高さ約30m~40m、赤白に塗り分けられた鉄塔は60m以上です。航空法により、高さが60mを超える鉄塔は赤白の塗り分けや航空障害灯の設置が定められています。高さの目安としては、40mでビルの10~12階くらいに相当します。

形も色々あって、よく見る四角鉄塔、住宅密集地で使われる片出し鉄塔、山岳部で使われる烏帽子鉄塔などがあります。また、鉄塔や電柱の上部には、落雷から送電を保護するためのメタルワイヤー「架空地線」が設置されていて、バリア効果で雷から電線路を守っています。

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鉄塔を撮影する上で、おさえておくべきツボがいくつかあります。まず空間を目一杯使って間延びを防ぐ、地形や周囲の景色との調和、鉄塔の存在感を強調するために逆光でシルエット化する、背景となる空の色にこだわる、電線の存在も忘れずに、中途半端な画角は止めてワイドで思いっきり遠近感を出すか、あるいは長玉の圧縮効果で密集感を強調すると写真的にも面白くなります。夜間は赤灯が点灯するタイミングで撮影すれば、高さを強調することができますね。

身近な存在だからこそ見逃してしまいますが、ガチで向き合ってみると思いのほか撮影していて楽しいですし、種類や用途など、知るほどに深い鉄塔です。現代の生活に欠かせない電気、災害時に何度か長期の停電を経験していますが、地上にむき出しだからこそ復旧時間も短縮出来るわけですね。景観を損ねるなどの意見も多いですが、自然災害の多い日本ではこれが最も完成された形なのではないかと思います。

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鉄塔写真、いちどやってみるとハマるかもしれません。空気が澄んで空色がきれいな晩秋から冬にかけてが一番楽しめると思います。

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