見出し画像

黒人ラッパーから詐欺にあった話

今回の話は、CAPCOM CUP2019の当日予選に行った時に起きた悪意ヒーローの話。

悪意は突然に

場所はアメリカ・ロサンゼルス。
高層ビルが並ぶ町並みとハリウッド、ビバリーヒルズなどの観光地が有名な街。華やかなイメージが強いが、同時に治安が悪いことでも有名なのを忘れてはいけない。

これは戒めである。基本的なことをすっかり忘れていた私がやられてしまったのは、ちょうど当日予選の会場に戻ろうとした時だった。

オーナーの板垣さんと会場に向かっていると、会場前の開けた場所で3人の自称黒人ラッパー(以下、ラッパー)から声をかけられた。

君は日本人か?俺はオキナワの空軍基地に居たことがあるんだ、HAHAHA
英語力が中学1年生レベルの私に対して、とても簡単な英語だけで気さくに話しかけてくるラッパー達。
オキナワ!
続けてカタコトの日本語ワードを話ながらの敬礼ポーズ。
常に笑顔は絶やさずに話しかけてくる姿は、ただの日本好きの人です。

それに大会の会場前ということで、ここに居るということは格ゲーコミュニティの人間だと思いました。
そのまま話を聞いていると、ラッパーは
記念にロサンゼルスを背景に俺を撮ってくれ
と言い私にスマホを渡して撮影をお願いしてました。

旅行なのかな?と、そこまで深くは考えずに2.3枚撮ってからスマホを返すとラッパーは写真をチェック。

写真に満足だったのか、笑顔で続けて
ラッパー『いいね!ありがとう!君の名前を教えてくれないか?
久保「久保です」
ラッパー『kubo?このスペルで合ってるか?

ラッパーは懐から100均で30枚1セットみたいなちゃっちいCDを取り出して、表面にkuboと書き入れます。

久保「合ってるよ」
ラッパー『OK!あと漢字が知りたいから、ここに書いてくれ

この時点で少し怪しかったのですが、これまでの言動を考えると詐欺にしては押しが弱いな…なんて考えながらCDに名前を書きました。

そして書いた瞬間、先程まではにこやかだったラッパーの雰囲気が一変して真顔に。

ラッパー『お前名前書いたよな?じゃあこれはもうお前の物だ。俺たちはラッパーでこのCDには曲が入っている。買い取ってくれ、少しのチップでいいから

おっ、おう…こういうパターンね。
昔EVOの会場で被害が出ていたことを思い出しつつまずは、この場をなんとか回避しようと試みます。
「書いたのは私の名前ではないです」
「これは私のではないです」

無駄。
先程までは中学生レベルで話しかけてきていたのに、名前を書いた瞬間に本場のネイティブ・イングリッシュで畳み掛けられて会話にならず、もはや弁明すらできません。

仕方がないと、ポケットにあった紙幣を数える。
残りのお金は45ドル、少しのチップでいいと言っていたので泣く泣く5ドル渡すことにします。

これは好機と捉えたのか、ラッパーは前ステを止めずに迫ります。
ラッパー『5ドル?安すぎる、40ドル払え

気がつくと名前を書いていないCDまでもセット売りにされていて、2枚で40ドルという強気の価格で踏み込んできたのである。

不本意、不本意である…
なぜこんな目に会わなくてはいけないのだ……

これは1人だと危険だと判断したので、同行していた板垣さんに助けを求めようとしたのですが、板垣さんが居ない…
途中まで一緒に居たはずだが、姿が見えないので辺りを見回してみる。

すると、私と少し離れた場所に発見。
しかし、板垣さんは2人のラッパーから圧をかけられていて、明らかに私の方よりも2倍難易度が高い状況で絶望します。

いくらフリースタイル詐欺で不本意だろうが、ここはロサンゼルスで相手は黒人ラッパー。
いつ銃やナイフを取り出されてもおかしくない状況に、さすがに心が折れてしまいました。

…観念するしかない。
うなだれながら、なけなしの40ドルをポケットから取り出して渡そうとした。

ヒーロー見参

そんな時でした。

kubo?
黒人ラッパーと私の間に、割り込んできた人。

彼の名前は「J.B」、ヒーローだ。

何やら困っている雰囲気を感じ取ったのか、J.BとJ.Bの彼女さん(チェルシーさん)が声をかけてくれました。
心配した顔で私の目を見るJ.Bに、私は震える声で一言
Help me

冗談ではなく、本気でこの言葉を使う日が私の人生に訪れるとは思ってもいませんでした。

怯えた表情から絞り出された助けの言葉に、J.Bは即座に状況を察して黒人ラッパーに抗議を始めます。
日本語も話せるチェルシーさんのおかげで、事細かに被害状況を伝えることができたのも大きかったです。

2人の抗議のおかげで黒人ラッパーが少し怯んだので、その隙にJ.B達は私と板垣さんを黒人ラッパーから逃がしてくれました。

ありがとう、ありがとうJ.Bとチェルシーさん…

その後も警察を読んだから大丈夫だよと、後始末もしてくれて本当に助かりました。

今考えるとわかりやすい詐欺だったが、あまりにもラフに話しかけられた+大会会場前だったことで警戒心が緩くなっていたようです。

今後はしっかりと気を付けないといけない。
これを読んでくださったみなさんも、海外に行くときは警戒心を緩めずに過ごしてくださいね。

最後にもう一度、ありがとう
ありがとう、J.Bとチェルシーさん

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?