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「私たち大人も不完全な人間なんだ」と伝えること【子どもを支援したケース】

STORIAでは、サードプレイスと呼ばれる居場所にて、
経済的・精神的な困難を抱える家庭と小学生の子どもたちのサポートを行っています。
一般的な子ども食堂と異なり、自分たちの居場所を必要とする子どもたちに、あたたかい食事や学習の機会を提供し、
子どもたちが心から安心安全な居場所と感じ、ありのままの自分でいられ、たくさんの愛情と最高の機会を得られる居場所をつくっています。

Dくんは小学校5年生の時にSTORIAに来ました。
お母さんは朝・夜とパートを掛け持ちしながら3人の子どもを育てており
経済的にも・精神的にも余裕がない生活を送っていました。 

Dくんは学校では問題児扱いをされており、
教室から黙っていなくなる、宿題をしない、友達と喧嘩をすると直ぐに手が出てしまう、学校にも行きたがらないという状況が続きました。
そのため、Dくんと母親との関係はとても悪い状態でした。 

一見Dくんに問題があるように見えますが、
実はその背景にはDくんがこうした状況に追い込まれる理由がありました。 
Dくんには「自分は大切にされていない」という気持ちがあったのです。
学校や家でもDくん自身の事情や気持ちも聞かれないままに
「また何かやったの?、なんで出来ないの?、こうすべきでしょう?」
という言葉が掛けられていました。
そのたびにDくんは「自分はどうせダメなんだ」と感じていました。

私たちの居場所に通い始めてしばらくしてから、
Dくんはこうした悲しみや戸惑いを、私たちに教えてくれました。 
居場所では、私たちはいつもDくんに優しく問いかけます。
「Dくんはどうしたい?自分で考えて決めていいんだよ?
私たちはDくんの想いを大切にしたいから」と。 

宿題をいつするのか、友達と喧嘩をした時、仲直りしたいのか、したくないのかなど、私たちは全てにおいてDくんの気持ちを尊重します。
時にはその決断は大人の都合から考えれば受け入れがたいこともあります。
しかし、私たちは他者を傷つけたり、法を犯したり、
生命にかかわる取り返しのつかない事態に繋がらない限りは、
Dくんのやりたいこと、大切にしたいことを可能な限り尊重します。 

Dくんに対してこうした態度を繰り返すことで、Dくんは、「自分は尊重されている。尊重されるに値する人間なんだ。信じてもらっている。失敗しても見放されない。自分の想いで行動していいんだ。」と感じられるようになります。
そして、「信じてもらっているからこそ、○○したい。」と感じてくれます。
Dくんにとっては無意識かもしれませんが、私たちの接し方は、次第にDくんの言動に大きな変化をもたらすのです。 

ある日、高学年になったDくんが下級生に私たちと同じフレーズを伝えていることに気が付きました。
「〇〇はどうしたい?俺はそれでいいと思うよ。一緒に手伝うよ」と。
口数は決して多くないDくんですが、その一言が下級生の心に響いているように見えました。
Dくんの行動は大きく変容し、問題行動と言われるようなことは全て無くなりました。 

現在、Dくんは中学生となりました。
母親との関係も回復し、お母さんは涙ながらに
「Dはとても素敵な子に成長しました。」と話してくれています。 
中学生のDくんは今、ボランティアとしてこの居場所に参加してくれ、
私たちの仲間として一緒に居場所づくりに貢献してくれています。 

Dくんの変化を考える上で、私たちのスタンスを振り返ると、一つ重要だったことがあります。
それは、「私たち大人も不完全な人間なんだ」と伝えること。 
「わからない。一緒に考えよう。」と伝えることはしばしばでしたし、
「私が間違っていた。本当にごめんなさい。」と謝ることもありました。 

Dくんはのちに、私たちにこう話してくれました。
「STORIAは自分にとって視野を広げてくれる大きな経験となった場所。
自分が変わったら見える世界が変わり、親や相手の気持ちがよく分るようになった。
自分ができることを恩返ししたくてボランティアに来ているんだ。」と。 
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STORIAでは
・子どもたちの気持ちに寄り添い、一緒に過ごしてくださるボランティア
・子どもたち・親御さんを支えるご支援
を募っております。

詳細は以下HPリンクよりご確認ください。
私たちの愛情の循環に加わってくださるみなさまをお待ちしております。

子どもたちの日々の居場所での様子は、note・Instagramでもお届けしています。ぜひ居場所の雰囲気を感じてみてくださいね!


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