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#インボイスRADIO vol.10 参院選SP/税理士 疋田英司さん

2022年6月29日インボイスRADIO vol.10 参院選SP
税理士 疋田英司さん


ーーこんばんは。本日はよろしくお願いお願い致します。まず初めに疋田先生の自己紹介からお願いできますでしょうか。

疋田 はい分かりました。大阪で18年前から税理士の事務所を開いております疋田と申します。税理士になる前は税務署で調査官やっておりましてね、税務調査とかを中心にやってまいりました。その立場から、あの嫌な思い出がたくさんあるんですけども、そんな中で国民のために働ける税理士になりたいということから、始めたっていうことで、今日この場にもいさせていただいているところです。よろしくお願いします。

ーー税務署の調査官と聞くとドキッとしてしまいました。

疋田 はい、大丈夫ですよ。今は民間人ですから。(笑)

ーーなるほど了解しました、よろしくお願いします。では早速なんですけど、まずはじめに、インボイス制度を知らない方、まだよく分からないという方もお聴きになってると思うので、まずはそういった方に向けて簡単にインボイス制度とはどういうものか?というところを教えていただけますでしょうか。

疋田 消費税の制度を理解しないとなかなか難しい点があるんですけれども、消費税っていうのは、消費者が負担するのではなくて事業者が払うわけなんですね。その時の事業者が計算する時に、売上に対する消費税、そして仕入れ・いろいろな経費に対する消費税、その差額を納税するっていうのが事業者が払う消費税なんですね。その際に消費税の仕入れにかかる消費税というものが、今後インボイス制度が入れば、「インボイスの発行された方の分の消費税しか引けないですよ」っていうことなんですね。そうすると、インボイスを発行できない、例えば免税業者の方から仕入れた場合には、その分の消費税が引けないから、納税額が増えてしまうっていうそういう仕組みになってしまう訳なんですね。

一応仕組みだけで言えばそういったことになるんですが、消費税制度そのもののありようから考えていけば、いろいろな問題があるということですけれども、今はインボイスだけっていうことになるので、以上の説明にさせて頂きます。

ーーはい、ありがとうございます。我々こういう活動をしていて本当に思うんですけど、インボイスって何か、まず導入部分を説明するのにもうひと苦労というか、なかなか大変なので、私からもう一回整理してお伝えすると、現在1,000万円以上の年間売上がある課税事業者にとっては、取引相手がインボイスを発行してくれる事業者じゃないと今まで通りの仕入れ税額控除が受けられなくなると。それで、現在年間売り上げ1,000万円以下の事業者というのは、これは免税事業者と言われている。

「事業者」っていうと自分は関係ないかな?と思う方もいらっしゃるんですけども、これはもうフリーランスとか、先程、国民民主党の浜口さんからもありましたけど、シルバー人材の方とか。そういう方もこの「事業者」ってところに含まれてくると。それで、消費税の納税義務はこの免税事業者には無いのだけれども、インボイスが始まると取引先が課税事業者で、その事業者が仕入れ税額控除をしたいとなれば、「インボイスを発行してくださいよ」と声をかけられる可能性があると。

疋田 はい、そうですね。

ーーそのままの免税事業者でいることも可能だけども、そうなると課税事業者は控除ができない。そして、他のインボイスを発行する事業者に、その取引先が仕事を依頼する可能性も出てくると。

疋田 そうですね。

ーーそれを回避するためには、インボイス登録をしなければいけないんですけども、そうなると今まで免税だった人たちは納税義務が発生するというところですね。

疋田 そうですね。

ーーなかなか面倒くさい制度ですね。

疋田 なかなか大変ですね。

ーー最近インボイスの話題の中で出てきたところでは、インボイスについては反対の立場だった日本税理士会連合会というところが、新たな提案をされたという話があるんですね。そもそもその話に入る前に、この日本税理士会連合会、「日税連」と呼ばれたりしますが、この会というのは税理士さんにとってはどんな団体なんでしょうか。

疋田 まず私たち税理士が税理士業として経営する場合、事業を起こす場合には、地域の税理士会に加盟しなくちゃならないんですね。私だったら大阪ですから「近畿税理士会」、東京だったら「東京税理士会」とあるように、その地域ごとの税理士会があって、さらに税務署単位での支部というのがあるんですね。私なんかは、北税務署の管轄のところで登録しておりますから、近畿税理士会北支部に所属するわけなんですね。それで日税連っていうのはどういうものかって言うと、その近畿税理士会とか、その地方の税理士会ですね、東京税理士会とか、そういったところの代表だけで集まって日税連というのを形成しているわけです。

だから僕らが直接日税連の会長を選ぶっていうことはないんですけれども、首相を選ぶようなものなので。だからそういう形で動いているわけなんですが、法律上ですね、税理士法っていうのがあって、国税庁の監督の下に存在する団体になるわけなんですね。だから日税連の立場とすれば、監督官庁である国税庁の顔色も伺いながら、会員の意見も聞きながらというそういう立ち位置になる。そういうちょっと微妙なところがあるんですね。そういった点は、弁護士会なんかはね、そういった監督官庁がないですから、独立した立場ですけれども、そういう点では税理士っていうのは完全に独立した組織とは言い切れない部分があるかなというふうに思います。そういった組織です。

ーーなるほど。国税庁の監督下で運営されている立場っていうことなんですよね。そうした日税連が、今まで反対の立場だったところを少し態度を変えたと言いますか、『インボイス制度の円滑な導入実施について』っていうのが(2022年)6月6日付けで発表されたんですけども、この内容と問題点というのは、どんなところでしょうか。

疋田 まず、日税連は去年の6月13日だったかな。実は政府に対して意見を申し述べるっていう制度があって。建議書っていうふうに言うんですけれども、その中でいの一番に書いているのは「インボイス制度の延期を求める」っていうことを書いてたんですね。つまり日税連としたらこれはやっぱり延期しなくちゃ事務量も大変だし、そして経済的にも大変な負担と混乱を招く制度になるから、これはやっぱりやめなさいっていうふうに政府に意見を出したんですね。

これはこの建議書を作るにあたっては、先ほど言ったような地方の税理士会から色々な意見が寄せられて、それを元にして作ってきた背景があるわけなんです。その建議書を出した約一年後ですよね、今年の6月6日。その立場を全部投げ捨ててしまって何を言い出したかというと、仕入れ税額控除を8割にするとか、まあ8割になるっていうのが経過措置であるんですけれども。これは元々三年間だけだったんですよね。これをまだまだ当分の間続けてくださいとか、書類の保存の基準が今だったら3万円以下は省略してもよかったものが、インボイス制度では全数保存しなさいということになってるんですよね。

これはやっぱり従来通りの形で続けてくださいっていうふうなことで、結果的にはインボイスありっていう前提の制度の継続を求めるような意見書を作るっていうことになったわけです。これはとんでもないも変節っていうか、裏切りだなというふうに僕らは感じています。

ーーなるほど。今二点、提案というのがあると。一つ目が免税事業者の請求書でも8割は仕入れ税額控除ができるように当分の間すると。何かこれを聞くと「なんかちょっとは楽になるのかな?」とか思うんですけど。そんなふうに思ってたらまずそうですか?

疋田 結果的には順繰りになっていく予定なんですよね。3年間は80パーセントでいきましょうと。そのあと3年間は50パーセントにしましょうと。それで合計6年経過すれば、もう完全にだめですよっていうことになるわけですから。ちょっと延命措置をするだけのことであって、制度そのものは動いてしまうということになりますから。結果的には、だんだんと控除が外されていくっていうわけですよね。つまりは課税事業者にとっても8割ならできるって言うけれども、逆に見れば2割は増えるわけですよね、税金の部分が。だから、そこら辺をどこまで課税事業者の方が受け入れてくれるかっていうふうになってくると、そんなに長くは我慢してくれるかっていうと、そうはいかないだろうと思いますけれどもね。

ーーなるほど、わかりました。もう一つの提案としてあるのが、3万円未満の請求書ならインボイスじゃなくてもよいと。

疋田 はいそうですね。インボイスじゃなくてもいいというか、全てインボイスの番号がなくても手続きは続けられるっていうことになるわけですから、そういう面では楽になるっていう部分はあるかもしれませんけれども、本当にそういったものまで必要なのかな?っていう感じはするんですよね。

結局3万円未満のインボイスを、しっかり集めてしっかり引くかっていうと、実際に出てくる効果の「税金」とそれにかかる「手間」というものを考えた場合に、これ大変なんですよね。実際、入力とか作業をしなくちゃいけないですよね、帳簿を作ったりとかそういった書類をまとめるにあたってはインボイスの13桁の番号を全ての取引ごとに記録をしていくっていうことになります。そうするとその作業たるや、もう大変なもんなんですよね。

これは税理士事務所でやる場合もあれば、事業者の方もそうですよ。個人事業者の方なんかも色々な細かいものあるけれども、例えば「缶ジュースを買った」「どこそこで買った」となったときに、ここの番号13桁を間違いなく入れないといけない訳なんですよね。そういったことを何度も何度も繰り返すっていうことの手間を考えていった場合に、当然のことながら、インボイス制度自体が不要だという部分もあるんですけれども、3万円未満っていうのは、それである程度楽になるという部分があるかもしれないけれども、結果的にはインボイス制度を受け入れるっていう立場なわけですから、これもやっぱり受け入れられないなっていう気持ちではあります。

ーーなるほど。これ変な話と言いますか、現状3万3千円で請求していた人っていうのは、結局のところ3万円未満だったらこれまで通りでいいよっていうことなので、結果的には自分が免税事業者でいたかった場合は、その取引の課税事業者から「ちょっとその3万3千円じゃまずいから、3万円にしてよ」みたいなことが起きますよね。

疋田 まあ、そういったこともありますよね。

ーーこのラインで値下げが起きちゃうみたいな。

疋田 はいはい。

ーー分かりました。この辺の背景的なところは、実は自民党の西田昌司さんという方が、この方は積極財政の方なんですけども、ご自身のユーチューブでその辺の経緯を話されているので、もしご興味がある方はご覧になると分かるかなと思います。

ーー実は疋田先生、私、普段「インボイス川柳」というのを詠んでおりまして。ちょっとここで唐突に川柳をぶち込みたいと思います。
非後悔さんからの投稿です。

「インボイス 他人に勝手に 使われちゃう」

というものなんですけども。これはインボイス登録をすると、全件ダウンロードという言い方しますけども、いろんな人が国税庁のサイトから本名だとかそういったものが見えてしまうんですけども。この投稿された方が、「同姓同名の他人がいたら、自分のインボイス番号を勝手に使用される?乗っ取りされる?」そういう可能性があるんじゃないかと仰っていて。ちなみにこの方が調べてるんですけど、「田中実」さんっていう方は日本に5300人いるそうです。だからこの5300人の「田中実」さんの中に、インボイス登録する人は、まあきっと一人じゃないですよね、恐らく。

なので、乗っ取りとかそういうことが、これから起こるか分からないんですけども、何かそんな問題点が色々ありそうだなというところで。国税庁のサイトから全件ダウンロードできるということについて、もしお考えがあればお聞きしたいんですけれども。

疋田 はい、もうこれ大変なことですよね。個人情報がこれだけ公開されるということになりますけれども。まず懸念されるのは、当然色々な名前・本名を隠したい人にとっては本名が公開されてしまうということで、やっぱり嫌な部分っていうのはありますよね。それとともに、インボイスの発行をしなくても、消費税の課税事業者っていう納税者になってる人っていうのはたくさんいることになるんですよね。つまりインボイスが必要な人っていうのは、インボイスの付いた仕入れをするとか経費として使う人ですから。最終的に小売りをする方とか、例えば美容院とかああいった所だったら、まあ美容院は多少あるかもしれないけれども、そういった方なんかは、インボイス必要ないっていうケースが多いわけですよね。でも消費税の課税事業者です。そうするとね、誤解が生まれるんじゃないかなと思うんですよね。

一覧表の中にない人のお店に行って、この人、消費税加算して請求しているっていうふうになると、「あなた消費税払っていないのに、消費税を取っているって、これおかしいんじゃない?」っていうふうな変な噂が流されてしまうんですよね。やっぱり税法に対する理解が不足していると、その公開された名前をもとに誤解が生まれる可能性があるんじゃないかなっていうのが、すごく不安になるなっていう部分があります。

こういったところもそうなんですが、実は韓国でですね、インボイス制度についてのなりすましっていうのが結構問題になったんですね。それはどういうことかって言うと、誰か知らない(または知ってる)人の名前を使って、インボイスの登録してしまうわけなんですよ。

ーー勝手に、登録をしちゃう?

疋田 しちゃったんですよね。そして、その人の名前で取引をする。でも申告をしないんです。税務署には当然資料が残っていて、その人が申告していないんじゃないかということで、税金をかけられてしまうということがあるんですよね。それはそれでもう大変な問題なんだけれども、問題は「その人の名前でインボイスの付いた領収書を売ってるような人」なんかが韓国で問題になったんですね。

ーーすみません、領収書を売っている?

疋田 そうそう、この領収書を使えば経費にもなるし、インボイスで仕入れ控除も使えるから、そういうチケット屋みたいな人が、裏の領収書屋さんというのが実はあったんだっていうこと、韓国の税務署の方からも聞いたことがありますけれどもね。そういうふうな裏取引にも使われたりもすることがあるんですよね。そういう面で、自分でチェックするっていうことができるっていう面はあるかもしれないんですけれども、ただやっぱりインボイス制度っていうのが、そういうふうな犯罪にも使われる可能性のある制度だっていうことを、ちょっと論点から外れてしまいますけれどもお話しさせてもらいました。

ーーああなるほど。それこそさっきの川柳じゃないですけど、「インボイス他人に勝手に使われちゃう」ってのは、実際に韓国で行われているということですよね。

疋田 そうなんです。今の川柳で思い出したエピソードです。

ーーああなるほど。それこそ「偽造インボイス」とかって言われ方をするのが、これにあたるんですか?

疋田 そうですね。偽造ですよね。実際に探せば、その人の名前で出てるわけですから。

ーーちなみにご存じだったらでいいんですけど、それってどのくらい横行しているものなんですかね?

疋田 どれぐらいっていうのはちょっと僕は聞いてないですけれども、結構あるって言われるんですよね。例えば税務署なんか3年に一度しか調査しないから、3年間使い放題みたいな感じなんです。だから、例えば稼働していないような会社なんかあるじゃないですか。その会社の名前でインボイス登録して、例えば一年間とか二年間だけそういった仮想の領収書・インボイスの番号を書いた領収書を使って取引する。そういうようなことを雑税請負しているような、そういう輩も出てくるということがあるんですね。とんでもない話なんですけれども、そういったことが犯罪として現実に、韓国ではあったっていうふうに聞いております。

ーーなるほど。なんかもう制度自体が破綻しているといいますか…。ここでまたもう一句詠みたいと思います。らいだーさんからの投稿です。

「隠している 大増税が 本音だろ」

というわけで、インボイスの導入は消費増税の「地ならし」なんじゃないかという意見もあったりするんですけど、このあたり、もしご意見があれば伺いたいんですけども。

疋田 まあこれね、消費税の増税だけに結び付かないなとは思うんですけれども、あの僕の感覚でですよ。でも実際には「デジタル化」ということが一番大きな問題ではあるし、そして最終的には、「電子インボイスで全てデジタル化してしまう」っていうのが、この国の今考えてることじゃないかなっていうふうに思うんですね。

その結果、どういうことが起きるかって言うと、税の徴収システムっていうか、そういったものが完成されてくる。今色々なもうちょっとたくさん法律ができていたり運用が始まっているんですけれども、預金のデータが検索できるような仕組みになっている。そして一方ではインボイスについては電子インボイスでいろんな経済取引がデータとして調べられるようになっているんですよね。お隣の韓国では、事業者の申告義務の中で消費税の関係する取引、そういった請求書とかの発行をすれば、それを全部国税庁に申告しなくちゃいけないっていう、情報申告っていうんですけどもね。

そういったものをした上で、そして国税庁はそれらのデータをマッチングして、そして消費税はこの人はこれだけあるはずだっていうような計算を自動的にやってしまう仕組みが今できて上がっているんですよね。それを日本がするかどうかは僕らはわからないですけれども。そういう情報がコントロールできるような、そんな仕組みっていうのが出来上がるのがインボイスを使ってのことになるのかなっていうふうに思うんですよね。

そのことでどうなっていくのか?っていうと、もちろん税金の取り漏れをなくしていくっていうことが大前提としてあるわけですね。これが公平な税制、税金の行政だっていうことなんですけれども。

あの、ちょっと話ずれるかもしれませんが、この間山口県でですね、誤送金された事件があって、そしてそれの資金回収で国税徴収法っていうのを使ってわかりましたっていうことなんですよね。この国税徴収法っていう法律のことを言い出すとちょっと長くなるんやけれども、要は国税徴収法の対象となる数万円の税金の滞納があるから、その人と取引のあった人の預金を全部差し押さえすることができたっていうことになったんですよね。そして差し押さえされた人たちが「これじゃかなわん」ということで、そのお金を返したっていう経過があった訳なんですけれども。

結果的にこれね、普通、差し押さえするには裁判所とかの許可を得ないと差し押さえなんかできないんですけれども、自力執行権っていうと、税務職員の判断で差し押さえができるとか、そういった強権的な、行政ができる。そういった支えとしてインボイス制度もそうですし、国税徴収法であるとか、そういういろんな法律が今どんどん変わってきているんですけれども、そういった仕組みの中の一つが電子インボイスになってくるんだろうと思うので、そういった仕組みができれば増税なんかしやすいっていうか。増税をしても取りはぐれのないような仕組みができてくると。増税の内容が正しいかどうかっていうのは別の問題として、やってしまえばどんどん取りに行けるっていうような。そんな怖い政府が作られるんじゃないかな?っていうことで、デジタル化という怖さの一番軸になるんじゃないかなというふうには感じています。

ーーなるほど分かりました。先ほど日税連の建議書の話があったんですが、実は日税連の令和5年の建議書というのが今日づけで公表されたらしいです。佐伯税理士がその辺のお話をしてみたいというお話だったんで、急遽佐伯先生をお呼びしたんですが、佐伯先生、喋られますでしょうか。

佐伯和雅 税理士(以降、佐伯) はい、大丈夫です。聞こえてますでしょうか。

ーーはい、聞こえてます。

佐伯 疋田先生どうもご無沙汰でございます、お久しぶりでございます。先程、令和5年の建議書が日税連から発表されたので、消費税のところだけ読みましたので、ご紹介したいなと思います。

まずですね、皆さん先程から話があった通り、建議書の重要建議項目の一番にですね、適格請求書等保存方式・インボイスですね、導入時期を延期するか柔軟な運用を行うことというふうにされています。要は反対という旗はもう降ろしたいうことです。何が書いてあるかと言うと、なかなか細いことですけど、要は取引の商慣行として、取引として振り込み料を引いてお互いお支払いすることがあるんだけど、この時に変換のインボイスを出すことが、すごい事務負担だと。これがまずいんで3万円未満についてはやめてくれということが書いてあるのと、あともう一つ書いたのは、これはなかなかひどいなと思うのは、要はBtoCの取引の方は課税選択をしなくていいから、ここに公平性が保たれないよねと。なので抜本的に再検討しましょうというような書き方です。

ーー抜本的に?それは何を抜本的にってことになるんですか。

佐伯 要はさっきお話しになった通り、その80パーセントの控除を認めるっていうのと、3万円未満のものを認めてくれっていうことを、多分言ってるだろうなということですよね。

ーーBtoC取引の人は、今後何か変わってくる?

佐伯 要はBtoCの人はインボイス発行しなくていいっていう可能性が高い、要は課税事業者登録しなくていい可能性が高いんで、そのBtoBの人とBtoCの人で公平性が保たれないという書き方してますね、意味がわからないですね。あとさらにです、ちょっと細かいとこを読むとですね、ついにですね簡易課税のみなし仕入れ率の引き下げっていうのも書いてあります。えっとこれはちょっと話すと長いんで、まあついに簡易課税も言ってきたなっていう感じと。

ーーああやっぱり、よくインボイスの対策として簡易課税制度があるよって話なんですけども、それもどうも違くなりそうだっていう。

佐伯 要は概算で引けるパーセントを下げますと。要はもっと払ってもらいますという方向を日税連から言っている。もうひとつあってですね、これは初めて言ったかもしれないですね。全ての事業者を課税事業者として、申告とかがなかった場合は申告を放棄したというふうに見なすという制度を作るっていうのを書いてあります。これちょっと何を目指しているのかっていうと、たぶんとりあえず全員事業を始めたら課税事業者だと。要は免税でいたい人は申告書出さないでねと。まあそういうことなんだと思うんですけど、今までと全く逆のことですよね。総括するとですね、インボイス制度をやりたいっていう、そういうことが書いてあるように読めます。

ーーなるほど。

佐伯 という感じですね、疋田先生。

ーー疋田先生から何かご意見があれば。

疋田 意見って言いますかね。政府が言ってる、言いたいことを言わせてるっていう感じがするのと、同じようなことなんですけれども、ちょっと今日の趣旨とは違うけれども、相続税の改正っていうことは、考え方が去年は税制調査会が出していた意見があるんですよね。それと全く同じ内容、まあ全くとは言えないですけどほぼ同じような内容の改正意見を、税理士会が今度出しているんですよね。だから、政府がそういった意見をまとめるのではなく、税理士会にそういったまとめをさせてやるっていうか、先ほども言いましたように、政府の監督下で動いている日税連ですけれども、それこそもうコントロールされて動いているような印象を受けるような、今のお話だったなっていうふうに感じますね。

ーーなるほど分かりました。佐伯先生もありがとうございます。

佐伯 はい、ありがとうございます。

ーーはい、続いての質問といいますか、疑問に思ってる人も多くて、ちょっと質問を受けておりまして。よくインボイス導入のメリットとして「複数税率にはインボイスが有効なんだ」っていう話を聞くんですけども。これはどういうところなのか?実際に有効なのか?みたいなことをお聞きしたいんですけど。

疋田 有効かどうかっていうか、今もうすでに日本は複数税率制度を使っているわけなんですよね。ずっと動いてます、特に問題なく動けているわけなんですよね。インボイスがなければだめっていうような問題は全くないです。だからこれはちょっとまやかしかなというふうに思うんですよね。複数税率でも問題っていうのは、どちらの税率になるかっていう現場での選択の方が大変なわけですけれども、そういう点では、まやかしだなっていうふうに思いますね。先ほどの複数税率にする上で、インボイスが必要だっていう理屈は。これは僕はちょっと納得できないなと思いますね。

ーーなるほど、実はそうなんですね。分かりました。

今ちょっとご登場いただいたんですけども、共産党の大門実紀史さんがお越しいただいたというところで、そろそろ、ここでバトンタッチしたいと思うんですけども。最後に、疋田先生の方からインボイス廃止に向けてと言いますか、何かひと言メッセージがあれば。

疋田 そうですね。はい、まずはやっぱりこのインボイス制度は駄目だっていうふうな思いはありますけれども、私の顧問先のお客さんもね、インボイスの登録しますかっていうお話しましたら、あまりにも制度がずさんだなということと、周りの同業者の人ももうえらいめちゃくちゃやなということだから、これはひょっとすると直前に中止になるかもしれないから様子を見てから準備するかどうか考えるわっていうふうに、巷の中小企業の零細企業の社長の中にはそういう見方で、斜めに見ているような人たちもいます。だから、これはやっぱりあかんぞっていうふうな雰囲気が出れば、大きく動く可能性も僕はあるかなと思いますので、諦めずに頑張っていきたいなというふうに思います。以上です。

ーーはいそうですね、諦めずに頑張りたいです我々も。というわけで、本日はありがとうございました。

疋田 ありがとうございました。



●この回の音声アーカイブ(YouTube)

●「インボイス制度」反対へのオンライン署名

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