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【夢日記】和歌の会

どこかの学校の教室のような場所。

まるで掃除のときのように、年季の入った机や椅子が教室の奥にどけられている。しかし、掃除の時間ではなく、これからなにかイベントが始まるらしい。教卓の上には立派な鏡餅が据えてあり、「ああ、新年だなあ」と思った。

そのイベントとは、みんなで和歌を詠む会だということがわかった。

どうしよう、文才ないしそんなにすぐに和歌なんて思い浮かばないなあ、と思っているうちに会が始まり、まわりのひとが妙な節をつけながら次々と歌を詠み始める。正直、何と言っているかさえよくわからず閉口した。

まいったな、大学受験のときも和歌が出ると古文の点数低かったよなあ。和歌なんて何年ぶりだろう。…などと、楽しそうに自分の歌を詠む参加者たちをよそに、ぼくは独り困り果てていた。何だったろう、五・七・五・七・七のほかに季語も入れるんだったかなあ。季語?この季節の季語はなにを入れればいいのか…

そう思っているうちにぼくの番が来たらしく、「ささ、どうぞ」などと言われる。やぶれかぶれになって、

 明けまして めでたきことじや と云はれても
 何のめでたき ことやあらん

という出鱈目の歌(?)を彼らに倣ってこれまた妙な節をつけて詠んだ。ぼくのやっつけ仕事にまわりがざわめき始めて、そのうちの一人が「先生、いまのは…」と口を開いたところで、気がついたら毛布の中だった。

毛布の中で例のやっつけ仕事を思い出してぼくは苦笑するしかなかった。会社員をしていると、「新年」のなにが新しいというのか、という気になる。なにしろ、たいていの世間は四月から「年度」が始まる以上、むしろ「新年」は年度の末期でしかない。

夜な夜な文字の海に漕ぎ出すための船賃に活用させていただきます。そしてきっと船旅で得たものを、またここにご披露いたしましょう。