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【夢日記】無理筋

大学の講堂か大教室のような部屋。広々とした部屋のなかには多数の長机と椅子。そしてこれまた多数の学生らしき若者たちがそこに着席している。

机上には冊子とマークシートが置かれており、どうやらそれは模擬試験である。ぼくはそれを学生たちに配布していくのだが、どう按配してもどこかで冊子やマークシートに不足が出てしまう。

「すいません、こっちで一つ足りないです」
その学生に渡すと、
「こっちも足りません」
仕方ないから空席のを一つ取って渡そうとすると、
「それ、あたしのです」
と一番後ろの列から女子学生の声がしてくる。

しばらくのあいだ、胃のあたりがきりきりして、眩暈さえ感じながらいつまでも冊子やマークシートを渡したり、取り上げたりしていたのだが、ぼくはとうとう業を煮やして云った。

「やかましい!問題冊子がないとか、マークシートがないとか、ぜいたくばっかり言って!そんなものがないと解答できないなどというのは諸君のわがままです!根性が足りん!そんなものはみんな気の持ちようなのですから、さっさと解答を始めなさい」

自分でも明らかに無茶なことを云っているのがわかる。

それでも、学生たちは意外にも大きな声で文句を云うこともなく、渋々試験に取り掛かり始めた。冊子もマークシートもない者まで机上の方を見てなにごとかしているように見える。ぼくも仕方なくあんな無茶を云ったものの、いったい彼らはどうやって試験を受けるのかしらん、なぞと、なぜか古めかしい日本語で疑問に思い思い、「あっ、そうか、最近読んでいるのは大正とか昭和初期くらいの古い本が多いから…」と思ったところで、毛布の中。


夜な夜な文字の海に漕ぎ出すための船賃に活用させていただきます。そしてきっと船旅で得たものを、またここにご披露いたしましょう。