【夢日記】滅びゆく図書館
其処は豪奢なる、天井の高い建物である。一階奥の閲覧室にはシャンデリアなぞが吊つてあつて、ひとが優に十人も十五人も並んで立つてゐることのできさうな眼前の広い階段には、赤い絨毯が敷かれてある。
都に位置する図書館では、既に鬼籍に這入つた沢山の作家だの、詩人だの、思想家だのと云つた連中の思考が、書架に累々とその軀をば陳列せられてゐる。
僕はかういふ思考の墓場を愛してやまぬ者の一人である。静かで、冷たく、何時迄もカサリカサリと思考の軀どもが乾いた音を立て続ける其場所を…。
然る