牛乳パックの秘密

 「あれ、なぜだ?」
 牛乳パックを再利用して作った金魚鉢の中の金魚が、いつのまにか水に浮いている。
 瑛二は小学生六年生ながら、新進気鋭の発明家である。牛乳パックを再利用して家事に活用。お皿やスプーンの代用品として、特許を取得した。昨今のSDGsブームの中、牛乳パックメーカーと提携し、マスコミにも取り上げられ、小学生にして巨万の富を築くこととなった。
 さらなる活用をということで、瑛二は金魚鉢にすることを考案。実際に牛乳パック製の金魚鉢を試作し、その耐用試験の途中の出来事だった。しかし、何度試しても、金魚は死んでしまう。なぜだ。もしかしたら、何か毒性のある物質が、牛乳パックの中に含まれているのではないか。自分は牛乳パックの再利用で大きな利益を得たが、それは人命の被害という、大きな悲劇を生み出しているのではないか。小学生にとっては無縁の、名誉失墜や損害賠償といった言葉が、頭の中を駆け巡る。
 瑛二は意を決して、牛乳パックメーカーの研究室に向かった。研究員に自分の実験結果を話し、成分調査の依頼をするためだ。研究員は黙ってうなずき、調査をすることを約束してくれた。
 研究員はナイフを握りしめていた。牛乳パック由来のナイフを、、、、。

 この物語はフィクションであり、実在のものとは何ら関係ありません。

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