ピンクの洗面器の桃太郎
今時、川で洗濯、なんてないでしょ。家の洗濯機が壊れたって、この町にはコインランドリーはないのか。そう思いながら川で洗濯をしていると、はるか上流からピンクのプラスチックの洗面器が流れてきました。
ピンクの洗面器が近づいてくると、おや?なんとそこには一匹の子猫が乗っかっているではありませんか。可哀想に、心ない人間により、子猫が川に流されていたのでした。
洗面器と子猫を拾い上げ、その子猫を飼うことにしました。ピンクの洗面器にちなんで、名前は桃太郎と名付けました。桃太郎は周囲の愛に包まれ、すくすくと育っていきました。
時は過ぎ、人間社会には、鬼ヶ島の鬼がはびこるようになりました。心ある人間達はそのことを憂い、鬼退治隊を結成し、鬼を一掃しようとしました。そして、猫の桃太郎も、鬼退治の一員として同行することとなりました。
鬼ヶ島に着いてみると、そこは高齢の鬼ばかり。鬼よりも猫の多い猫ヶ島でした。鬼社会も人間社会と同じく少子高齢化だったのです。鬼ヶ島の鬼達は心優しい鬼達で、島に流れ着いた子猫達を鬼達は拾い上げ、大切に育てていました。その一方で、鬼達は避妊去勢のことを知らないため、猫はどんどん増えていました。
人間と鬼は協力して、猫の避妊去勢を行うことになりました。その結果、猫の数は管理され、鬼と人間と猫達、もちろん猫の桃太郎も幸せに暮らしました。