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休みの前日

日曜日の夜って
次の日は仕事の人がほとんどだから
夜の10時を過ぎたあたりから
通りの人々はちょっとずつ
少なくなってくるものである。

それは、今夜も例外ではなかった。

お店の客の数も少しずつ減っていき
もうすぐ、夜の11時になるところであるが
お店の中には、ワタシと
若いカップルが一組、
そして、自分とは離れたところに
ひとり佇んでいる女性がひとり呑みしていて
その女性をよく見ると、
まあまあ、可愛かったりする。
(お話くらいしたいよね)
心の中で、そっと呟いたあと
俺は、無意識に大将を呼んでいた。

「大将、しそ巻き、もう一本、いいかな?」
俺は、この店の一番のお気に入りを
注文した。

「了解!」
「今夜も、ほとんど売り切れたけど、
ねぎまと、皮もあるけど、どう?」

「在庫処分? 笑」
「ま、いいよ、一緒に焼いてよ。」

しかし、オレはしそ巻きが
一番の目的であった。
こちらの、しそ巻きは
ササミを少し小さめの
しそで巻いて
焼き加減も、絶妙な焼き加減で
焼いてあり
そして、そのしそ巻きを
門外不出の秘伝のレシピに
よって作られた梅肉につけて
口にするのである。

これが、美味しくないはずがなかった。

梅肉だけ注文して
持って帰りたいくらいである。

オレは、まだ、生中を
二杯飲んだだけであったが
すでに、良い気分になっていた。

酔ったまま、先ほどの
ひとり呑みしている女性に
目をやってみた。
目が合うことはなく
一人で静かに呑んでいる。
「声をかけたい。」
そのように思うのだが
お互いの距離が、そうはさせない。

まー、でも、今夜は一人で呑もうと
思っていたところだ。

「こんなもんだろう。。」
そのように思いながら、
この静けさがいつまでも
続くと良いのにと呟いた。





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