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業務負債について考えてみた件
きっかけはBen Horowitzの記事。ITの世界では技術負債というのはよく聞く話だが、経営においても同様に経営負債(Management Debt)なるものが発生するとのこと。この記事では、例としてスタートアップによくある経営負債を作る誤った経営判断を3つ紹介している。
経営負債のもとになる3つの例
1) 1つのマネジメントポジションに2人の人間をアサインする
2) 高額の引き抜きオファーを受けた従業員の給与を上げる
3) 従業員フィードバックやパフォーマンスの管理をしない
2)については、過去にカウンタオファーで転職を留まったことのある自分にとってはややバツの悪い話だが、納得できる内容ではある。
技術負債、経営負債と来れば、業務負債というものもあるだろう。
優秀な人が業務負債を生み出すというのはありそうな話だと思う。優秀であるが故に業務が集中し俗人化した結果、業務負債が生まれる。他にも、組織・ルール・プロセスの隙間に落ちるポテンヒットを素早く拾ってうまく捌く気の利く人材の存在は、組織的に対処すべき課題を結果的に覆い隠してしまい、知らず知らずのうちに業務負債を生み出してしまう。これらの貴重な人材がカバーできるレベルを超えてしまったとき、あるいは退職などでいなくなった時に初めて負債の存在を思い知ることになる。
業務の俗人化は業務負債を生み出す1つの要素だと思うが事業が成長し組織が拡大しているのであれば、どこかのタイミングでこれまでのやり方を変える必要性が出てくるのは当然の話ではある。よって、変革のタイミングをタイムリーに察知し、組織的に適切な処置を行うことが必要だ。タイミングを逸する、対応を誤るの、どちらか、もしくは両方が負債を大きくするのだと考えられる。
この点、対策としてはSmartHR社の宮田社長のブログは参考になる。『「たらい」が2回まわったら新ポジションの合図』というのはルールとして、シンプルで明確だ。
技術負債の話ではあるが、最近読んだ『Engineers in VOYAGE』によると負債の返済には賢さだけではなく、腕力が必要とのこと。
関係ないところに手を出す力、放っておかない力、というのがまずあると思います。重要だけど緊急でないからだれも手を付けないところをゴリゴリ巻き取っていくためには、カッとなる力、放っておかない力が必要です。
そのうえで、それを短期間で仕留める力ももちろん必要になります。
たらい回しが2回発生というタイミングで腕力を発揮するのである。
現場で業務を回すメンバーが最も違和感や変化の必要性を察知し、相談を受けたミドルマネジメントが変革の腕力を発揮するというのがバランス的に良さそうだが、なかなかそうもいかない。
逆説的ではあるが、変化の必要性を察知し柔軟に対応できる主体的なチームを作るには、一度ガチガチのルールベースに振り切った分業制のチーム経験がかなり効いてくるというのが個人的な経験である。
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