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US MBA受験に必要な準備とは?

2024年US MBA進学に向けて、2022年暮れから私が進めてきた準備について、説明をします。


まずはなぜ私がUS MBAを目指し始めたかについて、ご一読いただくことをお勧めします。

全体戦略

2024年進学に向けて、2022年12月末時点で決めた戦略は4つでした。

  1.  IETLTS対策を後回しにし、GRE対策を優先したうえで、7月までにIELTS (O.A. 7.5) / GRE (326)どちらのスコアメイクも完了させる。

  2.  CVを3月頃までに固めて、推薦状作成等は上司に早めに依頼をする。エッセイはカウンセラーと相談しながら夏ごろにまとめてしあげる。

  3.  面接対策は出願ができ次第、がっつり行う。日ごろはIELTS対策のために、オンライン英会話を毎日続ける。

  4.  奨学金は受かる確率がそれほど高くないため、可能な範囲で応募する。

  5.  志望校はStanford, Harvardに照準を合わせ、R1での出願を目指す。 

2023年1月頃にはきむしゅんさんが主催してくださった飲み会にも参加し、他の出願者の方の状況を知ることができたのも、非常に励みになりました。ちなみに、きむしゅんさんのチャンネルに登場されたAさん(Oxbridge合格者)とも、このタイミングで交流を持たせてもらうことができました。

※この二つの動画をみていただくと、MBA受験の成功パターンがみえてくると思います!私の事例とうまく対比してみていただけると、受験プロセスや合否の分水嶺がより立体的に把握できると思います。

さてここからは、各セクションごとにこの戦略が果たしてどこまでワークをしたか、どのような見直しをしたかについて、一つ一つ解説いたします。

スコアメイク

GRE/GMAT, IELTS/TOEFLのそれぞれどちらのテストを選択するかについては諸説ありますが、とにかくスコアメイクをしやすい方ということで、GRE/IELTSを選択しました。

2022年秋ごろから徐々にIELTSの準備を始め、IELTSは12月、1月と2か月連続で受験した結果はどちらもO.A. 6.5でした。当時は目標O.A. 7.0がとれてからGRE対策をした方がいいのではないかとも思い、IELTSが完成しないままGRE対策を優先することに少し抵抗はあったものの、後々この戦略は正解だったなと思いました。

2023年1月~6月の半年間はGREをメインで対策をしました。平日は2時間、休日は4時間くらいの勉強時間を確保していました。もともと文系数学が得意だったこともあり、Mathの対策をだいたい1か月くらいで終えたのち、Verbalの対策に時間を当てました。正直このパートはかなり苦戦をしました。Reading ComprehensionはMagooshを解きまくったり、週末の朝に開催していただいていたオンライン勉強会に参加したり、とにかく量はこなしましたが、紛らわしい選択肢を古い落とすところが未だに苦手です。加えて、奇問難問な単語問題はGRE Vocabulary Flashcardsをやりこみ、最低限のラインをなんとか押さえました。

1回目(5月):318(V 149 M 169)
2回目(6月):321(V 151 M 170)👈 このスコアで出願
3回目(7月):318(V 152 M 166)
4回目(11月):314(V 145 M 169)

ターゲットスコアには届かなったものの、2回目の試験で出願できなくはない結果が出ていたことは精神衛生上は悪くなかったと思います。ただGREは結構ボラが高いテストになっており、結局最後に受けた会が最も点数が低いという残念な形になってしまいました。結構凹みました。

ちなみに本当は「幻の0回目」がありました。自宅受験を試みたのですが、なんと試験開始前に、PC設定に思わぬエラーがあったようで、失格となってしまい、試験そのものを受けることができませんした。そのため、残り全4回はお茶の水のソラシティの会場で受けました。自宅受験はフレキシビリティが高いですが、環境構築に気を遣う必要があるので、ご注意ください!

なおIELTSに関しては、6回受験して、6回目にO.A. 7.5を取得しました。最初の採点ではO.A.7.0だったのですが、再採点を申請し、無事O.A. 7.5を得られました。なお、スピーキングは、ほぼ1年間毎日30分のオンライン英会話に取り組んだものの、1回も7.0を超えないという残念な感じではありました。予定よりも3週間ほど遅くなったものの8月半ばにスコアメイクを完了させました。

点数そのものはトップ校を受けるには足切りギリギリではあるのですが、総じてタイムマネジメントという観点では、当初の戦略は現実的かつ、上手く機能したと考えています。あくまで私のケースは一般化できるものではなく、読者の方がどのようにスコアメイクしていけばよいかについては、専門家と相談していただくことをおすすめいたします。

出願書類

スコアメイクと並行して、早めにこれらの作成に着手をできたこと、カウンセラーのサポートを得ながら、最終的に納得ができるパッケージを完成させられたことは、この受験プロセスの中で最も満足しているところでもあります。他方で、初期の戦略検討が甘いままずるずると時間を浪費してしまっていたことは、勿体なかったと考えています。CV/エッセイ/推薦状を一貫したストーリーにパッケージングをすることは、非常に根気と洞察を要しますので、スコアメイクで時間切れにならないようにする必要があり、その点においては、上手くマネジメントできたと思います

CV

特に見落とされがちなのですが、初期にがんばるべきはCVの作りこみです。当初CVは職務経歴や学歴を並べるだけで、転職活動で使っていたフォーマットをそのまま使えばすぐに作れると思っていましたが、それは大きな間違いでした。MBA進学で求められるCVには、日本での転職活動でのCV以上に、クリアなメッセージ性と、実績の裏付けが必要です。

例えば、私の場合には「ヘルスケア分野のイノベーター・アントレプレナー」というテーマを提示したうえで、どのようなイノベーションをどういった役割で実現させてきたかを表現する必要がありました。単に職務経歴を列挙するだけではなく、このテーマに沿って課外活動を含めて、端的にアピールしていくことが重要でした。私の場合には、AI研究を行うNPO団体のGeneral ManagerをPro Bonoとして一時期実施しており、そこでの論文発表についても触れました。さらにR1時点では、私が今勤めているスターアップであるiSurgeryを共同創業したことに取り立てて触れていなかったのですが、ここに触れることで、アントレプレナーとしてのリスクテイクしたことがクリアに表現できました。King CosultingのJessicaからのフィードバックは毎度とても示唆に富んでおり、支援にとても感謝しています。
※CVの内容はだいたいLinkedinにも連動させて反映しているので、参考にされたい方は、そちらをご確認ください。

エッセイ

What matters most to you and why?というStanford GSBの名物エッセイから取り組みました。正確にはカウントできていないですが、30回以上は書き直しをしました。最初のうちは、ChatGPTでの壁打ちをしながら、なんとか最低限読めるレベルのエッセイは書いたものの、自分の価値観を描くよりも、ありたい自分像を書いてしまい、たびたびカウンセラーから散々なフィードバックを受ける、という感じを繰り返しておりました。さらにヘルスケア以外の分野の方々にこれまでの軌跡をわかりやすく伝えるにはどうすればいいのか?というところがなかなか見いだせず、R2の締切2か月前になっても、思うようなレベルの仕上がりにならなかったため、かなり焦っていたことを覚えています。

そんな中、江戸義塾のEdには何度もフィードバックをもらい、そのたびに自分の価値観に沿いつつ、キャッチーでもあるエッセイを書き上げていくことができました。特に、私の原動力であった探求心をシンプルかつ詩的に表現をすることができ、オーダーメイドのサービスに大変感謝しています。

機微な情報を含むところは少し端折りますが、参考までにWhat matters most to you and why?エッセイを一部抜粋した形で掲載します。

Explorating for the stars, I have been pursuing new paths as a pioneer.

Every student at my public elementary school in Japan was encouraged to learn exactly what was taught at the same pace as dictated by the government-set age-specific curriculum. Finishing the lesson in about 15 minutes of a 45-minute class, I found myself bored, often gazing out the window at the sky. I asked my teacher for a more personalized and challenging curriculum, but the teacher scolded me. 'There's no need to boast about your abilities; just follow the class.' The teacher could not extinguish my desire to learn. I wanted to find the star and I decided to attend a flexible and challenging private middle school, where I would not be reprimanded for wanting to learn more.

Over fifteen years passed and I was enjoying my career transforming the healthcare industry at a leading healthtech platform in Japan, founded by former-McKinsey partners and Sony innovators. I engaged in a noble mission to transform healthcare supporting pharmaceutical firms and fund investment. Pursuing my mission consulting with pharmaceutical partners to collaborate on deploying innovative marketing initiatives, I was a top performer. Yet, I hadn’t found my star and was beginning to feel a sense of burnout.

Then, during a coffee chat, I discovered my morning star, medical AI, when I learned that deep learning began outperforming humans in image recognition. This led to more medical research and inspired me to use it in pharmaceutical marketing. Everyone said, “What are you doing?” “That’s taking a big risk in a market that does not exist.” However, just like in elementary school I did not want to follow the path with everyone doing things I already knew. Every day I was motivated, knowing osteoporosis, despite the importance of early detection substantiated by wealth of evidence, has over five times more undiagnosed patients than those currently under treatment. Aiming to address this significant healthcare gap, I initiated a project using AI to analyze bone conditions from routine chest X-rays - a procedure conducted about 100 million times annually in Japan.

(An ellipsis)

Dr. Sato proposed, “Why don't we start our own company?’ Confident in the potential of AI technology and in each other, we refused to let the project end with that phone call. Excited to venture beyond just writing research papers, we challenged the real business world. We spent weekends for two years developing and testing our AI. Seeing it perform screenings over ten times faster than existing methods in health checkups, I confirmed our technology would be my guiding star for the future of healthcare and dedicated everything I had to our startup.

(An ellipsis)

Our journey reaffirmed that what matters most to me is reaching for my north star, groundbreaking innovation.

そしていわゆるWhy MBA? Why School?といった内容のエッセイに関しても、在校生・アラムナイの皆様には大変協力をいただきました。ひとりひとりコールドコールをしながら、10名近くの方と各30~60分のセッションを持たせていただきました。初回面談であっても、みなさん本気でフィードバックをいただけたことに、私自身はとても励まされました。そのフィードバックは今でも私の人生における大きな財産になりました。参考までに、Why Stanford? エッセイの最初と最後のパラグラフを掲載します。

My aspiration is to bridge evidence-practice gaps in healthcare by expanding iSurgery, a startup I co-founded, into a global disease early screening and intervention platform. Stanford's interdisciplinary environment, alumni network and curriculum will empower me to accelerate the pace of business expansion and implement solutions that go beyond imaging AI, delivering even greater impact.

(An ellipsis)

My transformation at GSB will propel the next step in my career as a leader who creatively addresses gaps in healthcare that no one has been able to solve before.

このエッセイは12月上旬にどうにか書きあげることができ、無事にR2の出願に間に合わせることができました。しかし当初予定の倍以上の期間である10か月近くエッセイ作成にかかった反省としては、スコアメイクと並行しながら、もっと臆せずにカウンセラーやアラムナイ・在校生に早い段階から、がんがん相談するべきでした。最初のうちに、話しやすい人からだけフィードバックをもらっていたことは改善の余地があったと考えています。

他方で、各学校ともにエッセイのテーマは異なるのですが、What matters most to you and why? とWhy MBA (Stanford) ?を書ききることで、エッセイの骨格は大きく変えずに、するするとエッセイがかけました。もちろん後者のWhy School?に関しては、各学校ごとの調査やアラムナイ・在校生へのヒアリングを要するため、カスタマイズは必要になりますが、骨格はほとんど同じ形で回答することができましたので、焦っていろんな学校のエッセイに取り組むよりも、Stanford GSBをターゲットとした準備をしていたことは正解だったなと思います。

推薦状

あんまり他の体験記でも多く語られることのない渋めのテーマです。私は現職・前職での上司に記載をしてもらいました。きむしゅんさんの動画にもある通り、エッセイで表現しきれない自身の強み・弱みを客観的に描くことが重要になってきます。予め上司たちにはスケジュールをお伝えはしていたものの、エッセイのストーリーラインを決めるのに時間を要しすぎたこともあり、最後はだいぶカツカツのスケジュールでの調整となってしまいました。

ちなみに推薦状に関しては、推薦者の箔が大事、という意見もありします。私はエッセイのストーリーに即した人選をさせていただきましたが、トップスクールを狙うならば、そもそも推薦者選びから戦略的に行う(=推薦者を予め決めておき、数年間その方の下で働く等)ことも必要かもしれません。ただし真偽のほどは定かではありませんので、参考程度に。

面接対策

結局面接に呼ばれなかったこともあり、今年は実践の場で披露することは残念ながらなかったものの、できる限りの対策はしました。

Generalな問いと、Behavioralな問いにわけて、それぞれモデルアンサーを準備し、カウンセラー(Jessica, Edの他にNishにも手伝ってもらいました)、オンライン英会話(Cambly)のチューター、同じ年の出願者の皆さんとの模擬面接を経て、回答方法を磨きこんでいきました。

例えば典型的な質問での回答例を参考までに紹介します。だいたい200words以内を1分30秒以内に話せるようにしていました。

A General Question: Walk through your resume.

My career focuses on bringing innovation to the healthcare industry in Japan. My dad has worked in a pharmaceutical company and I felt it was meaningful to contribute to the healthcare industry and after I graduated with a law degree from University of Tokyo, I joined a Japan's leading healthcare platform, running over 70 businesses internationally.

Due to my passion, I quickly learned about market research for the pharmaceutical industry and became one of the top performers in the data consulting area. Then I discovered medical AI and grasped the future impact and quickly ascended to a management role in business development and product management. These roles laid the foundation for co-founding iSurgery, where our AI software as a Medical Device is revolutionizing bone status.

My leadership at iSurgery in raising $X million funding and fomenting internal governance marked a key milestone in my career.

Personally my passion for music taught me about creativity, high performance, and harmony, which sharpened my teamwork abilities, essential in uniting medical, tech, and regulatory experts. I fortunately found my North Star in my career and I am applying to business school to create more innovation in the healthcare industry.

A Behavioral question: Tell me about a time when you recognize some issues or opportunities before anyone else recognizes them.

Curiosity helps me discover opportunities that other people don't recognize because I can explore them more deeply and more quickly than other people.

So based on my curiosity I could discover medical AI before many of the people in the industry and it was so exciting for me because I felt that it had the opportunity to totally transform the industry.

However there was a problem because everyone said that there was no market or business model to yield any income.

On the other hand I believe that the technology was superior to the current status quo and if we could implement the technology, it would screen far more potential patients and it would lead to far better patient outcomes and that belief drove me to share my vision and communicate with more people.

Of course I faced a lot of rejection and many people didn't agree with me but on the way I could find supporters and we could start a company together and we could get the funding and we are proving that there is a market and we are proving that there is a business model.

This really taught me a lot about Innovation and the first mover has such a hard time to convince others but at the same time with the passion and a vision I can help realize the opportunities that are being missed and this is really exciting for me and it makes my life more meaningful.

ポイントとしては、こうしたスクリプトでできる限り幅広い質問に回答できるようにするということだと思います。例えば、2つめのスクリプトでは、Describe a situation in which you are blocked from reaching a goal.という質問に対しても、導入部分を以下のように差し替えるだけで、ある程度は対応できます。

I'm always challenging big goals. So I've faced severe roadblocks on the way, but these have helped me build resilience and commitment to overcome obstacles and achieve my ambition.

達成、失敗、組織の改善、自身のリーダーシップスタイルといった各質問パターンに対応するエピソードを用意しておき、いかなる状況でも回答ができるにするインテンシブなトレーニングを2023年10月、2024年1月の各1か月間でやりきりました。純ジャパでも、とにかく対策をやりきれば、最低限の受け答えはできるようになります。

またカウンセラーの他に、江戸義塾のLINEコミュニティでモックインタビューに付き合っていただける方6名ほどとも知り合い、お互いのインタビュー回答に関してフィードバックをしあうこともしました。他の方のストーリーを聞くことは大変刺激になりました。

とはいえ、毎日オンライン英会話を欠かさずにやっていたとしても、普段の業務や日常生活で英語を使うシーンも多くないため、ある程度の質疑まではできましたが、冷静かつ端的に質疑対応ができるようになるまでには至りませんでした。これは場数がものをいうので、今から来年の面接に備えて準備しつづけます。

奨学金

Hennessy先生が直接日本まで出向いてこられるということで、慶應義塾大学 三田キャンパスの説明会にも参加しましたが、年齢的にちょうど足切りラインにかかっていることが分かり、そもそもこの奨学金への出願すらできませんでした。やはり20代のうちに出願することは大事です。

フルブライトへの出願も試みましたが、4月末時点でエッセイの方向性が定まりきらず、奨学金出願を断念しました。

そしてこの時点で私費生として挑戦することにしました。この選択に後悔はないものの、反省点が大いにあるとは考えています。

志望校選択

スコアメイクが当初予定よりも遅れたこともあり、7月半ばの時点で、R1はIELTS不問であったMIT, CBSで予行演習を行い、R2にStanford, Harvard, UC Berkeleyを受験することにしました。当初の予定よりか3か月ほど遅れたものの、2024年進学枠に申し込めたことは、よかったです。

これらの受験校以外にも、東京都内で開催されていた学校説明会には、可能な範囲で出席をし、できる限り直接アラムナイ・入学審査官とは直接話す機会を持つようにはしていました。正確には覚えていないですが、10校近くの説明会に行きましたが、その中でも特に昨年夏に開催されたStanford GSBの説明会は熱気があり、非常にエネルギーをもらえました。

ヘルスケア市場の大きさからも、卒業後はUSで仕事をしたいと考え、US校以外には興味がなく、かつ私費で行くからにはトップ校にこだわろう、というスタンスを維持しつづけました。私自身はこの妥協をしない選択をできたことは誇りに思っています。

US MBA受験の結果とその考察は次の記事で解説します。


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