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カレ(格子) <1959-6>

4群オーケストラと4群合唱のための

4群オーケストラと4群合唱のための『カレ』はコンサート・シリーズ「新しい作品」のためのハンブルクの北ドイツ放送局(NDR)からの委嘱作品です。
 世界初演は1960年10月28日にハンブルクのプランテン・ウン・ブローメン・バンケット・ホールにて行われました。マウリチオ・カーゲル(合唱とオーケストラI)、カールハインツ・シュトックハウゼン(合唱とオーケストラII)、アンドレツェイ・マルコフスキ(合唱とオーケストラIII)、ミヒャエル・ギーレン(合唱とオーケストラIV)の指揮するNDRの合唱団とシンフォニー・オーケストラが演奏しました。合唱のリハーサルはマックス・チューリンとオットー・フランツェが指導しました。
 聴衆を取り囲んだ4群の合唱とオーケストラは以下の図のように設定されます。

<図>略

ドレス・リハーサルの間に、4チャンネル録音が作成され、私はそれから2チャンネル・ステレオ・ヴァージョンを放送とレコード用にミックス・ダウンしました:
 オーケストラと合唱Iは左、IIは約1/3左、IIIは約1/3右、IVは右。
 1960年に作成されたこの録音がこのCDに収録されています。

『カレ』の最初のスケッチは1958年の暮れにアメリカの6週間のツアーの間の飛行機の中で作成されました。そのとき私は一日に数時間飛行して---雲の上を---最もゆっくりとした変化の割合と最も広い空間を体験しました。
 楽譜の作成は、その当時の私のアシスタントのコーネリアス・カーデューとともに、1959年に丸一年かけて行われました。私の計画、スケッチ、そして毎日の指示と修正にしたがって、彼が私と共に楽譜を書きました。
 80人の大きなオーケストラはほぼ同じ楽器編成の4群に分割されます。各オーケストラ・グループには8から12人の混成合唱が含まれています。声と楽器は一つになった混合音響へと結合されます。
発音上の想像のテキストは純粋に音楽的な質によって作曲されました。ただあちこちで子供、女性、友人の名前が現われます。
 世界初演のための紹介文に私は以下の事を書きました:”この作品には筋書きがありません。それぞれの瞬間は独立しています。もしこの音楽を受け入れようと望むのならば時間をかけることが必要です;ほとんどの変化は音響の「内部」で緩やかに行われます。私はこの音楽がある内的な平和、拡張、そして集中を伝えることを望んでいます;私達はたくさんの時間を持っているという自覚、もし私達がそれを受け入れるならば---我を忘れるよりも心を落ち着けるほうが良いでしょう、『なぜなら起きることは何でもそれを起こすことのできる誰かを必要とするからです---誰かがそれを傍受しなければなりません。』”

『カレ』は、4群オーケストラと合唱のための4つの楽譜として、ウイーンのユニバーサル・エディション社から出版されています。

[翻訳:山下修司]