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[コラム]忘れないためには…('21/3/12)

​年を取ると、様々な人生の経験値は蓄えられるので一般的には賢くなる一方で、短期記憶の蒸発速度がヤバい。
「人の顔を見て名前が思い出せない」は当然のこと、最近はネットサービスの「パスワード」問題が悩ましい。生年月日は使っていないものの、サービス毎に「いつものパスワード」を微妙に変えているとなにがなんだかわからなくなる。特に時々使うサービスの場合は本当にヤバい。そのため近頃はアナログだがメモ帳に記載している。でもこのメモ帳を紛失したら、と思うとゾッとする。みんなはパスワードはどうやって覚えているのだろう?

記憶とは面白いもので、どーでもいい昔の記憶はいつまでも残っている。
小学生の時に、近くに住むおさむ君の手袋の片方をいたずらで隠して、夜、おさむ君のお母さんが、
「お宅のお嬢さんに隠されてうちの子が泣いて帰ってきた」
と文句を言いに来た時に、玄関でうちのお母さんがしきりに謝っている後ろ姿とか。
今となっては、忘れても何も問題ない記憶なのだが、あの時の風景は鮮明にいつでも脳裏に蘇る。

一方で、忘れることは幸せなことでもある。
余計な事まで全部なんでも覚えていると、それだけで気が滅入る。
忘れてしまいたいことはとっとと忘れることが一番!で、忘れられることも能力のひとつだと思う。
将来は人間も進化して、自分で自分の記憶をコントロールできるようになるかもしれない。

昨日の帰り道に、いつも使っているスーパーへ行った。
オイルが20%引きのセール。身体に良いと聞いているので、最近はできるだけオリーブオイルを使うようにしているが、これも20%引き。たくさんあっても腐るものではないので、カゴに入れてお買い上げ。
そして、家に帰ってストック棚を開けてみると…
そこには既に2本のオリーブオイル。そういえば先週も…と思いあたる。記憶がここで蘇る。
3本目のストックとなるオリーブオイルを棚に並べて、静かにストック棚の扉を閉める。
メモを活用するのは、パスワード以外にもいろいろありそうだ。

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