見出し画像

[魔法同盟] Niantic Social とは何なのか

この記事は、 魔法同盟 Advent Calendar 2021 3日目の記事です。

2021年11月30日 に急遽 魔法同盟のおそらく最終リリースとなる 2.20 にて Niantic Social が導入されることがアナウンスされました。

本記事は、この Ninatic Social について私が見知った事を基に、今後 Niantic の ARゲームの環境はどのように変わっていくのかを推測した記事です。

注意)Niantic Social に関しての公式情報はまだ少なく、本記事の内容は著者の推測を多く含んでおり、それらの推測は実際の事実とは大きく異なる可能性があることを認識いただいた上で一つの推論としてお読みください。

Niantic Social とは

Niantic Social とは、Niantic のゲームのプレイヤーが交流するためのプラットフォーム(基盤となる環境)であると私は理解しています。ここでいう Niantic のゲームのプレイヤーとは、ingressポケモンGO魔法同盟ピクミンブルームのプレイヤーとあわせて Catan World Explorers のベータサービスをプレイしていたプレイヤーを意味しており、そして、今後リリースされる TRANSFORMERS: Heavy Metal といったゲームのプレイヤーも含むことでしょう。これらのプレイヤーがゲームの垣根なしに交流できることを目指したプラットフォームと理解しています。

今までの Niantic Social の歴史

Niantic Social 実装前は ポケモンGO と 魔法同盟にフレンド機能があり、それぞれのゲームでフレンドを管理していました。各ゲームでフレンドを増やすことで、ギフトの贈りあいをしたり、フレンドと一緒にポケモンGOのレイドバトル、魔法同盟の魔法使いチャレンジを行うことでボーナスが得られる仕組みがありました。イメージとしては以下となります。

画像7

Niantic Social は 2020年7月にまず最初にポケモンGOに導入されました。この時の機能としては、Niantic プロフィールと呼ばれるフレンドに対して自身の情報(Niantic からリリースされている他のゲームのプレイ状況)を表示させる機能として実装されました。この時よりフレンドのオンライン状況が確認でき、トレーナーバトルやレイドバトル時にフレンドのオンライン状況を活用する事ができるようになりました。

この時点ですべてのゲームに共通して使われる Niantic Social の機能がみえてきました。イメージとして表すと以下のようなイメージを持っています。

画像7

この後、2020年9月には Ingress からも Niantic プロフィールへアクセスできるようになりました。

推測イメージ図は以下です。

画像6

その後、2021年3月から4月にかけて Niantic Friend と呼ばれるフレンド機能の導入により、各ゲームで最大200人ずつ個別に保持していたフレンド情報が Ninatic Friend と呼ばれるすべてのゲームで共通するフレンド(最大400人)に統合されました。

この結果、ポケモンGO、または魔法同盟のどちらかでフレンドを追加/削除すると、もう片方のゲームのフレンドも追加/削除される動作となり、大きな混乱をもたらしたので、まだ記憶に新しい方も多いでしょう。この時のイメージ図は以下となります。

画像6

2021年8月には Niantic Chat の Closed Beta が Ingress で開始されることがアナウンスされました。

Niantic Chat の機能についてはいまだ Closed Beta ではあるため、詳細な情報は非公開ではありますが、以下の投稿に Niantic Chat のスクリーンショットと簡単な説明があります。

簡単にまとめると、以下のような機能があるようだということが知られています。

・ゲームのアプリ内からアクセスしチャットをすることができる。
(なんらかのチャット用のアプリを別途インストールする必要がない)
・チャットにはブロック機能もあるらしい。
・地域に結び付くグループ(コミュニティ)の機能がある。
・グループには誰でも参加できるパブリックなグループと招待制のプライベートなグループがある。
・現在位置に応じて近くのグループを簡単に検索できる。
・プレイヤーが意図的に位置情報の共有を開始することで、位置情報をグループで共有しあうことができる。
・イベントを管理しその通知も行うことができる。

そして、現在、以下のようなイメージ図の状態に至ります。

画像5

魔法同盟に Niantic Social が導入されるとどうなるか。

2021年11月30日 のアナウンスでは魔法同盟へ Niantic Social が導入されることとなり、ダイレクトやグループメッセージ、パブリックおよびプライベートコミュニティの管理、イベントなどの機能が明記されています。つまり、これは今までクローズドベータであった Niantic Chat の機能を含んだ形でNiantic Social が魔法同盟に導入されることを意味していると思われます。

画像4

Niantic Social が魔法同盟にどのような影響を及ぼすのでしょう。以下はその想定される例です。

・フレンドとチャットができる。
フレンドと直接チャットでコミュニケーションがとれます。たとえば魔法使いXPのギフト実装時、レベル60の魔法使いになっているにも関わらず、魔法使いXPのギフトを送られるケースがありました。(レベル60の魔法使いにとっては、レベルがすでに最大に達しているため、魔法使いXPのギフトはうれしいギフトではありません。)このようなときにチャットがあれば、魔法使いXPのギフトはうれしくないので他のギフトにしてほしいことを伝えることができますし、相手の嬉しいギフトを訊ねることができます。
また、一緒に時間を決めて夜の騎士バスにのるための調整をチャットで行うこともできるでしょう。

・地域のグループを作り、共闘やミートアップイベントを企画できる。
自分の地域に魔法同盟を一緒にプレイするためのパブリックグループを立ち上げることができます。この結果、近くに住んでいる魔法同盟のプレイヤーがいた場合、そのプレイヤーがグループの存在に気づき参加することで、一緒に魔法同盟をプレイする地域コミュニティとして発展できます。そのグループチャットを使って、特定の砦に時間を決めて集まり、対面共闘を行ったり、特定の温室の栽培完了時間の共有や、温室が多いところに集まり、一緒に温室の呪文を唱えあうことで、ユキノハナ大収穫祭等を企画することも可能になります。闇検知器を使って一緒に緊急度の高いレアな痕跡を回収することもできるでしょう。一緒にゲームをしながら、ハリーポッターの世界について語りあったり、飲み会等のミートアップの企画もできるでしょう。複数人で時間を決めて行動する場合はイベント機能や位置情報共有機能も役に立つでしょう。

これらは Niantic Social が魔法同盟に導入されることでおそらく行えるようになることですが、魔法同盟は2022年1月にサービスが終了することがアナウンスされているため、これができる期間は本当に短いことでしょう。もし、このNiantic Social の機能が、魔法同盟リリース時に用意されていたら、魔法同盟をもっと多くのプレイヤーが楽しむ事ができたかもしれないと思うと、残念でなりません。

Niantic Social の今後を推測する

魔法同盟に Niantic Social 導入後、Niantic Social はどうなっていくのでしょうか。先日 Niantic は ゲームプレイの記録や共有ができるアプリLowkey(ローキー)の買収を発表しました。

この発表には以下の記載があります。

We believe AR has the potential to impact humanity in transformative ways, and it is our intention to continue building social tools that contribute to this goal. Today, that takes the form of experiences like in-game chat in Ingress, gift exchanges in Pokémon GO, Postcard sharing in Pikmin Bloom, and meeting up at our many real-world live events. Our long-term vision is to create even deeper connections across Niantic games and continue bringing people together in the physical world.
-------------------------------------------
以下上記の deepl 翻訳の結果です。
私たちは、ARが人類に変革をもたらす可能性があると信じており、この目標に貢献するソーシャルツールを作り続けることを意図しています。今日、それはIngressでのゲーム内チャット、Pokémon GOでのギフト交換、Pikmin Bloomでのポストカード共有、そして私たちの多くの現実世界でのライブイベントでの出会いのような体験の形をとっています。私たちの長期的なビジョンは、Nianticのゲームでさらに深いつながりを作り、物理的な世界で人々を結び続けることです。

上記の文より、Niantic は Lowkey を Niantic Social をさらに進化させるために買収したようにみえます。2022年の終わりころには以下のような図になっているのかもしれません。

画像3

Niantic が Niantic Social を導入した狙いを考える

Niantic Friend によるすべてのゲームのフレンドの統合時には Twitter 等の SNS でも大きな反発がありました。不要と思って削除したフレンドが異なるゲームでは必要だったのに同様に削除されてしまったといったものや、自分がどの他のゲームをプレイしているのか、知られたくないというプライバシーに関するものもありました。しかし、そういった意見を押し切って、Niantic Friend を導入しました。そこまで強く推し進めている Niantic Social と Niantic Friend の狙いと何なのでしょうか。

まず、この点について考える前に Niantic のゲームの特性を理解する必要があると思います。Niantic のすべてのゲームには以下の特徴があります。

1. 位置情報ゲームでありプレイするには外にでて移動する必要があるため、外出を促す性質がある。
2.プレイヤー間で協力を促す要素が組み込められており、項番1の性質とあわさることで、地域のコミュニティの形成を促す性質がある。

具体的には Ingress では周りのプレイヤーと協力することで、補給効率をあげたり、アイテムを交換したり、さらには一人では不可能と思えるオペレーションまで、協力することで可能にできます。ポケモンGOではジムバトルやレイドバトルで協力し、プレイの効率化や一人では入手できないポケモンを入手することができます。魔法同盟では魔法使いチャレンジの共闘で協力することで難易度の高い部屋を攻略することができます。ピクミンブルームでは、きのこチャレンジや花植えで協力することで、報酬やプレイ効率をあげることができます。そして、こういった繰り返し協力する体験を通して、コミュニティが形成されていきます。

そう、上記より Niantic のゲームのプレイ体験においてコミュニティの存在はとても重要な要素となっています。良質なコミュニティが維持できていれば、多くのプレイヤーが楽しく、長くそのゲームを続けることができます。逆にコミュニティ内のコミュニケーションがうまく機能しない場合、プレイヤーはそのゲームを早期に離れることに結び付く要因となるでしょう。このため、Niantic にとって、プレイヤーコミュニティがどのような基盤で構築され、Niantic のゲームのプレイ体験に結び付くかという点について、軽視できない事項であると考えます。

今までの Niantic のゲームコミュニティはそのコミュニティの基盤を外部ツールに頼っていました。Google Hangouts, Google Plus,Telegram,LINEグループ,LINE オープンチャット,discord 等が上げられるでしょう。コミュニティの環境を外部ツールに頼ることで、その開発・運用工数が抑えられるメリットはあるでしょう。しかし、外部ツールは Niantic が制御できないため、リスクにもなりえました。例として Ingress のコミュニティの基盤として長い間使われていた Google Plus がサービス終了したときには、多くの Ingress のプレイヤーが今までのコミュニティ基盤を失ったことを嘆き Ingress から疎遠になっていきました。LINE は日本では多くの人に広まってはいますが、海外ではそうでもなく、また、セキュリティや機能的にまだ十分とはいえません。容易になりすましができ、スパム対策のコストと投稿できるコンテンツの制限など、位置情報のコミュニティ基盤として発展性に乏しく十分ではありません。discord と Telegram は機能性は高いですが、多くの日本人には広まっておらず、導入のためには別途アプリをインストールして使い方を学ばなければいけません。

Niantic はこのような他社制のコミュニティ基盤を使うリスクを排除し Niantic 自身で制御でき、Niantic の AR ゲームのための理想的なコミュニティ基盤をビジョンに描き、それを 企業買収等で得た技術を基に Niantic Social と呼ばれる交流基盤に次々と実装していく方針なのだろうと考えられます。

また、フレンド機能を Niantic Friend に統合した狙いは、各フレンド間の関係やコミュニティを長期にわたって維持するための持続可能性を考慮したものと考えられます。今までの Niantic のゲームは、各ゲームがあり、そのゲーム内で協力するためにフレンドやコミュニティが形成されました。今後、この考えは フレンドやコミュニティが主体なものに徐々に切り替わっていくかもしれません。つまり、Niantic Social 上に既に形成されたフレンドやコミュニティがあり、各ゲームはそのフレンドやコミュニティで何をして遊ぶかの選択肢にすぎないという考えです。気の知れたコミュニティメンバーと、今日はポケモンGOのコミュニティディだから、ポケモンGOをやろうとか、別の日はピクミンブルームをやろう等、そういったゲームの垣根を超えたコミュニティが徐々に増えていくかもしれません。そうすることで、特定のゲームサービスが終了しても、別のゲームサービスを通じて、フレンドやコミュニティで遊ぶことができ、長期にわたって Niantic のゲームを通じて関係を維持することができます。

今回、魔法同盟が 2022年1月31日でサービスが終了するとアナウンスされたにも関わらず、突如、魔法同盟への Niantic Social の導入がアナウンスされたのは、Niantic Social を通じて魔法同盟のプレイヤー間で発展したフレンド関係やコミュニティを別のゲームサービスを通じて維持してもらうことが狙いだったと推測しています。

最後に本音

魔法同盟への Niantic Social の導入がアナウンスされたとき、魔法同盟の世界の情報共有基盤の中心となっていた Global の discord の主だった反応はridiculous(リディキュラス(ばかばかしい))でした。魔法同盟はサービスの終了前で、幾多の重篤な不具合を抱えながらも、開発・保守のための費用は極めて最小限しか費やせず、修正の見込みがたたない状況を 今も魔法同盟をプレイしているプレイヤーは根気強く我慢してプレイしてきたのです。まだ未体験であるレストレンジやヴォルデモートとの闘い、そしてフィナーレに向かって残っているストーリーを楽しむために。2022年1月31日のサービス終了まで好きな魔法同盟を最後までできるだけ楽しみたいという人がまだたくさんいます。そういったプレイヤーから見れば、Niantic Social を実装する工数があるなら、今のアプリケーションの安定性を向上させるのに使ってくれと叫ぶことでしょう。どうか、Niantic Social を導入する 2.20 の実装が、これ以上魔法同盟に不具合をもたらしたり、サービス終了までの予定されているスケジュールを大きく圧迫する事がないことを心から祈っています。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?