子供の分の味噌汁をよそい終えて、私はまた『やってしまった』と息をのむ。味噌汁の入った焦げがこびりついた小鍋には、一人分というには多すぎる量の味噌汁が入っている。 「おかあさん、おみそしるは?」 子供が言う。私は慌てて、子供の分だけの味噌汁を食卓に置く。おなかが減っているらしく、いただきますもそっちのけで食べ始めるのをたしなめる。 むなしい、と思った。汁椀を食器棚に戻し、どんぶり茶碗を取り出す。そうでもしないと、二人分の味噌汁を一つの器に入れることは出来ない。 子供は目
相談をする場所はある。それは実母だったり友人だったり、行政だったりする。みな一様にいいひとだ。SNSで愚痴れば「がんばってますね!」と褒めてくれる。 私が受けた行為の経緯は誰かに記憶だったり、書類の上にある。もうすでに思い出す必要もなく、前を向く方が重要だ。 それでもここに書き記したくなったのはどうしてなのかと思いながら、綴りながら考えていくことにする。 ■ 私は夫からDVを受けていた。過去形で話せるのは、夫とは別居しているからだ。 警察に相談しに行ったその日の