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さよなら校舎、その後

読み切り漫画作品「さよなら校舎」の続編。テキスト作品です。

「さよなら校舎、その後」
あの日閉じこめた思い出を胸に、この先暮らしていくはずだった。
舞い込んだ一枚のはがきは吉報か、それとも泥だんごか…


母校が無くなった。

統廃合で近くの高校と合併され、廃校となったのだ。
言葉にしてみると、さらに切ない。

校舎は取り壊されずに今もあの時のまま立ちすくんでいるが、通う者は誰もいない。
最後の3年生はどんな思いだったろう。
送ってくれる下級生がいない卒業式なんて想像もつかない。

あの時のスケッチを取り出してみる。
絵を描くのも久しぶりで、長居もできないからさっさと描いて終わらせた。
はっきり言って雑だ。
手直しをしてみようか…いや、その時のままがいいんだ、きっと。

母親が一枚のはがきを差し出す。
なんと高校の同級生からだ、ずいぶんとタイムリーな。
裏面にはハート型に切り取られたそいつと見知らぬ女性が普段着で寄り添った写真と、
「結婚しました」の文字が印刷されている。

…ん?

確かこいつの結婚式には出たはずなのだが…
よく見ると隅っこに小さく「再婚しました」と書いてある。
二人とも白い歯を出して、いい笑顔だ。
しかし再婚でわざわざこんなはがき作るものなのか?

俺は受話器を取り、冷やかし半分で書いてある電話番号にかけてみた。

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