日本国民は蒙昧の民か 愚かな国民は愚かな政府しか持てない

前川喜平(現代教育行政研究会代表)


痛烈な批判で耳が痛い。東京新聞から記事を紹介する。

安倍晋三首相の辞任表明と菅義偉氏の自民党総裁選出馬表明の前後に
行われた世論調査の結果には、暗澹(あんたん)たる気持ちになった。
 辞任表明前の8月22日~23日に共同通信が行った世論調査で36.0%
まで落ちていた内閣支持率は、辞任表明直後の29~30日の調査では
56.9%に跳ね上がった。同じ29~30日の調査で、次期首相にふさわしい
人のトップは石破茂氏で34.3%、菅義偉氏は14.3%だったが、有力派閥
がこぞって菅氏を推し、菅氏の勝利が確実になった9月8~9日の調査
では、菅氏が50.2%でトップになった。

「病気で辞める人はねぎらってあげるものだ」とか「自民党の偉い人
たちが応援する人は立派な人に違いない」とか思ったのかもしれない
が、1週間や10日でここまで極端に意見を変える国民が民主国家の
主権者たり得るだろうか。

 僕は魯迅の「阿Q正伝」を思い出した。100年前の中国を舞台に無知
蒙昧の民阿Qの愚かな生涯を描いた話だ。
 日本国民は阿Qに成り下がったのではないか。
 愚かな国民は愚かな政府しか持てない。賢い国民が育つために決定的
な役割を果たすのはメディアと教育だ。
 メディア関係者と教育関係者が権威主義や事大主義に毒され、
同調圧力に加担し付和雷同に走るなら、日本国民はますます蒙昧の淵に
沈んで行くだろう。
   (9月13日東京新聞朝刊23面「本音のコラム」より)

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