あえてのX-Pro1

富士フイルムのX-Pro1に惚れ込んでいる。富士関連の機材は現状Pro1とXF35mmF2のみだが、これがスナップに実にちょうどいい。

実を言うとこのX-Pro1、僕が2016年から本格的に写真を撮るようになったキッカケとなったカメラ。一度は手放したのだが、昨年美品をそれなりのお値段で再購入した。それでも全く後悔がない。

Pro1の何が良いかって、何よりもその画質。昨今のカメラは2500万画素でも中画素、4000万、6000万といった画素数を持つカメラも珍しくなくなり、恐らくこのままいくと2000万代も淘汰されていく流れ。そんな中、1600万画素しかないPro1の画質は何だか目にちょうど良いのだ。かと言って、決して物足りなく感じるようなものではなく必要十分だし、人肌を撮った時などはその滑らかさに感激する。もちろん画素数だけの問題ではなく、センサーの素養によるものだと思うけど、その画には説明の出来ない良さがある。

Pro1の良い点、もう一つは数の少ないシンプルなフイルムシミュレーション。クラシックネガやクラシッククロームなどはないけど、Provia、Velvia、Astia等往年の銘フィルム名を冠したシミュレーションは当然あるし、選択肢が少ないことでいちいち迷いが生まれない。ちなみに僕は主にPRO neg. Stdとモノクロ、たまにAstiaを使う程度。いずれにせよRaw現像するので、フイルムシミュレーションは撮る時のテンションをリフレッシュするのが主な役目。そこに、多すぎる選択肢は邪魔になる。

そして良い点の最後はやはり、OVFが使えること。正直、もう発売から10年経つPro1のEVFは、良いとか悪いとか議論するものではなく、そりゃあこれくらいだよね、と諦めるべきもの。背面液晶に出てくる画も、最終的にPCに取り込んだものとは雲泥の差だ。正直、カメラ内で色味や露出を正確に測ることは難しい。そこで僕は、Pro1を完全なOVF機として、マニュアル露出だけで撮っている。これがまあ、Leica M3のような露出計のないフィルムカメラを使いこなす為の練習にもなり、正にデジタル版Leica M3のように使えるのだ。言うまでもないことだが、富士のカメラはSSダイヤルや絞りを電源を入れなくても見ることが出来るので、被写体を決めたら、適正露出になるように設定し電源をON、この時背面液晶も非表示にすれば事前に出てくる画の情報は何も得ずに撮ることが出来る。これが実に楽しい。

もちろん、今からカメラを買う人でこれをやりたい人はPro3を買うのが一番だと思うけど、僕の場合は思い入れでPro1を選んでいる。

では、作例を少々。全てLightroomでRAW現像しているが、色味はカメラマッチングで富士らしさを残している。

全て縦位置なのはご愛敬。誰かが言ってたけど、東京と言うのは縦に伸びている街だから縦位置が撮りやすいのだとか(そういう理論には関係なさそうな被写体ばかりだけど)。

10年前のカメラとはいえ、そこは富士が満を持してXマウントの初代として出したカメラ。しっかりとAPS-Cセンサーサイズのカメラとしての実力を発揮してくれる。スパスパ撮ることに疲れた時、今後ものんびりと使っていきたいカメラである。


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