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夜より静かな昼がある

きのう久々にお昼寝をした。窓から差し込む太陽の光がぽかぽかと気持ちよく、ベッドの上で転がっていたらいつの間にか眠っていた。昼間は、夜とはまた違った静けさがある。不思議なものだ。夜の帷に包まれ草木も眠る丑三つ時、一日のなかでこれほど静かな時間もないでしょうに。

世間では皆朝に起床して夜に就寝する。これが社会の大きな潮の流れだ。とすれば、夜に部屋の電気や音を消して寝静まるとしても、僕たちは知らず知らずのうちに世の大衆と同じ船に乗っかっているのだ。さあみんな眠る時間だ、そして朝になればみんなと一緒に起きて仕事をするぞ。個人が各々一人で行動しているようで、俯瞰してみると面白いほどに集団行動をしている僕たち。いくら夜が物理的に静かだと言っても、無意識下で世間と繋がっているという事実に、心はザワついているのでしょうね。

一方、お昼寝は世間との繋がりを一時的に断つことができます。全国津々浦々、皆々様が勤労に励んでいるのを尻目に、僕はただ一人惰眠を貪る。自分だけが世間の潮流から外れ、孤立しているかのような感覚がある。が、これは疎外感ではない。孤高だ。だからこそ、この瞬間心は凪いでいる。とても静かで心地いい。

とはいえ、独りの時間は消費期限がとても短い。ひとたび鐘が鳴ると、それまでの夢の時間はどこへやら。途端に淋しさ、哀しさが襲いかかってくる。かといって街へ繰り出す必要などはない。ただそこにひとつまみのSNSを投じてやれば、心の隙間はすっかり埋まるのですから。けれど、薬と毒は紙一重。くれぐれも用量・用法は守ってお使いください。

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