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地獄へ行ってきた

地獄、それは実在するのか...。仮に実在したとして、僕たち人類はその存在を認知できるのだろうか。あるいは、今生きている現世が地獄そのものなのかもしれない。だとすれば、想像するよりかは遥かに生温いものだけれど。

実は、僕の住んでいる場所の近所に「地獄」があります。ハニべ巌窟院、というテーマパークがある。といっても、そんな楽しげな雰囲気の場所ではない。どちらかと言うとおどろおどろしい、不気味だけれどどこか神秘的な、玄人向けの珍スポットだ。仏教の要素が強いので"神"秘的というのもおかしいかもしれない。

ハニべ巌窟院 入り口

入り口はこんな感じ。見るからに人を選ぶディープスポット。

こんな感じで謎のオブジェも各所に立ち並んでいるので、どのくらい真面目な気持ちで見ればいいのか、温度感がイマイチ掴めない。しかも、写真に写っている像にはそれぞれ一切の説明がない。作品のタイトルすらないので、見るものの完成に全任せというクリエイティビティを高められる空間だ。涅槃寂静の境地に至れること間違いない。

そして、メインは地獄への洞窟。入り口はこんな感じ。

写真だとサイズ感がいまいち分からないと思いますが、入り口は小さいです。金剛力士像が目の錯覚に拍車をかける。成人男性であれば中腰にならなければ入れません。70年以上前に開園したということもあり、現代では当たり前の客への配慮やバリアフリー設備はない。天井は低い、足元は悪い。それらに注意を促す看板もない。いいね、こういう部分も含めて楽しみましょう。

ここが地獄です、か。施設の老朽化も伴って、より不気味な雰囲気が醸し出されている。この門の先には、ありとあらゆる「地獄」が待ち受けているのだ...。食べ物を粗末にしたが故に臼の中で腹をかち割られた人間、手足を出刃包丁で切り落とされた人間、流産したが故に腹ワタが飛び出してしまっている人間、など「これ、年齢制限なくて大丈夫か?」というオブジェが容赦なく展示されている。現代のキレイキレイな倫理観が当たり前になっていると、思わずギョッとしてしまう光景だった。子どもなら泣き出してしまう子もいるだろう。僕が子供の頃に訪れていたらトラウマになっているだろうな。

石川県の観光というと、金沢を想像する人が多いでしょう。けれど、こういうニッチな場所もおすすめなんだぜ、とこっそりオススメしておこう。入園が大人1人800円となかなか強気な料金設定なのですが、少しでも興味のある人は価格なりに、あるいはそれ以上に楽しめることでしょう。地獄の沙汰も金次第、ですからね。

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