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「食欲」と「食への関心」は違うもの

再三言っていることですが、僕はあまり食に関心がない。かといって土を食べて生きているわけではないし、人間である以上食欲はあります。ただ、世の中にあふれている食という食があまりに高カロリーなものですから、僕の胃には少々負荷が大きい。つい一人前の定食など食べてしまうと、その後数時間はズシリと身体が重たくなってしまう。質量の話ではなく、気分的に。

最近は、ブランチ(朝食兼昼食)としてナッツを食べています。人生に対する意識の高い人たちが好んで食べているナッツ。僕のような下人には似つかわしくない高尚な食べ物だ。しかしまあ聞いてくれ、僕がナッツを採用しているのには理由がある。僕の仕事は朝7時から始まるのですが、昼過ぎまではPCから目が離せない。トイレすらはばかられる環境だ。そりゃあ朝食はパンでもおにぎりでも良いのでしょうが、炭水化物を食べるとトイレに行きたくなってしまう。そんなことは言語道断!けれど、何かを口に入れなければ腹の虫は収まらないし、頭もボーっとする。そこでアレコレと考えた結果辿り着いたのがナッツである。ナッツは栄養価が高く、それに案外腹にたまる。そして、作業をしながらでも片手でポイポイと口に放り込んで食べられる。さらに、炭水化物とは違ってトイレに行きたくなることがないのだ!つまり1つで3度、4度美味しい。今の僕の労働スタイルに適合した大正解フードである。

思うに、食への関心と食欲とは似て非なるものではないか。言わずもがな、食欲は三大欲求なので誰にでもあります。腹が減ればエネルギー源を欲する。これは当たり前。だけど、「美味しいものを食べたい」という欲求は食欲の域を越えているでしょう。酒やタバコをやめられない人は、生まれた時から酒欲、タバコ欲があったのか?というと、そうではない。自らアルコールやニコチンを摂取し、それらに依存する身体をつくったのだ。うまい食べ物だって同じだ。科学の力によって生み出された「糖質爆弾」を食し、βエンドルフィンなどの脳汁をブシャブシャと出して気持ち良くなる。自然界にはハンバーガーや唐揚げは存在しない。人間が人間の「美味しいと感じる」仕組みを解明して、美味しいと感じる色々な要素を切り貼りして作り出したキメラ。それがジャンクフードや化学調味料なわけです。つまり僕たちは美味しいと感じているんじゃない。美味しいと感じさせられているんだ(ラーメンハゲ風)。

僕はジャンクフードや化学調味料を否定するつもりはないし、かといって悪魔崇拝者でもない。先にも言ったように、食への関心と食欲を混同してはいけない、ということだ。ラーメン屋のハシゴも結構、3食ウーバーイーツも大変結構。けれど、それは食への関心が高いというだけだ。趣味・嗜好の領分なんですよ。脳内麻薬を出す手段は人それぞれです。酒、タバコ、ギャンブル、ゲーム、音楽、映画、そしてグルメもその一つ。本来、「食欲」が求めるエネルギー量はそこまで大きくないはずだ。肉体を維持できればよいのだから。まして運動量の少ない現代人にキングサイズの牛丼や二郎系ラーメンほどのカロリーが必要かというと、答えはきっとNOでしょう。必要量を超えたカロリー摂取は、あくまで個々人の趣味・嗜好なのだ。つまり、今は食にさほど関心のない僕でも、いつかグルメ大好き人間になる可能性があるということだ。そうなった時には、日本中の食という食を存分に堪能してやるぜ。

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