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一人称は変わって当然

僕の一人称は言わずもがな「僕」ですね。しかし、それはこの日記を書く上での話です。現実で僕が「僕」という一人称を使う場面は、実はけっこう限られている。会社の人と話す時は「自分」を使うことが多い。友達との間では「俺」を使うこともある。会社の人ほど距離感もない、かといって友達ほど近しい関係でもない、例えば元バイト先の先輩などには「僕」を使います。

決して僕が特殊というわけではないでしょう。みな相手や状況によって一人称を使い分けているはずだ。日本語には色々な一人称がある。それはつまり、自分の好きな一人称を選べるということですが、それだけではない。僕、俺、ワシ、私、あたし、ウチ・・・それぞれの一人称に、漠然と共通したイメージがあるはずだ。「僕」や「俺」は男性が使う場合がほとんどで、女性が使う場合は「僕っ娘」や「俺っ娘」など属性が付与されたりする。型にはめ込みすぎるのも問題ですが、少なくとも一般女性よりは傾き者である可能性が高そうだ。男性でも「僕」より「俺」のほうが気の強そうな印象を受ける。一人称を自由に選べるといっても、世間である程度共通のイメージがあるのなら、むしろ使い分けることが推奨されているとすら感じる。「こういう場面ではこの一人称が適切で、逆にこの一人称は避けるべきだ」という暗黙のルールがある。極端な例ですが、初めて会った取引先の相手に「おいどん」や「わちき」とは言わないでしょう。

友人の前で「俺」を使ってきた僕ですが、実は生粋の”俺使い”ではない。移民なのです。小学校以前のことは覚えていませんが、少なくとも大学に入るまでは「ワシ」を使っていました。一人称が「ワシ」の小学生、我ながらかわいいな。そして、大学デビューのタイミングで「ワシ」から「俺」に乗り換えました。というのも、高校生になる頃には「ワシ」という一人称に違和感を覚えていて、かといって突然変えるのも変かと思い、悶々とした日々を送っていた。結局、高校3年間は一人称を使わない言い回しをしていた気がする。案外、一人称を一切使わなくても会話ってできるんですよ。そして、大学進学のために上京したタイミングで人間関係もリスタートとなるため、晴れて「俺」デビューを果たしたというわけだ。

けれど、最近は「俺」に違和感がある。というのも、自分のキャラクター、そして年齢と「俺」が釣り合っていない気がするからだ。なので、友人の前での一人称をひっそり「私」に変えつつあります。友人と遊んでいる時に「私」という男性も少ないでしょうから、そういう意味では浮いてしまうのですが、少なくとも僕には「俺」よりもお似合いでしょう。30歳という節目も迎えたことですし、これからは「私」を積極的に使っていこう。日記では、これまで通り「僕」をどうぞよろしくお願いします。

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