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オーディオブックは読書じゃない

AmazonのオーディオブックサービスAudibleをご存じでしょうか。1995年に創業のサービスで、2008年からAmazonの傘下に入ったようです。ここ数年でCMを頻繁に見るようになったので、そんな昔から存在したサービスということに驚きました。前々から気になってはいたものの、使ったことはなかった。Amazonの購読サービスって頻繁に3ヶ月無料キャンペーンとかやってるじゃないですか。僕はひねくれているので、その手のキャンペーンを見るとサービスを押し付けられているような感じがして、少し拒否感が生まれる。半ば強引に契約させられ、うっかり退会手続きをせずに月額を請求されるループに陥りかねない。また、音楽のサブスクには別の注意点もある。ライブラリを1つ作ってしまうと、なかなか他の音楽サービスに移行しづらくなるということだ。このジャンルの曲を聴く時はAのサービスを使って、また別のジャンルの曲を聴く時はBのサービスを使うというのは煩雑だ。複数の契約をするとお金もかかるし。だから多くの人はライブラリを1つに統一したいはず。だもんで、音楽のサブスクを選ぶ時は車を買うくらいの気持ちで吟味しなければならない、きっと。

しかしまあ、オーディオブックに関してはもう少し気楽に考えてもいいのかなと思い、ちょうどAudibleが1ヶ月無料のキャンペーンをやっていたので契約してみました。僕はDLsiteとかで売られているボイス系のコンテンツが好きなので、よく考えれば優しい声で朗読してくれるオーディオブックは相性が良いのでは。音声をながら聞きして本を読んだ気になるなんて・・・という固定観念が僕の行動を制限していたのかもしれない。アプリをDLして開いてみると、なかなか見やすいUI。使い込むと不満も出てくるのかもしれないが、ぱっと見の印象はとても良い。夜寝る前に朗読を聞こうと思い、一覧から睡眠導入に向いていそうな作品を探す。が、あまりに数が多かったので、人気そうなタイトルから適当に選びました。それがこちら。

伊坂幸太郎の名前だけで選んだのですが、再生してみると朗読を担当している井料 明里さんの声がとても良かった。すこし篭ったようで柔らかい感じがするものの、しっかり芯の通った声。ショタボ的なやつだ。結論から正直に言うと、オーディオブックは「読書」ではない。手で紙に触れて、目で文字を見て、脳で理解をする。これが「読む」ということだ。さすがに朗読を聞いて読書をした気になるのは、本を愚弄していると言っても過言ではない。もし、本を自分で読むのは面倒だけど内容を知りたいというのであれば、wikiでも読んだほうが効率は良いだろう。それか中田敦彦のYouTube大学でも観てください。

しかし、オーディオブックにも利点はあると感じた。平家物語などを筆頭に、口承文学というものもあるくらいですから。もし、読書の魅力が本の内容10割だとすれば、朗読の魅力は本の内容6割、語り手4割くらいになる。読書とは打って変わり、それほど語り手に依存するコンテンツになると感じた。だから僕は、作品の内容半分に井料 明里さんの声に身体全体を包まれたような気持ちになってフワフワと眠りに落ちた。夜中にフ、と目が覚めた時、僕が眠っていることなど眼中にない彼女は淡々と語り続けているわけで、ストーリーは全く知らない場面に飛んでいる。それでもいい。話の前後の繋がりが分からなくても、今彼女が喋っているシーンの情景は思い浮かべることができる。読書ならそんなこと許されない。しかしオーディオブックならこれくらいゆるく楽しんでもいいのかもしれない。本は、自分で文字を読む以外にも朗読を聴いて楽しむ方法もあるわけですね。どうしても自分で読みたい本はともかく、そうでなければお気に入りの語り手に読み聞かせてもらうのも大いにアリだと気付きました。また生活の中に楽しいことが1つ増えましたね。ひとまず無料期間の1ヶ月使い続けてみて、またなにか続報があればお伝えします。 

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