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同時期に入社した人が突然退職した

僕とほぼ同時期に入社した人が退職しました。まだ事務手続きが済んでいないのか、籍は残っているようなので、厳密には退職ではないのかもしれません。もうまったく出勤していないので、事実上の退職でしょう。僕は彼の名前こそ知っていますが、顔も年齢も知りません。おそらく相手も同じ。僕の顔も年齢も知らないでしょう。PCモニターを通して数ヶ月間ともに業務をしていたにも関わらず、互いに互いの素性を知らず、気づけば一方は会社を去ることになった。それでも、僕のなかでは彼の人物像がなんとなく出来上がっていた。

事実上の退社となる1ヶ月ほど前から、彼は体調不良で欠勤することが頻繁にあった。Slack上で身体の不調をうったえていて、最終的には「手術を受けるためしばらくお休みをいただく」と言い残して姿を消した。本当に身体の調子が悪かったのだろうか。彼を疑っているわけではないが、僕はなんとなく別の可能性を考えていた。メンタルの問題だ。もちろん、精神的な不調がわざわいして体調を崩した可能性もある。真相はわからないが、どうも彼が会社側に伝えていた欠勤理由は建前のように感じられた。なぜ僕がここまで彼に肩入れ・・・というか、勝手な妄想を繰り広げているのかというと、自分と重なる部分があるからだ。

僕も前職を辞める直前、何度も仮病をつかって欠勤を繰り返していた。そして、半年ほどの休職期間を経て退職した。なので、日々体調不良をうったえて退職した彼に過去の自分を見てしまうのです。だから、僕は彼に何度かDMを送ったことがある。「業務のことは一旦忘れ、しっかり療養してくださいね。戻って来られるのを待ってますよ!」みたいな内容。労い、共感、同情、余計なお世話…彼にとって僕の言葉はどう捉えられたでしょうか。これも真相は闇の中です。それでも、彼から建前と本音の入り混じった返答をもらい、何通かやり取りをすることでコミュニケーションを取っていました。DMは個人間の連絡ですから、他のメンバーからは見えない。だから、ある程度は腹を割って話せるものだと僕は思っている。自分は味方だよ、つらい気持ちが少しは理解できるよと伝えたつもりだ。重荷だっただろうか。逆にプレッシャーを感じさせてしまっただろうか。これもまた、やはり彼のみぞ知ることです。

去る者を追っても仕方ないのですが、僕はどうもそうした性分でして。たった数ヶ月間であっても、苦しい業務をともにした仲間ですから情が湧いてしまう。僕が漫画の登場人物であれば、仲間思いなキャラクターとして描かれるのかもしれない。しかし現実では、こんなことでいちいち悲しみに暮れていてはキリがない。それに、僕が思いやっているつもりでも相手からすればありがた迷惑かもしれない。結局誰も得をしないのだ。すぐに寂しくなってしまう性格の僕が、自分で自分を慰めるために「他者を思いやれる人間なんだ」と思い込もうとしているにすぎず、そのエゴのために他者に声をかける、関わろうとする。なんて不器用なんでしょう。もうこんなことで悩むのはごめんだ、頼むから誰も辞めないでくれ。あ、嫌いな人は辞めていいです。今のところいませんけど。これもとんだワガママですね。

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